ほとほと通信

89歳の母と二人暮らしの61歳男性の日記。老人ホームでケアマネジャーをしています。

難題

2014-05-04 | ほとほと日記
昨日、仕事を終えて帰ろうとすると、夕食中のホールから男性の大きな怒鳴り声が聞こえました。

行くと、一人の男性入居者が激高し、「謝れ!土下座しろ!」などとスタッフに怒鳴っています。

話を伺いましょう…と言いましたが、私にもふだんは見せないような目になって、盛んに怒りをぶつけてきます。

事務所の女性と二人で長い時間なだめて、ようやく部屋にお連れしました。

ホールの他の入居者たちは、不安そうにこちらを窺がっていました。

その男性はかなり認知症状が進んでいて、娘さんを妹と言ったり、ご自分の写真をみせて「この弟が…」と説明したりというレベルまで誤認が進んでいます。

短期記憶障害の強さはもとよりで、今しがた食事を終わらせたばかりで「食事をしていない」などと訴えます。

そういった症状のある方は多いのですが、この方の場合はそれが「自分は騙されている」「差別されている」という被害妄想に結びつきやすく、なおかつその怒りを直接的に表す傾向が強いタイプです。

認知症の方には本人の尊厳を大切にしながら、受容的な傾聴で…という個別性の原則はとても大切なことです。

ただ全体的な食事のような場面で限られたスタッフでそれを行うことは、実際に容易なことではありません。

今日の様子は果してどうでしょうか。

本人はもちろんのことですが、不安が強くなって食事量が落ちたり食堂に行けなくなる方も出てくる恐れがあります。

日常的ですが、悩み多い課題のひとつです。


神様。
今日一日が穏やかなものでありますように。
家族が皆、健康で暮らせますように。
友人たちが実りある休日を過ごせますように。
お祈り致します。