小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

帰らぬ母

2011年08月20日 | 日記

 

 七月三十日、午後七時三分、母が他界した。

くも膜下出血で倒れ、二年半ものあいだよく生きてくれた。人工呼吸のため気管切開したため、声を失ったので意思の疎通が叶わなかった。ただ、最初の手術後には涙を浮かべながら「ごめんね、すまないね」と云っているのが口の動きでわかった。もっと話すべきことがあった気がするが、それは不可能になった。

 85歳という年齢は、天寿を全うしたと思いたい。 マルクス・アウレリウスは、死というものは「よく熟れたオリーブの実が、自分を産んだ地を讃めたたえ、自分をみのらせた樹に感謝しながら落ちて逝く」ようなものだと「自省録」にのこした。  そのような死であったと、私は願っている。
例年だと母が好きだったの槿の花がたくさん咲くのに今夏は少ない。その分、来年は多く咲くだろう。


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