カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

冲方丁 『天地明察』

2012-10-05 16:51:39 | 本日の抜粋

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「ま……まさに……申し訳なく……」

ほとんど涙声になっている春海をよそに、関は、ふーっと深く息をついている。かとおもうと、なんだか妙にすっきりした調子で、
「怒鳴りすぎた。喉がいたい」
困ったな、というように呟いている。
「お主には、算術家どもの思いを、大いに汲んでもらわねばならんのでな……」

 だから頑張って怒鳴ってみたが、意外に大変だ、とでも言いたげだった。
 下げた春海の頭の向こうで、関が、茶湯でうがいをする音が聞こえた。どうも、春海に差し出された茶湯を取り上げて自分で口にしたらしい。

 冲方丁 『天地明察』より 角川文庫

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変わったペンネームなので少し調べてみた。
第一、読めない。
うぶかたとう、と読むのだそうだ。 

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生まれたのが1977年(丁巳)で、「丁」は火が爆ぜるという意味だったので、それに対して「冲(氷が割れる音を意味する言葉)を持ってきた。「方」は職業の意。冷静さと熱意、それを職業にしていくという意味がある。(ウィキペディアより)
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だ、そうだ。
幼少年時代をシンガポール、ネパールで暮らしたせいで、日本語には異常なこだわりがあるようである。

世事に疎い徳さんだが、映画化されたりして、人気の小説と聞き及んでいた。

この抜粋部だけでも、そのことはうなずける。

春海は江戸時代、大和歴を完成させ、従来の誤差のある暦を改革した渋川春海。
関は世界に誇る和算を完成させた関孝和。

こんな、真っ当な叱られ方を、徳さんはもとより、ほとんどの人が経験したことがないはずだ。

読者は、このように叱られる体験に嫉妬し、このように叱られるまでに至らぬ己に恥じ、このように叱ってくれる先達の不在に憤慨するのだと思う。


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