珍方録

バイクと酒とジンギスカンをこよなく愛するブログ

BMW HP2 sport

2007-11-23 | BMWmotorrad

各メディアで既出のHP2sportですが、個人的な視点であらためて検証してみたいと思います
HP2[High.Performance.2Cylinder]シリーズでは初のロードモデル
予定価格400万というだけあって、他の生産モデルとは違うスペシャルな匂いがプンプンします
殆んどの部品がHP2sportのためだけに新規開発されたようです
先日乗せていただいたR1200Sも相当にアグレッシブなマシンでしたが、HP2sportでは1200Sより更に10馬力以上パワーアップされ、10㌔以上軽量化されています
ベースとなる1200Sのエンジンマウント位置は他のボクサーモデルよりも高くバンク角にはかなり余裕がありましたが、HP2sportでは上の写真のようにエキパイをオイルパンの真下に通すことでさらなるバンク角を確保しています
また、サーキット走行時にヘッドカバーが接地して削れても簡単に交換できるように、ポリアミド製のスリップ・パッドが装着されています
ちなみにヘッドカバーはドライカーボン製で15mm

精度が出てるためスタッドボルトはなんと2本だけ
価格およそ14万(片側)

いちばん大きく進化してるのがエンジンです
新設計のDOHC4バルブヘッドとなり、上のイラストのように4本のバルブを放射状に配置する"ラジアルバルブ"が採用されました
ラジアルバルブ化するため、カムは特殊な円錐形状をしており、軽量なロッカー・アームを介してチェーン駆動されます
ラジアルバルブというと、F-1などのコンペティション系エンジンの技術と思われがちですが、ホンダが昔から"RFVC"(Radial Four Valve Combustion Chamber)と言う名前でやっており、古くはCBX125FやXLX250、現行のXR250にも採用されています
他ではドカのデスモセディチやMVアグスタの4気筒エンジンに採用されてます
DOHCヘッドに加え、軽量なアルミ鍛造ピストンや新開発の強化コンロッドなどを採用した結果、最高許容回転数はボクサー史上最高の9,500rpmに到達しました
最高出力はR1200Sの122ps/8,250rpmから133ps/8,750rpmに上昇し、最大トルクは112Nm/6,800rpmから115Nm/6,000 rpmと、発生回転数が下がりました
BMWとしては、この複雑なヘッド機構も含めて、エンジンの耐久性は充分としています  果たして・・・

上の写真、シートレールは存在しません
シートから後ろすべてドライカーボンのサブフレームとなっています
ちなみにAssyで70万!!

マフラーはセンター出しの"アクティブ・エグゾースト・ガス・フラップ"を装備したステンマフラーを採用
これはヤマハのEXUPのような排気デバイスで、サイレンサーの手前にサーボモーターからケーブルで駆動されるフラップがあり、電子制御で全回転域で太く滑らかなトルク曲線が得られるようです
オプションで、アクラポヴィッチサイレンサーが用意されています

6段ギアボックスはR1200Sとは違って1速と2速のギア比が高く、全体にクロス化されています
ギアボックスには市販車初のクイックシフターが装備されています
BMWでは"ギアシフト・アシスタント"と呼んでおり、アクセルを開けたままクラッチを切らずに変速を可能にしています
ギアペダルを操作するとECUが点火角度を絞り、燃料噴射を抑制することでクラッチを使用しなくてもシフト可能としています
プレッシャー・センサーを交換することで、逆シフト(1Up5Down)にも対応。
ライダーがクラッチを操作すると、ギアシフトアシスタントは直ちにキャンセルされ、普通のミッションとして作動します

ブルーに塗られた鋼管フレームのレイアウトは新設計のリアセクションに合わせてディメンションが変更されています
ホイールは軽量な鍛造アルミで、リアタイヤは190/55ZR17という55%扁平サイズが採用されました

サスペンションは前後オーリンズが標準装備
フロントのテレレバーはスライダー・クランプ付近にアジャスターが用意されており、フロントの車高の微調整ができます
リアのEVOパラレバーももちろん車高調整式で、前後のシャシージオメトリーは付属の専用ツールで自由に変更が可能
HP2sportはサーキットユースも考えて開発されたマシンですが、ABSをオプションで選ぶことができます
このHP2sport専用ABSは、フロントのブレーキ回路に圧力センサーが追加され、リア・ホィールの加重がホッピングなどで激減した場合でもフロント・ブレーキの油圧を開放するタイミングが早くなり過ぎないようにコントロール・ユニットが調整します
もちろん不要な場合は、ハンドルスイッチでいつでもABSをオフにすることができます

