ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

職場の顔、素の顔

2014-05-02 | 独居中高年
今日は仕事がお休みでした。

明日からは世間は4連休ですが、私は3連勤です。
今日は朝から天気が良いこともあり、電車に乗って出かけました。
行先はスポーツクラブです。
いつも通っている店は金曜日が定休日なので、別の店舗に出かけたのです。

途中で急行に乗り換え、小一時間掛けて小田急線の相模大野駅で降りました。
相模…というくらいで、バリバリの神奈川県です。
ところが、スポーツクラブの入っているビルに近付くと、どうも様子がヘンです。
人の気配がないが、マサカ…と思ってると、やはり、この店も休館日なのでした。
頭の中で「ガーン!」という音が響きましたが、仕方がありません。
電車を乗り継いで、地元駅に戻ってきました。

駅近くのスーパーで食品の買い出しをして、商店街を歩いていると、名前を呼ばれました。
見ると、職場の同僚のFさんと言う男性が立っています。
Fさんは、地元でご両親と住んでいる…と聞いていました。
「今日、天気が良いので、両親とタクシーで買い物に出かけて、その帰りなんです」と、言います。
そして、後からゆっくりと歩いてきたご両親に、私を紹介してくれました。
お父さんはグリーン系のジャケットの下に、黄色いポロシャツを着ています。
シルバーカーで歩くお母さんは、大きなサングラスを掛け、玉の大きなネックレスを何本も首から下げた、色白の方です。
ご両親とも七十代後半くらいでしょうが、「お洒落だなあ」と声が出るような都会的な方でした。
Fさんからは「S区出身」と聞いたことがありますが、やはり都会でずっと生きてきた人は違うのだなア…と思いました。

Fさんは二年くらい前にヘルパーの資格を取って、私のホームで働き始めました。
中年期から介護職を始めた男性の多くは、覚えの悪さと男性としてのスタミナが足らないことで、現場ではどうしても軽んじられる傾向があります。
Fさんもどちらかと言えばそういうタイプでしたが、何とか頑張っている…という印象を受けていました。

前職は広告会社の社員で、主に新聞広告を担当し、バブル期の頃は「札束の厚みでボーナスの袋が立つ」という生活もあったとのこと。
その後の不景気で会社も人材調整し、ついに数年前に早期退職…という道を辿ったようです。
女性的…というよりオバサン的な口調と容姿で、それがかえって転職組の中年男性介護士にありがちな悲壮感を感じさせないところもありました。
でも正直言えば、私もどこか彼を軽んじている心がありました。
現場で不器用に働く50歳を過ぎた独身男性…という姿が、何だか痛々しく恥ずかしく感じられる…というところもあったのだと思います。

でも今日、堂々とご両親を紹介するFさんに「立派だなあ」という印象を持ちました。
私だったら気が付かないフリをして通り過ぎていたかもしれません。
職場とは違う彼の表情を見て、彼はけっこう物事をごまかさずにキチンと生きてきたのかも知れない…と、思ったことです。