ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

再見は再会

2014-05-20 | 映画
今日は仕事はお休みでした。

一ヶ月に一回の更年期障害外来と一ヶ月ぶりの歯医者受診、スポーツクラブに買い物二件、夕方からはテレビで大相撲とプロ野球交流戦…と、典型的に呑気な休日でした。


BS 放送を観るようになって増えた楽しみのひとつに、NHK で毎晩放映する『プレミアム・シネマ』があります。
昨日は『フィールド・オブ・ドリームス』を観ました。
この作品は1989年の公開ですが、それから数年経ってDVD を借りて観た記憶があります。

20年ぶりくらいに観てみると、一つ一つの場面は覚えていたのですが、全体の印象は初見と思えるくらいに違っていました。
再見する前は、中流アメリカ人の野球に対するノスタルジックな愛着が溢れたファンタジー映画だった…という印象がありました。
でも昨夜は、中年期に差し掛かった男が反目していた亡き父と心の和解をするまでを描いた、ずっと個人的な作品のように感じました。
歳を取って、同じシーンでも受け取り方が違ってきたのです。

たとえば、ケビン・コスナー演ずる主人公が、「メジャーリーガーになる夢が叶わずに、中年期以降を退屈に生きた父の二の舞を踏みたくないんだ」とつぶやくシーンがあります。
主人公は36歳の設定で、大きな農地ときれいな奥さんに可愛い娘さんもいます。
前回観たときは私は36歳になる前だったので、この場面をスッと見過ごせたのでしょうが、もうすぐ55歳になる私は、こういうところでけっこうガックリくるのです。
私は彼より20年近く長く生きたのに、何一つ持っていないなあ…と。

でも最後、主人公がヤンキースのユニフォームを着た若き日の父と、自分が造った野球場でキャッチボールをする…というとても詩的な和解のシーンに少し救われました。
近頃のアメリカ映画はアクション物ばかりだし、若い俳優にも感情移入しづらくて、DVD を借りて来ることもなくなりました。
でも、こんなふうに若い頃に観た作品と再会して違う解釈が出来るなら、それはまた楽しみなことだと思います。