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天地わたるブログ

ほがらかに、おおらかに

圧巻白鵬の喧嘩ファイト

2015-01-17 07:15:28 | 格闘技
大相撲初場所6日目の見ものは一に白鵬VS遠藤、二に逸ノ城VS豪栄道であった。


まず白鵬の立会いの張り手一閃、遠藤が腰からくずおれかけた。今場所の遠藤は進化しており立ち直った。そこへ次は右からかちあげ。最近なりを潜めた大砂嵐並みの、いやそれ以上のパンチ力。エルボースマッシュである。
大相撲は最強の格闘技であると思った。
これにも遠藤が耐え一瞬白鵬のふところへ入る姿勢さえ見せて白鵬をあわてわせたがさすがに横綱がねじ伏せた。
白鵬は品性その他において横綱の手本のように褒められているが、毎場所ひとつかふたつ、予想に反した荒っぽさを見せる。
きのう解説の舞の海秀平が「横綱らしくない」と批判ぎみに言っていた。
しかし一場所一二回の白鵬のラフファイトをぼくは歓迎する。

品行方正がずっと品行方正だったらちっともおもしろくない。
「美は乱調にあり」という言葉もあるし、俳句ではたんなる美しさを求める中にあるパターンを「予定調和」といって嫌う。
白鵬だからいいのだ。
うがった見方をすれば白鵬は新進気鋭の若手の力をはかるとともに大相撲が基本的に「壊し合い」であることを身をもって教えたのではないか。不甲斐ない横綱、大関陣への叱咤といってもいい。
その荒っぽさは相手の付け入る隙に通じることも示して見せ、その危うさを自分で摘み取った。

いっぽう豪栄道は立会いで逸ノ城に両まわしをがっちり取られたとき勝負あった。こうなっては白鵬も難渋する怪物はなんなく豪栄道を片つけた。これは大関相撲。
だいたい豪栄道は大関の顔ではない。間違って大関になってしまった力士であるからいつその地位から落ちてもニュースになるようなものではない。
毎日緊張のしっぱなしでいることが伝わってきて嫌になる。プロというのは緊張していても見る者に豊かさを与えてくれないとさまにならぬ。豪栄道はアマチュア的緊張から縁を切れない小者。
逸ノ城はまだ相撲が下手だが大関の顔。両者の立場はすぐに逆転するのではないか。下手な相撲で五分で来た力士と一生懸命やってやっと五分を保つ力士との違いを見てしまった。

豊真将が現役引退を表明。
礼儀正しい力士にてご苦労さまであるが、けがをするのは実力のうち。白鵬が凄いのはけがをしないこと。しても軽傷でとどめること。プロの世界は「無事是名馬」に尽きる。
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関脇と平幕の横綱相撲

2014-11-21 19:19:58 | 格闘技


大相撲九州場所13日目の圧巻は横綱vs横綱でも、横綱vs大関でもなく、
関脇、逸ノ城vs平幕、栃の心であった。
立会ってすぐがっぷりの右四つ。両者が上手下手を十分につかんで引きつけ合うという古典的な四つ相撲。
こんながっぷり四つは栃若時代以来あまり見ていない。彼らのがたいを大きくしてパワーアップした感じの組合い。
逸ノ城192㎝199㎏、栃の心192㎝162㎏、再三再四の栃の心の寄りを残した逸ノ城が寄り切って決着したとき、見ているほうもふーっと息が抜けた。
プロレス流にいえば今場所のベストバウト。
白鵬は別として飛んだり跳ねたりする鶴竜、日馬富士を見ているとこれぞ横綱相撲といっていい。

稀勢の里に優勝してほしいとか日本人の横綱を希望するなどの意見はどうでもいい。
この二人に本当に横綱になってこの相撲を毎場所見せてほしいとせつに願う。
グルジア(大相撲協会はまだジョージアと呼んでいない)vsモンゴルの正真正銘の四つ相撲力士の横綱を望む。
これは無謀なことではなくかなり実現性があるように感じる。
いいなあ逸ノ城と栃の心は。永遠のコンビだぜ。

もう1番よかったのが碧山vs高安。
こちらは突き押しの火花が散った。碧山が途中で丸太のような腕を左右から振りまわした(張り手)。これに対して実況アナが「ちょっと乱暴になりましたね」と批判を込めた口吻を示したが、碧山もっとやるべきだった。
プロレスのエルボーのようにがんがんオープンブローをしていれば高安は脳震盪で膝から崩れたかもしれない。
この相撲も横綱、大関を食った。


白鵬以外玉がいない上位陣のなかで下のほうがこれだけやってくれると相撲協会はばんばんざいだろう。見ているほうはとにかく激しくておもしろければ地位など関係ない。
がむしゃらに激しくやってほしい。
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わけのわらん隠岐の海

