鎌倉の隠者

日本画家、詩人、鎌倉の鬼門守護職、甲士三郎の隠者生活

146 離俗の茶事

2020-06-18 14:00:00 | 日記

外出自粛のあおりで、皆もカフェより自宅での喫茶が増えただろう。

店より自宅の茶事の良い所は道具や飾りを好きに出来る所だ。

引籠りのこの梅雨場に、自宅の喫茶のもう一段の格上げを画策しようと思う。

今回は紅茶と珈琲で行くが、秋冬向けや緑茶烏龍茶もその内やろう。


喫茶時はリラックス効果だけでは無く、例え五分間でも精神は離俗の清浄界に遊びたい。

先ずは早朝の窓辺で、風と緑と鳥達の声で目覚ましのミルクティーだ。

寝起きなので茶器は気軽に購える20世紀の物が良いだろう。


1950年代のアメリカ黄金期を代表して、爽やかで気品もあるオーロラガラスのカップ&ソーサーと貝殻形ボウルに小花を添えた。

オーロラガラスの虹色世界から始まる今日一日は、きっと美しく過ごせるだろう。


午後のティーブレイクは眼に優しい淡い緑を主色にした。

私は糖類厳禁なので、茶菓子は撮影後に病母が食べる。


近年大人気のファイアーキングのジェダイ色マグカップと、同系色で幕末頃の三田青磁と明時代の玉製の辟邪を取り合せた。

期せずして日米中の競合となり、ビデオ会議に写るデスクの端にでも置けばコスモポリタンな雰囲気が出せるかも。


夕食後のアイスコーヒーは重厚感のある英国アンティークのピューター類で、威厳に満ち格調高い思索の時を味わおう。


後ろの額はヴィンテージ物のウエッジウッド四季の女神像だ。

先週ほそぼそと再開した鎌倉宮の骨董市で見付けて来た。

花器は越州窯青磁(宋時代)

ここから遥かな文明の叡智と美の浪漫に想いを馳せれば、自ずと我が内面世界も広がって行く。


今回は花は脇役なのでおざなりだが、派手な流派花や店舗向けアレンジメントが多い昨今ではむしろ無技巧の方が好ましく、華道を習った事のない人でも気兼ね無くやると良い。

不教不伝の投入花とは元来そう言う物で、今までよりちょっと茶器を工夫し小花でも添えれば、日々茶飯事を楽しみながら精神世界も一段と拡充して行く筈だ。


©️甲士三郎