月刊 きのこ人

【ゲッカン・キノコビト】キノコ栽培しながらキノコ撮影を趣味とする、きのこ人のキノコな日常

カレー天国

2010-07-08 21:28:43 | キノコ
最初に回った東の敷地と林で隔てられているこの西の敷地には、まったく別の環境が用意されていた。芝生広場を中心として、遊歩道が施されており、その脇には、いかにも栄養のなさそうな赤土にシイ、カシ、ナラがちょちょちょいと植え込んである……

おおおっ!ちょっと感動してしまった。これって菌根菌的に最高の環境じゃございませんか!パッと見、殺風景で豊かな自然とかけ離れてしまっているこの自然が、実は人間に搾取され続けて痩せてしまった過去の里山の環境とそっくり。このやせた環境では、木は菌根をつくるキノコと仲良くして水や養分を確保せざるをえない。当然キノコがたくさん生える、というわけで。

いやー、こんなポイントまで隠し持っているとは、おそるべし滋賀。

さっそく歩いてみると……あるある。うじゃうじゃ生えてる。しかもめちゃくちゃ偏った種類構成で。とにかく多いのがカレーのにおいがするキノコ「ニオイワチチタケ」。そこらじゅうがカレーのにおいで充満している。それでも、誰もカレーを食っていないのにカレーのにおいがするという怪異現象の真相に気づいている人は、少ないようだ。

けっきょく、見かけるキノコの半分がカレーキノコで、残りをカレバキツネとニョロニョロが二分するかたち。毒ではないが、さりとて食べる気のおきない連中の大歓迎には苦笑するしかない。


これは……イタチタケの子どもだろう。


あっ!やっ!こんなキノコは見たことも聞いたこともないから。写真だけ撮っとくから。


私の挙動があまりに怪しかったせいか(そりゃそうだ)、駐車場に陣取ってヒマそうにしていた監視員のおじさんが接近してきた。話を聞いたところによれば、悪いことをする学生がいて、そういうのを監視しているのだという。

(悪いこと?ある種のキノコを眼を血走らせながら採取している……とかじゃないよな)と内心いやな想像が頭をかすめたが、まさかな、と思いなおし、正直にキノコを探している旨を告げると、意外にも好反応で「ああ、キノコならあそこに赤いのがあった、白いのもあったな、あれは毒なのか?」「危ないから見かけたら踏んづけるようにしているんだけど」などといろいろとしゃべったり質問したり。

ひと通り話し終え、私は「キノコたちをむげに踏みつけないでほしい」というニュアンスをほのめかしながら(弱い)、ほやほやの現地情報「池の方に大きくて白いのと赤いのがある」(漠然すぎる)を頼りに池へむかった……

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