《ニュース》

開催中のパリ五輪では、CO2など温室効果ガスの排出を減らす取り組みとして、選手村へのエアコンの設置が見送られ、食事も肉を減らしたメニューが提供されるなどしていましたが、各国の代表らから不満が集まり、対応を余儀なくされています。

 

《詳細》

パリ五輪の開催委員会は、気候変動を「人類が直面する歴史上最大の課題」と位置づけ、大会に関連して排出される温室効果ガスの量を、過去の夏期大会の50%へと削減するプロジェクトを進めており、削減結果を秋に公表するとしています。

 

その一環で行われたのが、「選手村へのエアコン設置を見送る」「食事は肉を減らして野菜中心とし、メニューの半分は100%菜食で構成する」という対応です。エアコンは「エネルギー消費が多い」ため、肉は「牛や他の家畜のげっぷや糞尿により、温室効果ガスの一つであるメタンガスが排出される」ことが理由となっています。

 

しかし各国からは、「コンディションを保てない」といった不満が噴出しています。

 

エアコンについては、開催前から苦情が続出し、選手村に入らない選手団も出てきました。結局、大会委員会は各国が自費で移動式エアコンを設置できると認めたため、アメリカや日本、オーストラリア、そしてフランスを含む先進国を中心に、エアコンの手配が進んでいます。

 

オーストラリアのオリンピック委員会のマット・キャロル氏はエアコン導入の理由について、脱炭素のコンセプトは理解するとしつつ、「私たちは試合で高いパフォーマンスをするために来ていて、ピクニックに行くのではないので」と語りました(7月25日付米ウォール・ストリート・ジャーナル電子版)。

 

費用が出せない国の選手は、窓を開けて扇風機でしのぐ対応を余儀なくされています。インドの選手団は、「エアコンなしで慣れている」と、当初は問題ないと表明していましたが、猛暑に襲われたため、自費でエアコン40台を手配するに至りました。

 

さらに、選手村の食事が野菜中心であることも、肉や卵などのたんぱく質を大量に摂取する多くのアスリートにとっては実情に合わず、苦情が相次ぎました。その後、組織委員会は卵や肉の供給量を大幅に増やす対応を迫られ、「グリル肉の量を一人900グラムに増やした」としています。

 

日本選手団は味の素が食事のサポートを行っているほか、男子サッカーチームは外部の宿泊施設を拠点として、シェフが帯同。女子チームは1次リーグの際にいったん選手村に入りましたが、やはり食事面では不評で、準々決勝では選手村ではなくホテルを拠点としており、こちらもシェフが帯同しています。