小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

高校のときのこと、少々

2018年11月27日 | 日記

 

 

昨日、高校生から当ブログにコメントをいただいた。記事の追記として、日を改めて書いた疑問に対して、それに応える明快な回答もしくは分析、その短いコメントであった。

その内容とは、「実在するパノプティコンと監視社会」という記事についての中味というより、アクセス数が何故いつも1位なのかという疑問へのアンサーだった。「パノプチコン」なる言葉が高校の教科書に載っているらしく、興味をもって検索すると愚生のブログにたどりつく、との分析であった。

どんな経緯であろうと、読んでいただくことは嬉しいことこの上ない。それも見ず知らずの若い方にコメントを寄せていただき励みになった。もっと突っ込んだやりとりを期待したいのだが、年寄りとの面倒くさいやりとりは、若い人たちからすれば閉口であろう。


話は変わるが、高校といえば先日、佐藤優の新書を図書館で借りて読んだばかり。それは彼の出身高校のことを題材にしたもの。彼は、愚生より丁度10歳年下だが、同じ高校を出ており、以前そのことをブログにも書いた。出身校を題材にした新書だが、わざわざ買うまでもないと思い、図書館に予約していて、それが2週間ほど前に手元に届き、ちょうど読み終えていた。

佐藤優氏は元外務省首席分析官で、外務省のラスプーチンといわれたロシア通。鈴木宗男の事件で連座し、1年半ほど拘置所に拘留されたこともある。服役(?)後、外交のインテリジェンス(情報)に関する著作活動、講演、ラジオ出演など精力的に仕事をこなし、今や超売れっ子の評論家になった。

その新書を読んでびっくりしたことがある。彼は高校時代に、5つの部活動をしていたこと(※追記)。そして、愚生にとっても懐かしい、先生の名前がでてきたことだ。

愚生が在学していたとき、定年が近いと噂されていた、その世界史のK先生に、なんと佐藤氏も薫陶を受けていた。その頃、K先生は70歳近くになっていたらしい。母校は公立校だったのだが、定年に関係なく務めることができたのであろうか。「勤続50年なんてザラにいたんですね」とは意外であった。

K先生は、世界史の重要な参考書を書いて全国に知れわたり、授業そのものも抜群に面白い名物先生であった。単に世界史の出来事やトピックを解説するだけでなく、地勢学的な背景や民族の動き、あるいは歴史の流れのなかでエポックを読みとく。あるいは、様々な観点から歴史の関係性を考察する授業に特色があった。

高校生にとっては、世界史を通じて「国家」の仕組みを知る、あるいは「人間の行為」の本質を知るという知的好奇心を大いに掻き立てられた。(ヘビースモーカーで、右手の指先は黄色に変色し、傍にくると、指から煙草の臭いがただよって来た!)

新書で書かれていたことはこうだ。佐藤優氏の在学中に、K先生は体育館に生徒を集めて最終講義をしたという。開口いちばん「皆さんは平均的エリートです」とまず宣まった。

「よくも、まあ、こうつまんない人間ばかりたくさん出てくる。・・・大きな業績を残す者はいないが、極端な悪事をする人もいない」と、こう言ってたわけです。極端な悪事をするっていう意味では、東京地検特捜部に捕まったのは、おそらく××出身では私しかいないと思うから、その意味では先生の期待に応えられたかもしれません(笑)。

K先生は私にとっても印象深い。まず入学して最初の授業のとき、簡単に自己紹介した後、私をどういう訳か一瞥して、黒板に三角形を書いた。これはピラミッドだといい、これは現実社会の構造でもあり、「諸君は、このピラミッドの中層にいて、本校に入ってやや上に位置することになった。ピラミッドの上部構造に行けるものは、このクラスの10人ぐらい程度。それでもましだな」と言った。これと同じようなことを、佐藤優氏が在学していたときにも同じようなことを言っていたのだ。

なぜ、私を一瞥したかというと、実は、K先生の息子は、愚生と同じ中学校にいた同窓生だった。同級になったことはないが、大人しく目立たないし優秀な生徒ではなかった。だから進学校に受験すること自体に全校生みんな(※注)が驚いたし、受験突破したことはさらに驚愕の事実となった。10人ほど受験し、入学したのは4,5人で、そのなかにK先生の息子も混じっていたということだ。
つまり、私が、自分の息子と同じ中学校から来ている生徒だと確認するために一瞥したのかもしれない。
ピラミッド構造の上部に這い上がるには、社会のなんたるか、別の仕組みもあるのだ、と暗に教えられた、そんな想い出もあったのだ。もう50年以上もの過ぎ去りし昔のことだ。

