鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

184 椿の難題

2021-03-11 13:24:00 | 日記

ーーー春愁い色多過ぎる瓶の花ーーー

亡父が好きな花だったので、我家には十数種の椿がある。

この温かさで例年は順番に咲く各種の椿が今年は一斉に咲き乱れ、我が荒庭はより一層の混乱を呈している。

せっかくの花なので散らぬうちに剪って三色活けでも試そう。


(古唐津仏花器 黄瀬戸四方鉢 江戸時代 花鋏 大正時代)

隠者の椿の活け方はいつも一花三花のシンプルな投入れなので、数色同時に活けるのには大変難儀した。

結局は活け上がった物より、途中の花材が散らかったこの写真の方が良かったのが情け無い。


花器を小壺に変え色は白を多めにしてみよう。

椿は葉の裏側に咲く事が多くて難しい。


(古備前掛花入 合鹿盆 江戸時代)

真ん中は隠者お気に入りの桃太郎と言う名の椿。

良い枝振りの物が採れず花が葉裏側なので、蕾を添えて誤魔化そうとしたがバランスが悪い。

葉がごちゃごちゃして思うように行かず、結局私に三色は無理だった。

豪華絢爛な洋風の色絵磁器なら多色の花も合うだろうが、その方向は隠者には到底似合わない。


(青磁小壺 李朝時代)

そしていつもの一花三葉の簡素な投入れに落ち着き、安堵のティーブレイクだ。

例によって大きいクッキーは家人が食べる。


どんなに花事が下手でも、花と遊ぶ時間は至福の時だ。

ーーー花買ひに週に一度は街に出む  世捨人とて街は恋しくーーー


©️甲士三郎