中田匡峻氏(デイリースポーツ)の写真を複写させたいただいた
雄叫びの如き号泣雲の峰
この句を2回戦で負けた阿部詩と彼女を愛する人に捧げる。彼女の号泣に驚くともにしんそこ感動した。
28日、パリ五輪柔道女子52キロ級、阿部詩は2回戦でケルディヨロワ(ウズベキスタン)に1本負けで敗退した。試合終了後、阿部は畳のふちで座り込んでから2分46秒以上泣き続け、コーチに付き添われながら泣きながら歩いて裏に消えた。
勝って笑う顔は最高の阿部詩は負けても見せてくれた。
これだけ泣けることを羨ましいとも思った。号泣を雄叫びと感じた。
嫋嫋と泣いて絵になる女優はあまたいるが雄叫びのように泣いて見せる女優を見たことがない。
金メダルを取って笑う姿を本人も周囲の人も期待しただろう。小生も期待した。
けれど惨敗してこれだけ見せてくれた選手はそうはいない。勝って見せるのはある意味、当然。負けて見せられるなんて阿部詩の底知れぬ魅力である。
感情の量の豊富さ、人間味の奥行き、阿部詩はずば抜けている。演技のプロである女優も及ばない天然の凄さ。
転んでもただでは起きない素質を感じる。めったに見られないものを見せてくれた。
先が大いに楽しみである。笑って帰国して欲しい。
余談だが、これだけの表情を見せてくれたアスリートの写真が少ない。ここへ派遣されたカメラマンは撮るべきものがわかっているのか。
歓喜でなくこれを越えるシーンが今大会でこれからあると思えない。使わせていただいた中田匡峻氏とパオロ・ヌッチ氏に感謝する。
撮影・パオロ・ヌッチ