小寄道

日々生あるもの、魂が孕むものにまなざしをそそぐ。凡愚なれど、ここに一服の憩をとどけんかなと想う。

明日にかける地震

2016年04月26日 | エッセイ・コラム

 

 熊本地震は、震度7が一日おいて2回も起きるという未体験の恐怖をもたらした。今日4月25日に到っても終息したとはいえない。避難生活をしている人々にとって、心休まる平常の時がはやく来ることを願ってやまない。

さて、気象庁の研究や東大などアカデミズムの科学研究により「地震予知ハザードマップ」が明示され、東南海、東海、首都直下型地震等が80%以上の確率で起きるだろうと予測されている(ビデオニュース参考)。NHKでは「巨大地震」のあの手この手の特番を繰りかえし放送している。被災シミュレーション映像を見て、私たちはそれなりの心構えをし、防災グッズ等も用意した。備えあれば患いなしである。

しかし今回の地震で、どうも腑に落ちないことがあり頭をもたげてきた。

今回の熊本地震はじめ、3.11の東日本大震災、新潟中越沖地震、遡って阪神・淡路大震災、北海道奥尻島の南西沖地震など、いずれも大規模地震の想定がなかった地域。日本列島の「ハザードマップ」でいえば空白域のエリアばかりで起きてきた。熊本地方は0~10%の予想確率だったそうで、これまで耐震対策を重視しなかったこともこの理由からだ。ことごとくの地震が想定外だそうだが、それで済ませていいものか。一般には知られていない何か理由なり、背景がありそうだ。

      

▲「確率論的地震動予測地図」 いかなるデータ・根拠に基づき作成されたのであろうか。参考にならないという参考です。

今回は得心のいくよう、素人として自分なりに調べてみた。

結論は、地震予知は不可能であること。つまり、この日本列島においては、いつでもどこでも大地震が起きて不思議はないということ。

確率の計算をしようにも根拠がないし、何万年にも及ぶデータはない。実質的にほぼお手上げ状態であるといっていい。私から言わせれば、365日50%つまり明日、大地震が起きるか起きないかは五分五分の確率。この命、明日に賭けるか、賭けないかぐらいの覚悟が求められる・・。

では何故「地震予知ハザードマップ」なるものが存在するのか? 

昭和53年に大規模地震特措法なる法律が制定され、それに基づいた地震研究が予算化された。そこに御用学者なる地震専門の学者、研究機関がうまれ、これまでに3000億円もの税金が彼らに投入された。ハザードマップの作成もその一環で生まれたものといえる。(確率の高いエリアほど、防災・耐震予算が配分されるということか)

良心的な地震科学者は、彼らとは一線を画し、地震の予知は不可能だとして地震メカニズムの多方面な科学的研究を地道に行っている。一方、御用学者の方は、たとえば東京立川の断層を研究した際に、断層発見の証拠としてコンクリートを提示したことで顰蹙をかったこともある。彼らについてはあまり触れたくないし、彼らを重用する政府およびNHKに対しても、私のような個人が口を挟むことは控えたい。

さて、地震のタイプは大きく分けてプレート内部型、および境界型、それに地内断層型の三つだが、実際はさらに細かく分かれる。熊本地震は断層型だが従来にないもので、下記写真のように一直線に切れるように断層がずれている。これができたのは前震か本震のどちらかわからない。

ビデオニュースで現地取材の映像が無料動画で見られる。断層の上に立っていた建築物は木造だろうが、鉄筋だろうが破壊された。

http://www.videonews.com/commentary/160423-01/ (約43分)

▲手前の畑が、人間の身長ほど左にずれた。

今回、東大・大学院理学系研究科教授ロバート・ゲラー氏の話は大変参考になった。彼の研究者としての姿勢や倫理観は真っ当なものだし、地震予知ほどいい加減なものはないということを、彼の科学的見識によって十分思い知らされた。ふわふわした独特な喋り方なので誤解される向きがあるかもしれない。彼がマスコミに登場しないのは、マスコミが期待するような受け答えを拒否し、真実だけを語るからであろう。ネットでは彼を際物的な扱いをして茶化す映像があり残念であった。

▼東大理学系の手短な紹介ビデオがあるが、ほんのさわり。参考までに。

ロバート・ゲラー 地球惑星科学専攻 教授 『地震波でみる地球の内部』

 

▲ロバート・ゲラー教授アメリカ・ニューヨーク生まれ。カリフォルニア工科大学地球物理学科卒。1977年同大学地球惑星科学研究科博士課程修了(博士号修得)。同研究科特別研究員、スタンフォード大学地球物理学科助教授を経て、1984年、東京大学大学院の初の任期無し外国人教官(助教授)として採用され、1999年から東京大学大学院教授。独特な日本語の語り口だが、知性的でユーモアがある。


追記:3.11のとき、太陽の黒点活動に関連して記事を書いたことがある。いまにして思うに素人の戯言であり恥かしい限りだ。いや、なんらかの相関関係はあるという願望が先走って、科学的で謙虚な態度が欠けている。記事は削除したいのだが、いい加減な自分を曝すこともブログだ。太陽の大規模フレアー爆発が地球にも被害を及ぼしたこともあり、電磁波はじめ太陽からの様々なエネルギーが地球に影響しているかもしれない。ゲラー教授は3000km地下の地殻まで研究している。人工地震の研究でシェールガス採掘にも一役かったらしい。地球のことも、まして地震のことも分からないことだらけだ、と彼なら言うはずだ。




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