佐藤優氏は、K先生のことだけではなく倫理社会のH先生のことも書いていた。東大を出たての(?)H先生は癖のある学者肌のひとで懐かしい。これは別の機会に書くことにしよう。
 
 
最後に、佐藤優氏を逮捕した東京地検特捜部。今回の、ゴーンとケリー氏の逮捕であるが、司法取引をはじめて行使しての立件だが、どうも勇み足っぽく見えてきた。実質的な着服および特別背任ではないし、最終的にはタックスヘイブンのペーパーカンパニーまで調査し、実証しなければならない案件だ。たぶん、地検特捜部は投げ出すと予測したが、どうか・・。
22,3日の拘留期限までに、ある程度の見通しをつけられるだろうか・・。それ以降の拘留は、国際的な人権問題にかならず発展すると思う。(※追記2)
 
 
▲駒込、六義園にて。

▲東洋文庫の近くにある、『青いカバ』という古本屋。ジャコメッティ他を買う。


(※追記)佐藤氏は、応援部、新聞部などの部活動のほか、当時の社会党の社青同本部にも出入りしていた。(17)15歳のとき、ソ連(現ロシア)に単身旅行した。その経験を『(17)15歳の夏』とかいう上下巻の大部の著書を今年、上梓された。愚生の時代には考えられない、スーパーボーイだったようだ。また、長髪のイケメンで、現在の姿からは想像におよばない。(当初17歳と表記していた。記憶だけで書いたミス。お詫びして訂正します。2019.1.4記す。それにしても高校一年で、ロシア単身旅行とは凄いの一言だ。)


(※注)「全校生」は明らかに誇張だ。自戒し、訂正した。このことで小さな騒動もあったから、同窓生の多くに知れわたったと思う。

(※追記2)今日、12月21日、「東京地裁、異例の決定。ゴーン前会長とケリー氏の勾留延長を却下した」との報道があった。案の定というか、前代未聞の椿事である。「たぶん、地検特捜部は投げ出すと予測したが、どうか・・」と推測したことが現実になった。
特捜は地裁の内部組織で、勾留延長却下なんてどう考えてみても、自作自演だとみなされても仕方がない。これも安倍首相案件であることの証左であったことを暴露するものであり、国際法の常識をわきまえないこの国のトップ並びに司法エリートの驕り、むき出しの権力意識を露呈したものだ。(※:追記2の、追記3)

国際捕鯨委員会も脱退したようだが、どうも日本の「優秀な人たち」の国際感覚のなさ、先見の明がなさがこのところ目立っている。原発開発をやめないのも然りだ。情けないどころか、孤立するぞ、このままだと・・。


(※:追記2の、追記3)現在、日付変わって12月22日。ほぼ10年前、カルロス・ゴーンは個人的なデリバティブ取引の損失を、自社会計のなかにすり替えた?(会計技術としてある? 監査法人の存在は?)、ので、それは「特別背任罪」に相当するとして、特捜部はゴーンを再逮捕した。ケリーについての詳細は、いまのところ報道なし。
これって、法的にキモーい、特捜部のインテクチュアルは大丈夫かな・・。
エビデンスそのものが、ニッサン関係者の「たれ込み」でしょ。特捜部が、自ら能動的に動き、独自の捜査でコツコツと調べあげて、立件をめざした事案でもない。特別背任そのものも、7年という時効があり、それも今や切れている。
あんたたちの面子、ごめん、「誇り」のために墓穴を掘る愚行はおかしてほしくない。
この国際司法経済事件は・・そうですよね、ロッキード事件の結果、その顛末を検証していますよね。
ほんとに、ケリーさんを、ゴーン氏関連で再逮捕したら、もう日本の特殊な司法の終焉を意味するんですよ。わかりますよね、その論理的な展開は?
特捜本部のお偉いさんよ。まじっすか!
 (あ! そうだ、特捜本部そのものがGHQの肝いりで誕生したんだっけ。そういう使命を、金科玉条として隷従している人たちの顛末を見る、それも歴史の教訓かもしれない)



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