個人的にそそられるのは上の写真の2Dシステムズ社製のメーターです
このメーターはMotoGPマシンや4輪フォーミュラーマシン、GTマシンなどにも採用されてきた実績があります
HP2sport用はBMWと2Dシステムズ社で共同開発したもの
イグニッションキーをONにすると液晶パネル全体が白色のELバックライトに浮かび上がり、各種インジケーターランプがチェック動作を始めます
この動作の美しさはもう芸術的といっていいと思います

操作には左側のハンドルバーに用意された2つのスイッチを使用します。
公道モードの場合、ライダーはエンジン回転数、車速、時刻、走行距離、残走行距離、走行時間などの一般的な情報を見ることができます
また、エンジンの暖機中には、それに関する情報が表示されます。
これは簡素化された1200Sのメーターよりはるかに情報が多いです
レース・モードの場合、ディスプレイにはラップ・タイム、最高回転数、最高速度、ギア・シフト回数などのデータが表示されます
また、パソコンに接続して保存されたデータを読み出すことも可能
さらにメーター・パネル上部には、高輝度LEDが8個並んでおり、回転数の表示や外部ギアシフト・ライトとして自由にプログラム可能
4輪のMモデルで採用されている可変式エンジン回転数警告システムも搭載されています
これはコールドスタートからいきなり全開にしちゃダメですよという警告で、エンジン油温の上昇に応じて許容回転数の範囲がLEDで次々と変化して表示され、油温の上昇とともに高回転域まで使用できるようになります

正式に発表された車重は乾燥で178kg、ガソリン満タンで199kgとのことです。 空冷のままでここまでやる、ということに長年ボクサーエンジンを育ててきたBMWのこだわりを感じます

販売価格は未定ですが、およそ390万と言われています
デリバリーは2008年から開始される模様
日本への割り当てが何台になるのかは不明

さて、2008年からワールドスーパーバイク選手権(SBK)のレギュレーションが変わり、2気筒は1200ccまで可能となりました
誰もが来シーズンBMWはこのHP2sportのレースバージョンで参戦するものと思っていましたが、SBKにはボクサーマシンでは参戦しないことが解りました
実は参戦は2009年からで、BMWは"1000ccの4気筒マシンを新たに開発する"との表明をしました
賢明なBMWですから、ボクサーエンジンで勝てるほどスーパーバイクは甘くないことくらいは解ってたんですね・・・

このマシン、公道が楽しいと思います

追記:
2009年ワールドスーパーバイク世界選手権参戦体制
◆マシン名:S1000RR
◆ライダー:トロイ・コーサー/ルーベン・ザウス

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R1200S 青山試乗会 PART1

2007-11-08 | BMWmotorrad

北海道のバイクシーズンも終焉を迎えようとしてるこの時期に、バイクを買ってしまった元気な方がいます。 その人の名はK崎クン  マシンはR1200S!
納車後2週間足らずで1000kmを走破し、慣らしも終わってしまったとのこと

先週、何も知らないボクのところに、Hクンから一本の電話がありました
「R1200Sに乗ってみませんかぁ~?」「メチャメチャ面白いバイクですヨ!」
これは嬉しさを隠せないときのHクンの感じ・・・
「KじゃなくてR?」
「はい、R1200Sです!」
試乗車に下ろした話は聞いてないゾ・・・と思っていたところ、前述のK崎クンのサプライズを聞かされたというワケです
「どうでしょう、青山あたりで試してみませんか?」
願ってもない嬉しいオファーです
「行きます!行きます!」 

11月6日(火)AM9:00、待ち合わせ場所に行くと、真新しいナイトブラックのR1200Sがボクを待ってました。 このレーシーな外観、特にリアからの眺めはとてもBMWには見えません
スポルトと並べてみると、全体に低くまとまった雰囲気が似てなくもない??
30分待ってもHクンが現れる気配がないので、置き手紙をして2台だけで出発!
当別の街を抜け、青山をめざしました

峠の上り口のT字路で竜巻Rサンを発見! なにやらヒザに異様なモノを装着しています。  正体はハンドメイド・ヒザ擦りパッドでした!! 

