天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

映画「娼年」を見る

2018-04-26 03:56:46 | 映画


全裸の女の上で全裸の男が激しく腰を律動させるという映像で始まる映画。全裸の男リョウを演じたのが松坂桃李。
20歳の大学生リョウは恋愛も勉学にも打ち込めずさぼりぎみでバーテンダーをしている。そこへクラブパッション(女性相手の男娼派遣業)のオーナー静香(真飛聖)にスカウトされる。連れて行かれた静香のマンションで娘の聾唖者さくらを抱くことで試験される。
さくら役の冨手麻妙は目が大きくて黒髪が厚く日本人形のような神秘性で聾唖者ならではの官能を好演。うーん、よかった。

冨手麻妙


このへんまでにしておかないとネタバレになるが、以後ずっとリアルな性描写のオンパレード。最初の客、馬渕英里何も美人で情感がありいうことなし。こんな女性相手だとこの商売悪くないなあと思うのだが、そうはいかない。

馬渕英里何

とにかくいろいろな女性とリョウとの性行為を三浦大輔監督が妥協なくリアルに描いている。その中で圧巻とはメグミとの行為。彼女はリョウのゼミ仲間で出席しない彼のためにせっせとノートを取って来て引き換えにただ酒を飲んでいる。
リョウに密かな恋心を抱いているが見向きもしないのでリョウを買う。このときリョウが最後にかける言葉(それはここで書かない)が彼女の救いとなったであろう。
メグミ役の桜井ユキはふだんは野暮ったく冴えない女子学生だが客となったときは別人というほどあか抜けた。女優の変身する凄さを感じた。
桜井ユキ


もう一つは、業績を上げたリョウにオーナーの静香が褒美を上げるといったとき静香の身体を要求して彼女が困惑し拒否したシーン。リョウを憎からず思っていてほんとうは受け入れたいのに自制した真意、これが最後にわかることで厚みを増した。

性行為の滑稽さを演じて見事だったのが西岡徳馬と江波杏子。西岡のせんずりシーンは笑いを抑えるのに苦慮するほどで恥も外聞もない演技に感嘆。皺の首に接吻される江波のコミカルぶりもよかった。

なんとヨミトモF子がこの映画を見ていた。彼女は原作者、石田衣良のファンでほとんど読んでいるという。
全体の感想を聞くので「美醜、年齢にかかわらずどの女性も満足し表情がよかった、描写はリアルだけど中身はマイルド」というと、F子は「女性はもっと美しく描く恋愛映画じゃないとだめ。夢がない」とのこと。人の性行為は見て夢を感じるようなものではない。男と女の感じ方の差をあらためて思った。

一致したのは、リョウの右手の使い方があまりに荒っぽいこと。「指を2本も3本も入れてピシトンしておしっこ出るまでやるなんて私は嫌」という。それはぼくも感じていて、フェザータッチやスローセックスなどという言葉もあるのだからあの手技を全女性に使ったのは解せなかった。
三浦大輔監督にセクハラの抗議は行かないだろうが、あんな激しいことを好む女性はそうはいないのでないかと疑問を感じざるを得ないのである。
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