小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

ある医師の個人的な見解について

2020年07月25日 | エッセイ・コラム

前回の記事に続く内容だが、もう新型コロナの話は勘弁してくれという方には、まことに申し訳ない。お見逃しあれ。

ともあれ、現在、Covid19 (※1)は次なるフェーズにうつり、東京がエピセンター(感染震源地)となる事態が予測されている。その警鐘を鳴らすのが、放射線治療など先端医療に携わってきた児玉龍彦氏、ESP細胞のノーベル賞学者の山中伸弥氏らだ。一昨日、東京の感染者数は過去最高の366人を記録した。

児玉氏らが警告したとおり、第2波の感染拡大は本格的なものになるのだろうか(感染者数よりも死亡者数こそが問題となる・・)。彼らの警鐘は真っ当なもの、さもありなんとして、私もふくめ大方の人々に受け止められている?

一方で、違う視点から冷静かつ客観的に事態を見つめる人たちもいることも確かだ。

日本におけるCovid19 は、実際にもたらした被害よりも、その影響下での経済的損失が膨大。そのうえ、私たちは望まない行動変容を強いられ、その先の不安・・大袈裟な表現だが「死に至る病」を身近に感じている

私たちがそう感じる雰囲気、情勢こそが異常なことで、今回の災厄の別の側面を見る人たちは意外にも多い。

多くの犠牲者に対しては、もちろん哀悼の意を表しているはずだが、「それにしても」と、コロナショック(解雇・失業)、コロナヒステリー(※2)(差別・偏見)、コロナハラスメント(自粛警察)など、想像以上の過剰な社会的軋轢を生んだ。そしていうまでもなく自粛、ステイホームによる社会の不活性化がある。その原因、大本であるCovid19による弊害・萎縮こそ、根本的な問題ではないかと声を大にして訴えたい人たちがいる。ご尤もだと思う。

有識者ならまだしも、そういう方々の多くは、現時点ではマイノリティな立場にいて、肩身の狭い思いをしているのではないか。SNSなどネット上で粛々と意見開陳を行えるならば良いのだが・・。

そうした推測のなかで、意外なのだが、医療現場に立つ現役のお医者さんもいる。医学的かつ科学的な知識を有した専門家だからこそ、現状を嘆いているのかもしれない。

その一人の方のブログ(rakitarouのきままな日常)『コロナファシズムの行方』を竹下節子さん経由で読む機会があった。→https://blog.goo.ne.jp/rakitarou/e/7b85a14fb4a8bfc0796b38a0db5fd3ff

医学的見地からの専門的かつ客観的な判断と、医療現場で培われた経験に基づく確かな実感がこもる、とにもかくにも理路整然とした解説は傾聴に値する。

この方は、主として欧米各国が採用した罰則付き法規制方式の「ロックダウン」は、「新型コロナ感染症はSARS型に封じ込めるもの」という中国式を安直に踏襲したものだとして異を唱えている。

要は、政府がトップダウン的に、対立する意見、反論などを示さず、唯一の選択肢を既定路線として世の中に強いる為政は、つまりは「ファッショ」、すなわち危険・噴飯もので看過できないということだ。

冷静な情報分析を粛々と行っている医学界では、感染者数(発症や重症ではなく)は増加しているが、死者数は低下しており、ウイルスの感染率は増加しているが、毒性については弱毒化が示唆されています。

また科学的な根拠がないロックダウン政策を中国が取った事に世界中が「左へ習え」状態になった事に対して、エビデンスのない政策を何故無理に行って、経済を破綻させたのか、という疑問が世界から提起されてきています。

以上、記事の中でおおまかな論旨が示されていた箇所をピックアップした。そのほか、参照となる記事、論文のリンク先が何か所も貼られ、自説の論拠の補強となるよう工夫がされている。

筆者はまず、その参照されていた海外の二つの記事と論文をじぶんなりに理解しようと試みた。

一つ目はピッツバーグUPMCの救急医療の責任者であるドナルド・イェアリー博士のインタビュー記事。現段階ではウィルス検査では陽性になるとウィルスは減少し(PCR、抗体)検査をして陽性の結果が出ても、ウィルスの個体数は以前よりも少ない(ウィルスが2,3個でも、陽性反応は出るものと筆者は理解しているが・・)。感染した後、重篤化する症例は殆どなくなりつつある。そのことのファクトに着目するべき、と博士はいう(記事を意訳して、訂正した)。

要するに「陽性反応を示した人々の間で、患者が持っているウイルスの総量は、パンデミックの初期段階よりもはるかに少ないです。」という見解を語っている。

もう一つが、Nature medicineの論文「無症候性SARS-CoV-2感染の臨床的および免疫学的評価」を参考にされていた。(氏の記事では「Longら」としか表記。中国の医学者・医師10人以上のグループが提出した論文乃至リポートと思われる)

「感染者でも軽症の患者の抗体価はすぐ下がる」という趣旨で、筆者はそのレジュメというか概要しか読んでいない。昨今の翻訳ソフトは格段に優れ、英語力が劣る小生にとって、読解力の低さを補う最強の見方となった。

陽性反応が出ても、症状はないという被検者37人を対象にした分析で、その免疫反応や抗体の生成などを14日間かけて臨床検査、分析したものである。なかには、かつて症状が重くても、いまは回復期にある患者の抗体の生理現象なども分析したとあった。(本文には、肺のCT画像や、たぶん抗体の生成過程だろうが、医学的なチェックシートのようなものも資料として添付)。

