精神科医、樺沢紫苑氏の心に響く言葉より…
UCLAの演劇学科で行なわれた実験があります。
被験者は、これまでの人生で起こった最も気がめいることについて一日中考え、それを科学者の前で演技しながら表現する、というものです。
実験の間、被験者はスタニスラフスキー方式の練習をしました。
これは、おびえる場面であれば、おびえたものの記憶を詳細にたどり、実際におびえた感情を引き出しながら演じるというものです。
もう一方のグループには、幸せな記憶だけを思い出して演じてもらいました。
その後2つのグループから数回採血し、免疫機能を継続的に調べたところ、楽しい記憶を思い出したグループの免疫細胞は数も多く、活発でした。
それに対して、気がめいる記憶を思い出したグループは、免疫細胞の数が著しく低下し、その活動性も低くなり、感染症にかかりやすい状態になっていたのです。
「悲しい」「苦しい」「つらい」ことをイメージするだけで、わずか1日で免疫力が低下するという身体の変化があったのです。
これはつまり、ストレスを受けるか受けないかは、あなたが実際にストレスを受けているかどうかが問題ではなく、あなたの頭のなかが「苦しい」と感じているか、「苦しい」で埋め尽くされているかによって変わってくるということです。
『「苦しい」が「楽しい」に変わる本』あさ出版
アメリカの心理学者、ウィリアム・ジェームズとカール・ランゲの有名な言葉がある。
「悲しいから泣くのではなく、泣くから悲しいのだ」
泣くことを演じれば、心も悲しくなり、元気もなくなる。
医学博士の安保徹氏は「免疫低下の大きな原因の一つはストレス」だと言う。
ストレスは、自らが感じ、自分でつくるもの。
幸せな記憶を常に思い起こし、自己免疫力を高めたい。