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トランプ米政権による教育省職員の大量解雇をめぐり、米連邦最高裁判所は14日(現地時間)、解雇を当面容認する判断を示しました。

 

《詳細》

トランプ政権は3月、「連邦政府の官僚が機能していない」として、教育省の規模を大幅に縮小する大統領令に署名しました。「省の閉鎖を促進し、教育に関する権限を州に戻す」としています。

 

これに、民主党が主導する20州と首都ワシントンの司法長官や教職員組合などが提訴。ボストン連邦地裁は5月に大統領令の停止と、教育省の約半分に当たる1400人の職員の解雇を撤回するよう命じる判決を出しました。トランプ政権は差し止め命令の保留を求めて控訴しましたが、6月には連邦控訴裁(高裁)も地裁の判決を支持するとしました。

 

しかし最高裁がこのほど、地裁による差し止め命令を取り消し、訴訟の結論が出るまでの間、トランプ政権による職員の大量解雇を当面「容認」する判断を下しました。政権にとって追い風になる判決です。

 

原告側は最高裁の判断に対し、「全ての子供に公教育を提供するというアメリカの約束に壊滅的な打撃を与える」と批判しています。しかしトランプ政権が指摘するように、教育省は予算に見合った成果を上げておらず、むしろ教育の質を下げていると、米保守派を中心にかねてより批判が強まっていました。

 

例えば1979年の教育省設立以来、生徒一人当たりの連邦政府支出は倍増しています。特に1950年代以降、生徒一人当たりの教職員数は4倍近く増え、教員以外の「事務職員」に関してはなんと7倍以上も増加。人員増加の傾向自体は設立前から始まっていましたが、教育省は何ら打開策を見出せなかったと指摘されています。

 

これだけ公金と人材を供給してきたにもかかわらず、肝心のアメリカの子供たちの学力は「低下」の一途を辿っています。「国の成績表」とも言われる全国教育進歩評価(NAEP)の2024年の結果を見れば、読解力と数学の成績低下が著しく、特に読解力は「過去最低レベル」の低水準だったといいます。

 

結局、多額の政府支出は、管理・事務部門を肥大化させただけで、本来の目的である学力向上には全く貢献しなかったのです。今や教育省の"遺産"は、「無駄遣い」と「連邦政府の権限拡大」とまで言われる始末です。だからこそトランプ氏は、大学教育の在り方についても、「ハーバード大学に公金を投じるよりは、職業訓練プログラムに配分した方がいい」と問題視しているのです。

 

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