2014-11-17 05:53:46 | 格闘技

白鵬の敗戦(6日目高安)

大相撲九州場所が中日を過ぎた。
サプライズがいくつかあってその1は白鵬が1敗したこと、その2は隠岐の海が前へ出ること。白鵬が負けてとっさに
風呂吹や白鵬負けて酔まはる

などという句ができてしまった。白鵬が負けるとニュースになる。
隠岐の海は結婚したとかで力が出ているようだ。それなら離婚して結婚するということを繰り返せばどんどん強くなれる、などと思ってしまう。
単純な頭の構造の男かもしれない。
白鵬が負けたことで鶴竜に優勝チャンスが到来した。
鶴竜は強いか弱いかわからない。いつも序盤はもたもたしていてこれが横綱か、いなしたりすかしたりばかりで勝ちを拾っていて情けない、と思うのだが意外に負けず、こうして序盤を乗り切ると前へ行く強さを感じるようになる。

【大関候補】
その本命はやはり逸ノ城
上位戦で苦戦して白星黒星が拮抗しているが回しを取ったときの安定感と強さは破格。横綱候補だ。
対抗は栃ノ心
けがをして戻ってきてから相撲が変わった。四つ相撲の姿勢ががぜんよくなって前へ出る。久々に見る本格派四つ相撲力士。
単穴に妙義龍
けがから直って間もなくまだ稽古が不十分のようだが押すときの形はいい。まだ大関候補として見捨てられない。頭の形、大銀杏の形など美しいし体型の優れた力士。



【渋い存在感】
蒼国来は燻し銀といっていい。

八百長事件の長いブランクから立ち直ったがここまで個性があるとは。そう体が大きいわけではないが力もあり相撲がしぶとくうまい。中国人は嫌いだが彼の粘り強さは見事。
荒鷲

玉鷲というのがいて紛らわしいがこちらは正攻法だが、荒鷲は相手の力をかわそうとする異端児。
相手の手をたぐったり、とったりで決めようとする専門家。
引き技、はたき込みが悪く言われる大相撲界にあって、これもよく言われないだろうが、技の冴えは抜群。
とったりはふつう腕全体ないし肘ふきんを決めることで完成するが荒鷲のそれは手首だけでも遂行する。驚くべき技能。
高安
そうしぶくなく目立っている。横綱を食うことができる一発屋。背中の剛毛もいい。課題はむらっけをなくすこと。

【どうしようもない力士】
琴奨菊
いい体をしているが稀勢の里同様バランスが悪い。土俵に足が根を張っていない感じ。前みつを取るというスタイルを確立すべき。なにがなんでも前へ出て相手を出せるほど大相撲は甘くない。
栃乃若
考え方が間違っている。こんな大型力士がもろ差し狙いをするから相撲が縮こまってしまう。顎を上げてのけぞるなど相撲では一番避けたいこと。そうなるのももろ差しを狙うせい。
上手を取る相撲に切り替えるべき、逸ノ城のように。
どういう相撲を取るかというプランがとても大事。この二人は相撲プランが間違っている。


逸ノ城戦を制した鶴竜(6日目)
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豪放逸ノ城としこしこ佐田の富士

2014-09-23 19:17:40 | 格闘技
大相撲秋場所がたけなわ。
優勝はまた白鵬かという展開だが今場所最大の話題は新入幕、逸ノ城の凄さだろう。
今日も勝って9勝1敗。それも三役経験者をいとも簡単に右からの強烈な上手投げでぶん投げている。
明日は異例の新入幕での大関挑戦となった。


照ノ富士、遠藤といったホープたちが上位挑戦で苦戦しているうちに彼らをまとめて葬ってしまいそうな気さえする。
明日、稀勢の里には勝って欲しいと思うくらい破格の強さを見せつけている。
大関候補というより横綱候補であり、今日の嘉風戦は横綱相撲であった。
大相撲の歴史を塗り替えるのではないかというほどのタレントを持っている。

いっぽう佐田の富士に注目する人はあまりいないだろう。
現在前頭12枚目。
花がない。ひとことで彼の相撲をいえば「ちょこまか押してずりずり下がる」という感じ。


今日はなんとか勝って3勝7敗としたが勝ち越しは危ない。
小さい相撲を取るなあ…という印象であるが体のサイズは、身長190㎝、体重201㎏。
馬鹿でかい。
体のサイズなら逸ノ城が身長192㎝、体重199㎏だからまったく互角。
二人とも怪物である。
けれど、なぜ、こうも強さの、あるいは輝きの差が出てしまうのだろう。
神様は不公平である。

たしかに佐田の富士はくすんでいるように見えるが幕内にやって来た力士はみんなスターである。
佐田の富士はこせこせした相撲を取るがなにか切実さがにじみ出ていて見捨てることができない。
彼にとって「勝ち越し」が最大の目標だろう。

