すずは千代子を凌いだか

巡回掃除人Ｋから来月の東京湾屋形船クルーズに誘われた。１万円はえらい出費だが俳句ができそうと思い参加することにした。
ほかのメンバーがぼくの俳句の話を聴きたいとか。またカラオケで歌ってほしいとか。ならば講演料と出演料をもらうぞ、などと盛り上がった。俳句のほうは緊張しないがカラオケは少々準備が要る。

久しぶりに歌王とカラオケへ行った。先生は「きみのストレートの発声は青春歌謡向きだから舟木一夫はこなせる」という。
「絶唱」しか人前で歌ったことのない舟木の「高原のお嬢さん」に挑む。リーフ、リーフ♪というやつ。「うん、かなりいける」とおだてられ「学園広場」を歌うと「高音の伸びがいい」と褒められる。
帰宅してユーチューブを見たら「君たちがいて僕がいた」もあった。それは動画で可愛い女優が出てきて本間千代子であった。懐かしい！　
彼女は昭和４０年代の青春映画のアイドルで吉永小百合とブロマイド売上げを競う双璧であった。和泉雅子、松原千恵子世代である。


マイルドな本間千代子


映画化された「君たちがいて僕がいた」の舟木・本間のコンビの初々しいこと。それまでこの時代のトップ女優は吉永だと思っていたが本間の可愛らしさにまいってしまった。
吉永小百合や現在ブレークしている広瀬すずは完成度の高い美形である。かたや本間は目と目の離れ具合がおっとりとしマイルドさで男子を引き込む愛嬌がある。手の届く花という親近感。
おまけに彼女は長野県上伊那郡伊那町（現：伊那市）の出身。伊那市出身の芸能人は三沢あけみしか知らなかった。
こんなすてきなお姉さんを輩出した故郷がにわかに輝いて感じられた。

　
シャープな広瀬すず

ウィキペディアは芸能人のさまざまな情報を伝える。「現在の本間千代子」を見ると、７３歳の本間が夫と仲好さそうに映っている。年相応のおだやかな風貌に好感を持った。かつてのスターがその面影のない老け方をしたさまは見たくない。沢田研二はなぜあんなに変わってしまったのか……。
芸能人、市井の人にかぎらず、ぼくくらいの年齢になると人の生きざまが気になる。呆けて施設へ入ったとか、アル中になったとか、生活保護を受けたとかいった知人もちらほらいる。誰もが年を取るのはむつかしい。

うん、本間千代子はいい年の取り方をしたようだ。
来月、伊那のお姉さんを思って「君たちがいて僕がいた」を歌おう。今の舟木よりはうまいつもり。

晩年の本間千代子と夫のひのきしんじ