カイロじじいのまゃみゅむゅめも

カイロプラクティック施療で出くわす患者さんとのやり取りのあれこれ。

豊浦志朗 『硬派と宿命』 世代群評社

2015-11-20 18:11:08 | 本日の抜粋
新井英一の唄に『雪に書く恋文』というのがあって、徳さん密かに偏愛している。
なぜ密かに、なのか。
惚れた女に告白も出来ず、いたずらに溶け去る雪の上に恋文をしたためる事しかできない男を唄っているのだ。
純情なんだが気弱で軟弱な男だ。
そんな姿を世間に公表できますか、、、?

人間は無い物ねだりの動物だ。
で、ついつい「硬派」と標榜されると手にするわけ。

豊浦志朗とは船戸与一の作家デビュウー前のペンネームで、これは異色のドキュメンタリーである。
外浦吾郎名義で「ゴルゴ13」の原作者でもある。
これらのことはついさっき知ったことである。

まず、豊浦志朗の「硬派」の定義。

  *****
 硬派とは何か。左右激突の現場に突如として登場してくるこちこちの行動至上主義者である。体制の牙城めがけて不意に直撃弾をしかける攻撃者である。行動こそが万能だという神話の守護者である。したがって、硬派の分布は多岐にわたる。革命の側にもいれば反革命のサイドにもいる。民族解放戦線の中にもいれば、弾圧者の傭兵の中にもいる。無頼の一味の中にもいれば、警察官の中にもいる。共通していえることは、硬派はつねに状況の最前線で行動するということだ。
 硬派は状況の最前線にいるが、実のところ、政治的なことについてはよく理解していない。
  *****

なかなかいないよね、こんな人。
でも、彼はそんな人たちを見つけてしまう。
彼が心根で硬派だからだ。

この本を読んで知らないことにたくさん出くわした。

その内の一つ、マダガスカル国独立について。
それまではフランスの植民地だった。
で、独立は真の意味で果たせたのか?
いやいや、なかなかにフランス帝国主義は巧妙であらせました。

  *****
 以上が、ラマナンツォア政府が、一九七二年春の学生反乱の収拾法として、フランス政府との間に交わした特別協定である。条文を読めば歴然としているとおり、このこの特別協定に盛られたものは、マダガスカルとフランスの両国の関係を根底から揺さぶろうとするもの何もなく、骨抜きにされた外交用語の寄せ集め集である。一九四七年の蜂起者たちのいい知れぬ情念は十把ひとからげで歴史の屑箱の中に風化されたがごとく、一九四七年から六五年の激動の時期に生を受けた若者たちの生命を賭した爆発の内容もかくのごとく、決着をつけられる。爆発の余熱だけが利用されて、額発力の源泉たる血の疼きはいつも殺ぎ落とされて無残にひからびてしまう。
  *****

この間、世界を恐怖のどん底に追いやっているテロ行為は、こうした百年単位の長いスパンの中で考えなければならない。




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2 コメント

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百年単位で考える (toshio)
2015-11-20 23:45:29
>この間、世界を恐怖のどん底に追いやっているテロ行為は、こうした百年単位の長いスパンの中で考えなければならない。

シリアからの難民問題も、元をただせば第一次世界大戦あるいはそれ以前にさかのぼるというのだから根は深いですよね。今心配なのは、日本の対応です。なんかドジを踏みそうな気がします。
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Unknown (徳さん)
2015-11-22 13:38:02
おっしゃる通り。
返信する

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