その他にも、諸外国の資料をあたられていて、自説の論拠を補強する幾つかの事例との整合性を図られている。そして最終的なrakitarou氏の判断は以下に集約できる。

エビデンスのないロックダウンは政治的ファッショだ。Covid-19ウイルスは変異を続けているが、総体的には弱毒化している。

(「新型コロナの国内での新たなパンデミックはなさそう」との判断があったが、6月23日の記事なのでここでは保留。もし混乱等が起きなかったなら、氏の慧眼は敬服に値する)

以上をふまえて、筆者の個人的意見というか感想を書いてみたい。

まず、ヨーロッパ諸国の大半が、中国政府の都市封鎖にならって罰則付きの法規制・ロックダウンを、民主主義的な手続きなしで実施したのは、それなりの理由、根拠があったと思う。但し、それが医師rakitarou氏が指摘されたように科学的エビデンスに基づいた施策だったかは、筆者には判然としない。

なぜ、各国一様に「国家緊急権」の発動のようなロックダウンを実施したのか・・。それはやはり、中国武漢発だったというのが大きなインパクトだったと思われる。

武漢にはまず、アメリカのCDC(疾病予防管理センター)とおなじ役割をになう、中国科学院の武漢ウイルス研究所がある。そして、新型コロナが発生した病院に近いのだが、海鮮市場にほぼ隣接したところにウィルス研究も行う「武漢疾病予防コントロールセンター」があった(現在は取り壊されたとの情報あり)。

要するに、武漢には二つのウィルス研究施設があって、外国の研究者から注目されていた。なぜなら、2002,3年に中国広東省を中心に30を超える国や地域で流行が見られたSARS(重症急性呼吸器症候群)をはじめ、高病原性鳥インフルエンザなど、地元ならではのコロナウィルス研究のメッカになるかと見なされていたからだ。

フランス政府は当初、ウィルスの共同研究をめざして、武漢におけるバイオハザード対策の先端施設の建設を支援したものの、完成後の運用段階になって衝突。フランスは撤退することになったという(SARSなど感染病の最高クラスの危険対策を整備した施設を「BSL4」と呼ぶが、武漢のそれは、基準を満たしたものではなかった)。

つまり、感染危険のレベル扱いに考え方の相違があったようで、後にWHOが中国に改善勧告を出したらしい。中国はそれを拒否し、有耶無耶となった。(で、事務局長が代わってから、WHOと中国との蜜月関係がはじまった。と、こう書くと米国務長官ポンペオを喜ばすことになるか・・)これらの事実関係は、信ぴょう性はあると思われるが、情けないことにエビデンスとはいえない)。

追記:大切なポイントを書き残していた。中国政府が武漢を封鎖したのは、この新型コロナウィルスの危険性つまり致死率、伝播率等を認知していたからだと思われる。通常、新型ウィルスが発生するのは、エボラ出血熱、鳥新型インフルエンザなど人間と自然の動物が接する境界がほとんど。今回のケースは、多くの情報から推察すると、研究所内の人的な誤操作によって漏れ出た蓋然性が高い。春節を前にして緊張感はうすれ、すべての初動対応が悪く、最悪の結果を招いたのではないか・・。その取返しのつかない事態を収拾するため、中国政府は武漢の強制封鎖に踏み切った。その後はアウトブレイクを封じ込める最高レベルの医療・人材を投入、また政治権力を駆使したと考えられる。中国政府は、事の次第を調査・検証し、詳らかな報告書を公表する義務を負う(たぶん、やるつもりさえないだろう)。初回投稿の6時間後に追記

あと、もう一点、新型コロナウィルスは総体的(?)に弱毒化しているという評価についてである。

弱毒化というものが、ウィルスそのものの変化なのか、さまざまな治療薬を投与した結果の毒性変化なのか、素人にとって判断できない。もし、ウィルス自身が弱毒化しているならば、共生のために「折り合いをつけましょうよ」と、新型コロナウィルスさんは人間を自然宿主として認めつつあるのであろうか・・。

免疫のメカニズムが複雑でわかりにくい。この弱毒化がもたらす人体の反応は、いわゆるワクチンを接種したときの副作用ほどの反応として考えていいのだろうか。

rakitarou氏に直截に訊いたほうがよいのか迷うところだ。今回はここまでとして筆をおくが、勉強することは山積している。新型コロナウィルスの猛威は、世界的にはまだ収束には向かっていない。第2・第3波は確実に来るだろうし、最悪のケースを想定し、考え・行動したい筆者にとって、政治権力の暴走・横暴を許さないよう注視し、ひっそりと家にこもっていよう、と考える弱虫な年寄である。

 

(※1)Covid19とは、新型コロナウィルスの正式名称「SARS-CoV-2」がもたらす感染病の総称だ。筆者はたまにCovid19をコロナウィルスを指示する名称として使ってしまうことがある。予めご了承ください。

(※2)「コロナヒステリー」に該当する例として、リンク先にCasey Researchの創設者&会長ダグ・ケイシーへのインタビュー記事があった。筆者はこれを読んで以下のことを備忘録として記載しておく。「」内は引用文。

「新型コロナウィルスはマルクス主義、ケインズ主義、科学主義の延長線上で政治利用されている。経済を崩壊させるための言い訳として誇張されているだけでなく、多くの方法で社会そのものを崩壊させる言い訳として誇張されている」のは、許容できるとしても、「民主主義は、現実には単なる暴民政治に立派なコートとネクタイを着せたものに過ぎない」とか「黒人ジョージ・フロイドの死は取るに足らない悲劇だ。衣装を着たギャングが、掟を破ったとして街のギャングを抹殺したようなものだ」などと、トランプ大統領をバックアップする根強い排他主義、反民主主義の猛者たちがアメリカ社会の上層部にいるのだ、と筆者はしばし絶望的な感慨に陥った。

 

▲本記事も殺風景なので、自然の中の花、かんぞうの花をのせる。ちょっと元気を失ったか・・。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。