200万のバイクにガムテープ巻きのニー・スライダー! さすがは竜巻Rサン、ナイスなセンスです(笑)  パニアケースを外してこないところもイイですね

肩慣らしに3台で山頂のPまで走りました
ここで1200Sをうしろから観察。 んー、やけに軽く曲がってるナ・・・どこにもチカラが入ってない。   このバイクは期待できそうな予感

 

R1200SとオーナーのK崎クン↑
派手なブルーのBMWコンフォートシェルスーツと、コミネの革パンはこのバイクのために誂えたモノ(気合がちがいます!)
それにしても、やけにウエストがくびれてるジャケットだなァと思ったら、わざとレディース用を買ったんだそうですネ
スリムなK崎さんだからできるワザです

上Pに着くとHクンがいつの間にか到着していました
やっぱり来てくれました!

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R1200S 青山試乗会 PART2

2007-11-08 | BMWmotorrad
この日は、我々のほかに写真のGSX-R1000クンが坦々と走行を重ねていました一見、普通っぽく見えますが、カレなかなかやります

 

↑Kさんの走り

当別側からウイリーでスタートするR1000クンをまずはスポルトで追走
パワーで70馬力少なく、車重で50kg重いので、離されないで付いていくのは至難の業。 全性能を使い切って攻めまくる楽しみはなかなか他では得られません

↑K崎クンの走り

↑竜巻Rサンの走り

↑GSX-R1000

↑1100SPORT

1往復の区間、R1000クンの後ろと前とで絡ませてもらいましたが、思わず顔がニヤけるほど楽しいバトルでした

↑Pに戻る2台

↑R1200Sのステップ裏のバンクセンサーが邪魔なのでここで撤去

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R1200S 青山試乗会 PART3

2007-11-08 | BMWmotorrad

ここからはR1200Sのインプレです
ボクが想像していた以上のマシンでした
Guzziから乗り換えると、もうパワーの次元が違います!
下ろしたての新車のため、回転にまだ硬さがあることを差し引いても非常にパワー感のあるエンジンです
122馬力という・・・空冷のツインでもここまで出来るんですね
このエンジンは、同じ1200ボクサーのSTやGSと違い、高回転側の吹け上がりがかなり鋭いです
5,000rpmを越え、6,000rpmに差し掛かったところでエンジン音が硬質な音色に変わり、そこからレヴリミッターの作動する8,800rpmまで強烈なパワーが炸裂します

パワーバンドに入ると低いギヤではフロントタイヤの接地が保証されないので、時にフロントが暴れます
チカラでねじ伏せて走るこのカンジ、完全にレプリカマシンの挙動そのものです!
空車のシート高は830mmあり、1Gでもバレリーナ状態です
走り出して一つ目のコーナーに入ったとき思わず「軽い!」と感じました
高いシート高と相まって、ヒラヒラ感は抜群
テレレバーということもあり、コーナーに突っ込んでしまってからでもラインの修正が効き、リスク回避能力もかなり高いと見ました
これはイイ!

OEMのメッツラーSPORTEC・M1は個人的にはとても好きなタイヤのひとつですが、路面温度が低いのと強烈な立ち上がりトルクのおかげでリアが逃げ気味・・・
そこは人のバイクなので(笑)、慎重にコーナーを立ち上がります
タイトな区間では、パワーバンドに入ったところでフロントがスーっと軽くなり、次のコーナーまで飛ぶように加速
フルブレーキングでも大きなピッチングは起きず、そのまま52度まで許容する深いバンク角でリーンを開始
当別側のストレートでは6速まで入り、メーター読み250km/h弱まで到達、しかもまだ加速途中という・・・
これがBMWの走り??


青山線は平均してフラットな路面ですが、思わぬところにギャップがあったりします
テレスコのGuzziで通過すると、とんでもない挙動が起きたりしますが、同じ場所をR1200Sで通過しても何も起きません
この辺はBMWならではの安心感があります

↓熱い走りのあと、HクンとR1000クンがなにやら話し込んでます
STの商談?

Hクンが昼から仕事なので、ボクと竜巻RサンとK崎クンと3人でジンギスカン屋に寄りました。 清水ジンギスカンです

いつになく楽しい走りだったので、ジンギスカンも旨い!
空は青く、どこまでも高い

この日一日ボクらを楽しませてくれたR1200Sですが、最後にスピードメーターが壊れました(爆)  ↑ご覧のように200km/hのところで針が止まっています
みんなで鞭打ちすぎましたかナ・・・・

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