Hobo's File by KINO

道の向こうへ歩いて行けば 違った空が見えてくるんです

空の下の違った風景を見ていたら 色々感ずることもあるんです

2023年ベスト10 -新譜編-

2023-12-25 07:16:50 | ベスト10

引き続きの円安傾向と送料の高騰もあり値上げの波は変わらず、年金受給者には厳しい音盤購入状況が続きます。
それでも愛すべきアメリカーナの連中を中心に、今の流れを見ながらなるべく安価に購入を続けています。
既に終活の時期であり、少しずつ手持ち音盤や書籍、時計・カメラなどを処分して購入費用を捻出した一年でした。
収納スペースが生まれた上、今年の新・旧譜の購入も全てまかなえて悪くはなかった。今後10年間断捨離は継続必至です。
新しい流れにはついては行けませんが、まだまだ耳を傾けるべき好みの音楽は生まれている。
今年も十指に余る愛聴盤に出会えて良き一年でありました。


1.Celebrants / Nickel Creek

無期限休止を解きリリースされた新譜、幼馴染の絆は強いよ!年明けにはツアーも再開される。
Chris ThileはPunch Brothersよりもリラックスし、Watkins兄妹は逆により強靭な演奏を聴かせる。
疾走感を上げているのはSaraのフィドルかも。どの曲も真ん中に彼らの歌があるのが素晴らしい!


2.Keep Your Courage / Natalie Merchant

不思議ちゃんNatalieの9年ぶりの新譜。声は少し枯れたが、ゆったりと真摯な所は不変です。
セルフ・プロデュースで10曲中9曲が自作とまだまだ創作意欲はあるので、次作はもう少しインターバルは短めにね。
ホーンの鳴りの良い元気な曲"Come On, Aphrodite"が個人的にはキラー・チューン!


3.Home / Eliza Gilkyson

Elizaと共同プロデュースを務めるDon Richmondとの共作とも取れるようなフォーキーな新作が清々しい。
DonのグループThe RiftersのRod Taylor(Asylumの人とは同名異人)とJim Bradleyを始め、Robert Earl Keen、Mary Chapin Carpenter等が
声を重ねて彩を飾る。いつも以上に華やかさを感じるのはその為かもしれない。
自作の中で1曲だけタイトル・チューンとしてKarla Bonoffの"Home"を取り上げている。その真意や如何に?


4.Stories From A Rock N Roll Heart / Lucinda Williams

脳梗塞を患ったLucindaのカムバック作。コロナ禍でのカバー曲演奏も原点回帰になったのか、"Last Call For The Truth"等のスローな曲に
「Car Wheels On A Gravel Road」の頃のきらめきを取り戻している。こういったルーズで引きずり感のある彼女は最高!
プロデュースと全てを共作し、マネージメントも務める旦那のTom Overby無くしては生まれなかった作品。
今だ彼女はギターを弾けないようだがツアーにも出ている。もはや生き方そのものがロックしている。


5.Weathervanes / Jason Isbell And The 400 Unit

Dave Cobbの手を離れたのか、前作に続いてのセルフ・プロデュース作。但しサウンドは確立しており、歌演奏共に素晴らしい。
現在のロック系SSWでは最高のミュージシャンの内の一人。エレクトリックの中にアコースティックな楽曲を混ぜる辺りも絶妙だ!
奥さんのAmanda Shiresがメンバーからゲスト扱いになっているのが気がかり。彼女のフィドルも大事なピースですから。
しかし、映画「キラー・オブ・ザ・フラワー・ムーン」でJasonに会えるとは思わなかった。


6.All That Was East Is West Of Me Now / Glen Hansard

バックの演奏がいつになく重たく、出だしから驚かされる。ギターの響きなどからは同郷アイルランドのU2さえ思わせる。
それでもテンポを落としたアコースティックな"There's No Mountain"等では、彼らしい思いを込めた歌が聴ける。
アイリッシュの歌い手からは、どことなく影を帯びた地面から湧き上がるものを感じる。そんなものをこのアルバムも持っている。


7.Black Bayou / Robert Finley

黒人ブルースマンの新作は再びDan Auerbackがプロデュースを務めている。今や米南部の音楽を仕切らせたら抜群の音を作る。
ここでも彼はギターを弾きながら、Robertの荒々しい歌声とささくれ立ったバンドの音を上手くミックスしている。
楽曲のクレジットが全て演奏するバンドメンバーになっている平等性に驚かされた。セッションしながら曲として結実したのか?
スワンピーなブルースに混じって、ソウル・バラードな"Nobody Wants Be Lonely"が鳴り響き思わず驚かされた。素敵だ!


8.Higher / Chris Stapleton

カントリーだが、サザン・ロック的なものも強く感じさせる人。その歌声は豪放だが、親しみ易い曲に耳を奪われる。
自身と奥さんのMorgan、Dave Cobbが共同プロデュースし、曲作りと演奏にも二人は参加している。
1曲目から歌姫Miranda Lambertとの共作だが、残念ながら彼女の歌声を聴くことはできない。
"The Bottom"と"The Day I Die"が個人的にはキラー・チューンです。


9.Headwinds / The Kennedys

フォーク・ロックを奏でる夫婦もの。メンターであったNanci Griffithを亡くしたが、彼女の魂を継いでいる感じもする。
いつまでも清々しさを失わないのは貴重。"The Sky Doesn't Look Right"の疾走感は一つ抜けてます。
夫婦ものではBuddy & Julie Millerも新譜を出したが、こちらによりシンパシーを感じたのでした。


10.Life Don't Miss Nobody / Tracy Nelson

すっかり風貌はお婆さんになってしまったが、まだまだ歌える人だと証明してくれた。
旧友たちの力を借りながらブルース・カバーを中心に歌うが、声にざらつきが無くてとても良いのです。
フォスター作"Hard Times"を異なる2バージョン収録しているのは、彼女なりの現代への警鐘なのかもしれない。


次点にBettye LaVette、Taj Mahal、Smokey Robinson、Rachael & Vilray、Adriana Calcanhotto、The Burrito Brothersなど多数。
Van Morrisonは今年も2組出して元気な所を見せてくれたが、2枚組の約半数、もう1枚は全てカバーで少し残念。
まだまだオリジナルの秀曲が書けると思っているので、次作は全曲オリジナルのバン節を聴かせてもらいたい。
とかくベテランになるとカバーを歌いたがる傾向にあります。気持ちは分かるのですが、SSWの暖簾が泣くのではと思ってしまう。
邦楽はライブには小まめに足を運ぶのですが、音盤を手に入れるまでのものは残念ながらありませんでした。
来年もお気に入りの新譜に沢山出会える事を願っております。来たれ!円高。

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