鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

337 探梅捜春行

2024-02-22 13:19:00 | 日記

節季は雨水となり先週末の鎌倉には荒東風が2日ほど続いた。

鶯の初音こそまだだが、我が谷戸のあちこちの梅が咲き競っている。

愛用の100年前のライカをお供に春を探しに行こう。


近所の路地の垣根には各種の椿が咲き競っていて楽しい。



古風な四つ目垣と紅椿が良い風情を出している。

籬や垣は少し崩れかけているくらいの方が質実剛健の鎌倉らしさが感じられよう。

また谷戸の低山には薮椿が沢山自生していて、その実や花の蜜は小動物達の良い餌となっているのだ。

今日は薄曇りの柔らかな光の中で紅緑の対比も落ち着いて見える。


写真は谷戸の最奥の瑞泉寺近くの野梅。



将軍実朝が梅鶯を詠みにたびたび訪れたと言う我が谷戸も、古い家は次々と壊され庭の老梅も惜しみ無く伐採されて行く。

数年前に写真に撮った梅が、今年は無くなっていたと言う経験も度々だ。

せめてもの手向にと写真や句歌の中には遺してやりたい。

梅はほんの一枝だけでも鑑賞に耐え得るから、一部分でも良い枝振りの木を探したい。


路傍の菜の花はまだ小さいながら明るく咲き出した。



寒さの残る如月の山野では、例え小振りでも菜の花の黄色はとても目立つ。

早春の散歩道の主役とも言える。

菜の花は放っておいても種が溢れて次の年も同じ辺りに咲く。

ただここは1月にも草刈をした場所だから、もう少し伸びた頃にはまた刈られてしまうかもしれない。

せめて種になるまでは刈らないでくれと祈ろう。


今週は三寒四温で気温差が激しいが、その中で日々身辺の花が育つのを見守るのは楽しい。

ここ数日の寒さが弛んだ時に、また我が楽園を一回りしよう。

ーーー魁けて東夷(あずまえびす)が春探す 谷戸の深まで荒東風の古都ーーー


©️甲士三郎



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