鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

102 心眼の星祭

2019-08-15 13:46:08 | 日記
---家家に猫の塔立ち星祭---

鎌倉は海岸まで行ってもかなりの光害があり満天の星は望めず、写真は星ではなく小満の月で御勘弁。
まあ澄んだ空でも私の視力では一等星くらいしか見えないが、折角の星祭の夜なので夜の散歩に出てみた。
それでも隠者の心眼には煌々たる銀漢が映っているので、そこそこ星祭りの想いには浸れる。

想いに浸るとか思索に耽ると言うのは、仕事や勉学のように目的に向かって集中するのと違って心をぼんやりと世界に溶け込ます事だ。
瞑想とか只管打坐に似て脱俗は必須だが、別に修行している訳でも無くただ色々想うだけで良い。
加えて思索の覚書として短詩か句歌が作れると、思考言語の格調が上がる気がする。
古の賢人達の著作も、その多くが韻文詩文である。

星祭(七夕)や盂蘭盆会は明治政府が新暦でやるように命令してしまったため、東京近辺では梅雨の最中に笹飾りが立つ。
明治政府の愚策強制が届かなかった地方では、伝統行事は今も旧暦で自然の季節に合わせてやっていて喜ばしい。


(青木木米作 陶製観音像 江戸時代 古瀬戸仏花器 江戸時代)
青木木米は江戸時代後期の文人画家にして著名な陶工。
彩色なのでより生身の女性像を感じさせる。
星の代わりに燭を沢山灯して幻想的な夜にしよう。
一人行う季節季節の儀式は精神生活を厳粛にしてくれる。
神との対話は古来から常に一対一だ。
密教の曼陀羅世界は現代科学の宇宙観と良く似ている。
古人も星空を眺めながら、遥かな時を思索に費やしたのだろう。

星景写真が撮れなかったので代わりに夜景猫を撮ろうと街をうろついたが、この夜は全く見付からなかった。
---星祭街から猫の消えてをり---

©️甲士三郎

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