岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『母―オモニー』 姜尚中著 集英社

2012-05-16 19:56:54 | 
2年ほど前に出版された本ですね。
本屋ではよく見ましたが読んではいませんでした。
昨日、初めて読みました。

著者が母の一生をきちんと書いておかなくてはならないとの思いからでしょう。
母である春子(順南ースンナム)さんは当時日本に併合されていた朝鮮半島の生れです。
植民地下の朝鮮では小学校に通えなくて文字が読めない児童が多く、春子さんもその一人でした。

そのため、自らの人生について書き残すことはかないませんでした。
著者はその母に代わって、母の一生を書くことになります。

私たち読者は、この本を通じて半島から日本に移住してきた人々の人生をとその思いを知ることができます。

姜尚中さんは、映画「三丁目の夕陽」の子どもたちと同年代です。
同じ時代をもっと過酷に生きた半島の人々の暮らしが描かれます。

私が通った小学校にも半島から移住してきた人々のお子さんが通学していました。
しかし、教室の仲間である彼らがどのような生活をしていたのか知ることはありませんでした。

この自伝的小説から少しわかったように思います。
私に欠けている知識は、
併合下の半島の生活。
日本に来るようになった理由と日本での仕事と生活。
戦争中の生活、そして戦後の過酷な生活。
半島との交流。
日本人との繋がりと交流。
そして、家族や血族との強いつながり。

もし読まれてなかったら、ぜひ読んでください。
お薦めします。


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