鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

20 隠者の写真術

2018-01-24 06:14:01 | 日記
画家も文人も明治生まれの世代は皆和服だったので、肖像写真も様になっている。
かわって大正昭和初期生まれの世代は、敗戦で和服を捨てた。
私の父もその世代で国文学者だったが、どこに行くにもスーツにネクタイで貫禄がない。
遺影は身内の贔屓目で見ても、とても学者には見えない。
自分の遺影くらいは良い写真を撮っておいて欲しかった。
何でもネットに残る時代になって写真の重要性はかなり上がった。
以前、隠者装束の回で服装は取り上げたが、今回はその写真の撮り方をやろう。

隠者流は今の写真界でも比較的新しい、フィールドポートレートの手法だ。
スタジオポートレートは綺麗に装い、照明も凝ってポーズを決めて撮る。
フィールドポートレートはその人の家や仕事や散歩道など普段の自然体を撮る、海外のインスタグラムなどではお馴染みの手法だ。
始めに撮影場所を選ぼう。場所と言うより背景だ。
普段の行動範囲内でも探せばいろいろあるだろう。
色や光線、野外なら季節天候や昼夜などの時間帯に気を配ろう。
隠者流は光を最重要視している。
写真は同じ場所でも光線状態によって劇的に違ってくるのだ。
次にコスチュームの色などをを背景に合わせる。
最後に人物の位置や向き動きを考えて撮影だ。
機材は色々使うが自撮り棒は持っていない。
パソコンかタブレットで仕上げ、フォルダーに整理しておくのも忘れずに。

ファッションモデルの写真は、美しいがつまらない。
個性や人格が見えないからだ。
その点年寄りの肖像は、人格はともかく個性は出やすい。
また写真によって自己客観視でき、成るべき自分も見えて来る。
恥ずかしながら私の自画像には、まだ哀愁が足りない気がしている。
背景をより美しく人間をより哀しく撮れれば、自分の遺影に指定して心置き無く世を去れるだろう。

おまけで昨日の雪景 荏柄天神

一応私のブログ用機材を書いておく。
OLYMPUS PenF 12mm.25mm.45mm
Fuji. X70
PIXY
iPad Pro

病中に書き溜めた分が尽きたので、以後の更新は週一度程度の予定。

©️甲士三郎

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