小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

キキオン頌論

2005年06月28日 | 音楽

 下北沢のピガという小さなライブハウス。素朴で親密な空間。気障に英語を使えば実にインティメイトだ。音響施設は最小限、というか粗末。(これがいい!)アコースティックな演奏にふさわしい濃密な小空間とでも言えよう。
 最初は十時さんと佐々木さんの二人だけの演奏。小熊さんには失礼にあたるかもしれないが、キキオンの初源の姿を見るような感じだ。コンセプトはフランス風味。来歴不詳の音楽を「耳コピー」した譜面をたどりながらの演奏が多い。私には初めて聞くキキオンである。
 3,40分、コンサーティーナとアコーディオンのコラボ演奏が続く。いずれの曲も聞いたことのない美しい旋律。でも懐かしいようなトラッドな雰囲気がある。
 考えてみれば、これらの蛇腹楽器は不思議だ。まずクラシックに使用されていない。打楽器でも管楽器でも弦楽器でもない。その意味では楽器の歴史でいえばもっとも進化した楽器ではないのか。
 ネットで調べたらやはり1820年ごろに誕生したとある。アコーディオンはポピュラーな楽器とはいえまいが、その世界は奥深い。
 キキオンを知るまで、アコーディオンには特に興味はなかった。唯一、バンドネオン奏者のピアソラだけはCDを5,6枚持っているだけだ。
 「天使のミロンガ」は何回聞いても飽きない。

 セカンドステージは小熊さんが加わっていつものキキオン。とはいえオリジナル曲は少なく、初めてきくキキオンという印象。
 驚いたことに佐々木さんも歌った。十時さんのボーカルに唱和したといった感じだが、きれいな歌声ではないか。私は実は佐々木さんがタイプなのだ。かみさんも私のブログを「面倒くさいことばかり書いている」といって全く読まなくなったから、基本的には誰も読んではいない。(TBもしないし、このブログの存在もまだ2人しかおしえていない。一人はパソコンももっていない)
 だからここで告白しておく。彼女は素敵な女性だ。キモいと言われようと構わない。彼女の曲の解説ぶりも素晴らしい。十時さんとのやりとりも微笑ましい。

 もとい。
 今度ライブに行くときはセットリストを作るべだと感じた。
いつも最前列で頭を揺らしながら聞いている若者は録音している(と、私は見た)それぐらいの情熱を傾けてキキオンを聞くべきなのだ。
 頌論と大げさなタイトルをつけた割には、支離滅裂な文章になってしまった。

 次回のライブは大編成のグループと日比谷カタン氏とジョイントとのこと。なんかえらいことになるらしい。楽しみだ。

 この日は下北のロックバーで飲む。ロックもいい。9月には野音でゆら帝があるし。

 家に帰ってから小熊さんからいただいたプライベートな「パリ日記」を読む。
 面白くて止められない。朝の4時過ぎまで読む。新書一冊分の分量はあると思う。
「インド日記」も面白かったが、「パリ日記」も負けない。出版の予定はないらしいが、フランス社会事情の骨格が分かる面白い本になると思うのだが・・。
 たった1ヶ月の滞在だったらしいが、精力的に歩き、食べ、人に会う小熊さんは、とてもあんな繊細なギターを弾く人とは思われないほどエネルギッシュだ。以前より痩せた感じだったが、どうかご自愛いただきたい。

 

▼これは「ピガ」のライブだと思われる。懐かしいキキオンの映像は貴重である。期間限定で添付。(2016.5.26記)

Quikion "escargot bianco"


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