U小学校の3年生で、とっても本好きで……しかし、ちょっと困った男の子がいる。
M君は、1年生の時から20分休みにも昼休みにも必ず図書室にやって来る。
そして、本が大好き過ぎる。
U小学校の図書室は20分休みも昼休みも、子供たちでいっぱいになる。
私は予鈴の音楽が鳴ると、いつも、大きな声で「本を借りる人は早く!!さあ、本を片づけて椅子を直して帰りましょう!!」と叫ぶ!
しかし、彼は微動だにせず、本に目をくぎ付けにしている。
うまい具合に書架の陰にいて、ひっそりと姿を隠していることもある。
M君は坊主頭のかわいい男の子だ。
いつも目はキラキラしているし、怒った顔をしていることはないが、殆ど声を発さない。
1年生の時からずっと、図書室の休み時間にはあらわれて、時間が終わっても、こちらがどんなに追い立てても、簡単には帰らない。
いつも無口で、本にかじりついている。
でも、そんな無口の彼が1度だけ本の感想を私に言ったことがある。
『よみがえれアイボ』と言う本を、「いいね」と言ったのだが、私は、その本を読んでいなかった。
すぐにその本を借りて来たのだが、しかし、バタバタしていてまだ、読んでいない。
子供の本だから、すぐに読み終える筈なのに……
読めば、M君の謎が少しは解けるかも知れない……かな??!!
木莉