特に幕内での勝ち越しは非常にむつかしい。
幕内経験82場所のベテラン安美錦の幕内戦歴は591勝627敗12休で勝率0.444。
さらにベテランの旭天鵬は幕内を93場所つとめ657勝723敗15休で勝率0.471。
二人とも勝率5割に達していない。
今日勝ち越しを決めた隠岐の海は勝ち越しが1年ぶりだから5場所連続負け越していた。
それでも上にいたから落ちて落ちて前頭15枚目にひっかかっている。
関脇以下の力士のほとんどが勝率は5割を割っている。

ということは、具体的にみると
7-8、7-8、8-7=22勝23敗、勝率0.489
7-8、6-9、8-7=21勝24敗、勝率0.467
という成績で幕内に留まることができることを意味する。
負け越し、負け越し、勝ち越しのパターンで幕内で相撲を取り続けることができる。
勝ち越し、負け越し、勝ち越し、負け越しというふうにきれいにいけばいうことない立派な成績だろう。
それほど勝ち越しはむつかしい。

ちなみに佐田の富士の幕内戦歴は90勝120敗(14場所)で勝率0.429。
ここまで勝率が落ちると十両と幕内を行ったり来たりせざるを得ない。
佐田の富士の相撲を見ていると「落穂拾い」を感じる。しこしこ地に落ちた稲穂を拾っている夕暮れのお百姓さんである。
いっぽう逸ノ城は大型コンバインで委細かまわず刈り取っていく大規模経営。
零細百姓の末裔としては逸ノ城の凄みに感嘆するのだが、佐田の富士の切なさもまた身にしみるのである。
 
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後楽園ホールでプロレスを見る

2014-07-21 20:21:38 | 格闘技

4日前ケーブルテレビGAORA SPORTSでWRESTLE-1を見た。
WRESTLE-1は武藤敬司(52)が去年7月に立ち上げたばかりのプロレス団体。正直いってプロレスじたい斜陽産業なのによく持っているなあと感じた。


そこでなんと船木誠勝(ふなき まさかつ)がファイトしていた。

今日、後楽園ホールにて正午からWRESTLE-1の興行があり、それを観戦した。
船木は武藤と組んで第3試合のタッグマッチに登場。
いっとき俳優業をしていた45歳は182㎝90㎏のスリムな体が美しくかっこいい。蹴り、関節技ともシャープで、得意の「ハイブリッド・ブラスター」(相手の左腕をハンマーロックで固めてからのツームストンパイルドライバー)を見せてくれた。蹴りから相手を起こしてこの技に持っていく呼吸がすばらしい。
強引でなく理にかなった無駄のない動きでフィニッシュに持っていくのが魅力だ。

武藤敬司はそこに立つだけで華がある千両役者で、「シャイニング・ウィザード」を鮮やかに決めて見せた。
   ☆
プロレスをナマで見るのとはテレビで見るのとでは音がまったく違う。テレビでは選手がマットに触れる音がさほどしないが、現場にいるとバシャン、バタン、バチーンと凄い。下敷きの板が激しく鳴って折れるのでないかと錯覚する。
ブレーンバスター(相手の首を抱えて持ち上げてほぼ垂直状態にして落とす技)はほんとうに痛そうな音を立てて爽快。
   ☆
武藤が売り出そうとしているKAIはまだ物足りない。セミファイナルに登場したがここで戦うのも荷が重い感じ。相撲でいうとやっと幕内に上がったばかりでとてもこの団体を背負えるまでいたっていない。勝つことは勝ったが帰るときまるで印象に残っていない。プロレスは勝てばいいというものじゃないのだ。

印象に残ったのがメインをつとめた河野真幸(34)。
武藤が前にいた全日本プロレスから連れてきた192㎝115㎏の大型ファイター。
善玉でいくのか悪役で売るのかまだ中途半端であるが大技の魅力は十分。
とどめはコーナーポストの上からのニー・ドロップでネアンデルタール人のような征矢学を葬った。征矢が3分ほど寝たままになっていたことにこの技の凄みを感じた。
シンプルな原始的な技が印象に残る。
船木誠勝のハイブリッド・ブラスターなどは力と知恵の合体した技であろう。

前半の後半の休み時間にNOSAWA論外(左)と大和ヒロシ(右)がTシャツにサインして売っている。


大和が善玉として売っているのでいいとして悪役として売っているNOSAWA論外が愛想を振り舞いて女性とツーショット写真に入っているのは困るなあ。
こんなことをしていてはタイガー・ジェット・シンやアブドラー・ザ・ブッチャーほどの悪役にはなれない。
やはり日本人レスラーはちょい悪くらいしかできないか…。
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