
子供の頃、実家では年末12月28日に餅を搗くことと決まっていた。
朝から餅米を蒸す良い香りが家中に立ち込め、知り合いの小父さん
小母さんに手伝って貰って、臼と杵で本物の餅を拵えたものだった。
母の側で、搗きあがった餅を丸めたり伸したりしながら、子供心にも
幸福感に溢れ、正月を待つ期待に胸が高まる一日だった。
現在、我が家では一年中ホームベーカリーで餅を作って食べている。
便利なような、味気ないような、「家庭用電動餅製造機」ではある。

それでも12月28日には、餅を食べねばならないような気がして今日も
ホームベーカリーに働いて貰った。搗くというより捏ねるというべきか

たいした手間もなく簡単に餅が出来上がった。
「搗きたての餅はやっぱり美味しいネェ」、納豆や大根おろし等で頂くと
幾らでも食べられる。膨らんだお腹を撫でつつ満足満足

幸せ一杯だった遠い日の思い出が甦った。