岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

東北の旅 その15 石巻市1

2013-05-05 05:53:16 | 東北 2013年4月
4月19日朝、仙台市に着いた私は11時前にレンタカーを借り、
午後3時には石巻市蛇田にあるビジネスホテル「ルートイン石巻」にチェックインをした。
このホテルは津波に襲われていない。

駐車場からリックを下ろそうとハッチバックのドアを開けた。
すざましい強風が吹きつけてきた。
危うく転倒しそうになった。

4月下旬になろうというのに冷たい風が吹きすさぶ。
2年前の3月11日は雪さえ降っていた。
どんなに寒かったことか、想像さえできない。

ホテルの部屋に荷物を置いた。
昼食を食べていないことに気がついた。
持参したカロリーメイトを、これから訪れる市内の地図を眺めながら一箱食べた。

小さなデイパッグに写真集などを詰めて、再びホテルを後にした。
ナビの地図は海辺の門脇町にセットした。
石巻市内の道は初めて訪問したものには複雑すぎる。
ナビに導かれ海岸部を目指す。



次の浸水域の地図を見ていただきたい。
津波は低地が広がる市街全域を襲った。
中央の白い部分が日和山である。
この高台が多くの人々を救った。

しかし、あろうことか地震発生直後、日和山の高台から1台のマイクロバスが門脇町方面に下って行った。
日和幼稚園の園児を載せていた。
坂を下ったマイクロバスは襲ってきた黒い悪魔のような津波に流され火災に巻き込まれてしまった。
3日後の14日、無情にもバスに乗っていた5人の園児は変わり果てた姿で見つかった。
無念で仕方がない。

(「再び立ち上がる!」河北新報社より)



日和山の西、石巻港のすぐそばに、みずほ第2保育園があった。
地震発生時、11名の園児が園内に残っていた。
園長の津田さんは、すぐに園児を2階に避難させた。
防災無線が聞こえてきた。
9mの津波がくるという。
2階ではだめだ。
道路は大渋滞し、園のバスは利用できない。
津田さんは、怖がる園児を梯子を使って屋上に上げた。
すぐに津波が襲ってきた。
幸運にも屋上は水没を免れた。

雪が降ってくる。生きた心地がしないほど寒い。
水が引いた後、2階に降りた。
濡れていない衣服を探す。
クリスマス会で使ったサンタクロースの衣装がケースの中にあった。
園児たちに着せた。
室内に机とマットでカマクラをつくった。
園児たちがその中に入った。
水と乾パンが見つかった。
みんなで分けて食べた。

長い震える夜がようやく明けた。
待ちに待った救助の手が差し伸ばされた。
海上保安庁のゴムボートで全員無事脱出した。
17時間後だった。
(NHK東日本大震災アーカイブスより)

よくぞ頑張ってくれた。
ありがとう。


石巻市門脇町の画像です。
赤線の右端部分です。
冒頭の写真は、石巻市立門脇小学校です。
付近で火災が発生し延焼しました。





大型バスの乗客の皆さんです。



小学校脇の墓地は壊れたままです。



日和山への階段です。児童たちはここを駆け上がりました。



振り返ります。



小学校のすぐ裏です。



ここまで登って来ることができれば助かります。

石巻市門脇  なくなった方  143名
石巻市門脇町 なくなった方  134名    

合掌

毎日新聞記事があります。

再び、立ち上がる! ―河北新報社、東日本大震災の記録
河北新報社編集局
筑摩書房


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