こ も れ び の 里

長崎県鹿町町、真言宗智山派、潮音院のブログです。平戸瀬戸を眼下に望む、人里離れた山寺です。

御札(おふだ)

2010年06月01日 | 仏教
日本には、多種多様な御札(おふだ)があります。
そしてそれは、いろんな場所に祀られます。
神棚、台所、床の間、便所、納屋、玄関、庭先、井戸、池、河川・・・
人間生活に影響を及ぼす大いなるものに対する畏敬の思いと、
よりよい生活を心から願う思いが、
多様な御札を生み出したのかもしれません。

私の住む地域では、古来より各地区単位の祈祷会が催されています。
歳の初めに行う「初祈祷会」。
そして半年たった夏期に行われる「夏祈祷会」。
各地区の地区長さんが、お寺から預かった版木に墨汁を塗り、
世帯数分の守り札を製作します。
地区によっては世帯分の注連縄まで準備するところもあって、
毎回のご苦労がしのばれます。

そんな祈祷会に必ず準備されるのが、「辻札(つじふだ)」。
直径5,6㌢、長さ2尺程度の樹木を十数本切り出して、
その一面に筆で文字が書き込めるようきれいにカンナをかけます。
樹木は、樫の木だったりシイの木だったり、
これまた各地区の伝承によって違ってきます。
この辻札には、
不動明王の梵字が書かれて、
祈祷会が終了すると、役員さんが手分けをしながら、
古より定められた地区堺の辻辻に建てられます。
この辻札を建てることにより、
村の中に疫病(流行病)が入ってくるのをバリヤー。
農作物に有害な害虫を防ぐ効果も。

私の幼い頃は、いろんなところにこの辻札が乱立してました。
今では、ずいぶん少なくなって、
他所のお寺さんでは、もうこの辻札は書かなくなってきたとか。
時代は変化します。

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