知らない人が見て、「でっかいドラムブレーキ」と思うかもしれませんが、これはドラムブレーキではなくファイナルケースと呼ばれています。
クランクから取り出されたドライブシャフトの回転を、ケース内部のスパイラルベベルギアで90度変換し、リアホイールを回すという役割を果たしています
ちなみに、差動回転はしないのでデフ(ディファレンシャル)ケースとは呼びません
シャフトドライブのメリットは、なんといってもチェーンのメンテナンスから一切開放されることです
チェーンの張りを調整することも、チェーンオイルを注す手間もありません
走行中のチェーンのシャラシャラ音もなくなります
昔のシャフトドライブ車はアクセルONで車体がピョコンと持ち上がったりクセが強いものもありました
このような難癖に対し、Guzziの場合はスィングアームと平行にロッドを追加してアンチスクワットのディメンションを与えています
BMWのパラレバー、MAGNIのパラレログランモも同じ理屈です
実際のリアクションもチェーンドライブと変わらず、アクセルオンでもリアが上がりません
チェーンでいう遊び、緩衝部分がないためにトラクションがダイレクト過ぎて、馴れないとギクシャクしますが、コーナー立ち上がりは、エンジンとリアタイヤが直結しているかのようなリニア感があります
ファイナルケースを支持するロッドエンドのマウントは、デイトナ1000では高価なスフェリカルベアリング(ピロボール)を採用していましたが、スポルト以降はごく普通のゴムブッシュに変更されました
ケース上部から伸びているホースは、ケース内圧を下げるためのブリーザーホースで、大気開放をしています
これはG.S.J.製のスロットルプーリーです。 ノーマルはアンモナイト形状で、アクセル開度によりスロットルバタフライの開き方とアクセルの重さが変わります ノーマルスロットルがなぜアンモナイト形状(非線形プーリー)を採用してるかというと、Guzziのエンジンが低回転域で発生トルクの大半を出てしまうという出力特性を考慮したものと考えられます アクセル低開度ではグリップの動きに比してスロットルの開き方が鈍く、大開度では敏感に開くように設定されています 低回転でギクシャクさせないというのが最大の理由のようです これを真円プーリーに換えるとアクセル開度と重さが常に一定になり、同時に低回転からのアクセレーションが敏感になります プラグコードはノロジーのホットワイヤーでプラグはノンレジスターの 「トルクマスター」を使用しています Guzziのような直径10㌢近いビッグボアを持つエンジンでは確実な着火と火炎伝播を速めるために、本来はツインプラグが理想とされています(Guzziレーサーはほとんどツインプラグ仕様) ノーマルのシングルプラグとその位置ではいかにも点火が弱く、実際に混合気の薄い領域ではミスファイヤーが頻繁に発生します このため急減速後の信号停止などで、しばしばエンジンストールという憂き目に遭うことになります ノロジーと専用プラグのセットですが、明らかにエンスト率は減りました(インジェクションでエンストすること自体どうかと思いますが・・・) これは火花が強くなったということなのでしょうか? 全般にトルク感も強くなったような気がします ただしアメリカ製のトルクマスタープラグは、どうみてもNGKのような信頼性は持ち合わせていないようなので、必ず1シーズンで交換するようにしてます(ちなみに1本3500円です) エアークリーナーについてはノーマルではタンク下に巨大なエアボックスが陣取り、これにカウル前方からダクトで走行風を導くラムエア機構が組み込まれています 吸入空気量は100km/h時→6%up、200km/h時→24%upといわれてます このラムエアシステムはデイトナ1000、前期モデルのキャブ仕様1100スポルトから採用されています 機構はエアークリーナーボックスとキャブのフロートチャンバーをパイプでつないで同圧にし、走行風で加圧されるとラム圧上昇によりフロートの油面を押し下げ、ガソリン噴出量が多くなります。 インジェクションモデルでは圧力センサーからECUが演算してガソリン吐出量を増やすものと思われます しかし実際にはエアクリーナー自体の吸気抵抗が大きいのと、エアクリーナーボックス一式が巨大で重いので、敢えてラムエアを捨ててシンプルなK&Nのパワーフィルター仕様にしています 抜けのいいテルミマフラーとセットのため、ECUロムをG.S.J.製の対策ロム(スーパーストリートロム)に交換して燃調をリセッティングしています |