VOXには出産経験者が多いので、いつも和栗先生と患者さんどなたかに入っていただいていたのですが、今回は母子センターの和栗先生が後半のグループディスカッションには参加できないと事前に伺っていたので、久しぶりに進行役で入りました。
横浜から参加された菊池先生が入ってくださることになり、集まってみると進行の私と医師1名、計画妊娠を目指している方3名、妊娠中の方2名、出産経験のある方1名、しかも初参加の方が多く、とてもバランスのよいグループでした。
もっとも驚いたのは小児科医である菊池先生が大変詳しかったことで、先生は妊娠管理も行っているとのことで、日本の糖尿病妊娠医療最前線にある東京女子医のデータや管理などについても大変よくご存じでした。
小児科医であっても大人になった1型の患者さんを引き続き診ているというのはよくあることですが、通常は妊娠管理は母子センターのような専門家に任せて、小児科医が妊娠中も続けて診るというのは稀なことだと思います。
参加された方の多くは病歴も長く、知識も情報も十分あるのではと思ったのですが、私が今回とても衝撃を受けたのは、妊娠に関する情報をあまり提供されていないということでした。
糖尿病の世界ではしばしば「教育」という言葉を用いますが、私の最初の入院のとき、主治医の先生がパソコン画面に「計画妊娠のための教育入院」と入力されたことを今もよく憶えています。
私は開業医によって糖尿病を放置されて、最初の赤ちゃんをあきらめることになりました。
そして、産婦人科経由で糖尿病専門医である今の主治医の元にたどりついて、糖尿病医療を計画妊娠でスタートしました。
こういう経過は1型では稀だと思いますが、2型ではしばしばあることではないかと想像しています。
入院中は、通常の教育入院に加えて、妊娠に関する指導、インスリン注射の指導などを個別に受けました。
そして、「元気な赤ちゃんを産むために」という手作りの冊子を手渡されました。
その冊子を手にするのは私が初めて、と当時の病棟担当医に言われました。
こうしてみると、私はつらい思いもしましたが、糖尿病合併妊娠に熟知する医師やハイリスク管理を専門とする病院に出会って、その後の医療環境はとても恵まれていたといえます。
習慣性流産で不育症と診断されたときも、その病院で紹介された最初の産婦人科医が不育症の専門家だったので、すぐに専門治療を受けることができ、私は出産まで4年にわたってこの先生にお世話になりました。
話を戻して、糖尿病合併妊娠に関する治療は理解するドクターも増え、CSIIの導入も増えたり、使える製剤も増えたりととても進んだと思います。
でもまだまだ患者さんに情報は十分に行き渡らなくて置き去りにされている部分があるのかもしれません。
知識を持つことが絶対とは言いませんが、知っていれば軽減できる不安もたくさんあります。
せめて最低限の教育や啓蒙は、もっともっと行って欲しいと感じました。
昨年末に【糖尿病をもつ女性が安全に安心して妊娠出産に臨むために】というリーフレットがヤング公開スクールで配布されましたが、こうした患者さん向けの資料をもっともっと作って欲しいと思います。
私たちも和栗先生と一緒に、定例会で配れる資料を作成したり、ホームページで妊娠に関するサイトを設置できればと思います。
最後に、この分野を切り拓いた大森安恵先生が執筆された本や、比較的最近出された妊娠に関する本を紹介しておきます。(ただし、医療書はちょっと高価です)
私は当時がむしゃらに資料を探しました。
でも糖尿病の本は、当時からたくさんたくさんありましたが、妊娠に関して書かれたものはほとんどなく、東京女子医が出したものにしか記述がありませんでした。
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一生懸命考えながら気を配りながら話をしているつもりですが、みなさんの心にどんな風に受け止められたか、いつも不安です。
土曜日に参加されたみなさんが、かわいい赤ちゃんを抱く日が訪れますように。
心穏やかに少しでも楽な気持ちで出産に臨めますように。
心より願っています。