近年、矢継ぎ早にBMWがニューモデルを発表する背景には、世界的不況の中でバイクメーカーとして生き残るための戦略が見てとれる それは新しいマーケット・ユーザーの開拓に他ならない 往年のBMWユーザーで、どんどん日本車化していく今のBMWの状況に危惧を感じている人は少なくないと思う 最初のOHVボクサー(R32)が生まれてから今年で85年になるが、ボクのR100Rミスティックはその系譜の最終モデルにあたる ひとつのモデルを長い間リファインし続け、良いものは変えないというスタンスは、かつてドイツの自動車メーカーに共通する考え方だった
しかし同じものを長く売っていればマーケティングの限界は見えてくる これまでのBMWはどちらかというと保守的なユーザー層に好まれる、簡単に言えば若者が買わないバイクだった そこでBMWが行った改革は"伝統"を捨てる事だった 1993年にデヴィッド・ロブがデザイン部門のチーフに就任してから2輪部門の舵取りは大きく変わった 彼の最初の作品はR1100GS 当時は奇怪なデザインとされたが、その後に発表された斬新なFシリーズや新しいKシリーズ、Rシリーズの登場によって2007年には全世界で過去最高の売り上げ(10万2467台)を記録した ちなみに2007年の売り上げ台数の43%はGSシリーズで占められている
同時期にBMWに入社したクリス・バングルは、のちに4輪部門チーフデザイナーとなり、デヴィッド・ロブと同じくBMWデザインにイノベーションをもたらした鬼才の一人だ 彼の最初の作品は2001年発売の7シリーズ(E65) あまりに前衛的なデザインだったため、当時は賛否がはっきり分かれた しかしこの7シリーズから始まったデザイン路線は、以降のBMW全車種で継承され、これまでのコンサバティブなBMWのデザインイメージを一新した
この2人の偉大なデザイナーのリーダーシップが保守的思考を断ち切り、現在のBMWのアグレッシブなブランドイメージを築き上げたのは間違いない
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