今更ですが、漸く『あの夏、少年はいた』を読んでいます。
何時か観たNHK『あの夏~60年目のラブレター』の川口汐子さん岩佐寿弥さん、お二人の往復書簡と
当時の教育実習日記から、かつての瑞々しい日々が甦ってきます。
日本が敗戦へ一直線だった昭和19年夏、小学校4年生だった岩佐少年が
若き雪山汐子先生に恋い焦がれたような思い出は、誰にもあることでしょう。
確かに‥Kimitsukuにも懐かしい先生が
小学3年生の時の担任だったY先生は、まだ20歳くらいの元気なオトコ先生で
確か正式な教員資格を持っていない代用教員だったような‥。
教室の天井を見上げながら九九の暗記をしたり、理科の授業でトンボやカエルを捕まえたり
毎日学校へ行くのが楽しみでした。
4年生に進級した時、Y先生は教員養成学校へ行ったと聞きましたが
本当のところは分かりません。再び姿を見掛けることはありませんでした。
ちゃんと「サヨナラ」が言えなかった寂しい思い出が残っています。
もう一人は、中学2年の担任だったJ先生です。
Kimitsukuもお年頃、はっきり言って初恋に近い感情を持っていたかも~
高村光太郎の『道程』を教えて貰ったり、夏休みに校庭でキャンプしたり
先生の下宿へ押しかけたり‥様々な思い出が甦ります。
オトナになったら先生のお嫁さんに‥なんちゃって。
それなのにJ先生は同僚のオンナ先生と結婚してしまい‥敢え無く初失恋を体験したのでした。
月日は流れて、汐子先生も岩佐クンも既に他界されましたが
お二人が遺した『あの夏、少年はいた』は
多くの人々に、多感だった「あの頃」を思い出させてくれることでしょう。
何やら思うようにならぬ世の中に、ひととき爽やかな春風を感じさせてくれる一冊
です。