目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

69-sixty nine- ★★★

2005-04-14 04:26:30 | ★★★
 村上龍による同名の自伝的小説を、人気の宮藤官九郎脚本で映画化。妻夫木聡、安藤政信ら主演。1969年長崎・佐世保の高校での出来事を出来事一つ一つにスポットをあてていって話が展開する青春学園ムービー、といったところ。方言もかなり出てくるし、地方色も結構強いかな。当時、アメリカはベトナム戦争中で日本国内でも反戦運動であるとか、学生による活発な学生運動が行われていたみたいです。またロックが世間一般的にも認知された後であるために高校生もこぞってロックバンドのカバーをしていた時代のようです。私は残念ながらこの作品の舞台1969年には影も形も無い、つまり生まれてもいないんです。そのため、この映画の時代考証であるとか、当時の雰囲気をどれだけ再現できているか、といったことはわからないのです。が、結構面白い映画だと思います。だってこの当時の高校生がみんな今日本を支える年代なんですよね?むしろもう引退時期ですかね?信じられない、って思っちゃいますよね。まあ、とにかく色んな意味で楽しめる映画です。役者一位一人も丁寧に方言をしゃべるし、脚本のクドカン節はうまくきいていて、ところどころ非常に笑えるシーンもあります。クドカン脚本が嫌いな人、下ネタ嫌いな人以外にはそこそこオススメです。PG12指定だから地上波ではなかなか放送されなさそうですね。


 さて、ここからは映画を観て色々思ったことを書いていこうと思います。あんまり映画の感想ではないんですけどね。私の大学は非常に学生運動が盛んな大学だったらしく、それこそこの映画の舞台になった1969年あたりはとても大変なことになっていたようです。テストができなかったり、教室に立てこもりがあったり、学生が死んだり。それこそ血で血を洗う紛争が続いたそうです。そのせいで色々な確執が大学と学生の間に残ってしまいました。大学は学生側を恐れて、学生運動などにはノータッチを貫くようになりました。触らぬ神にたたりなし、とでも言いましょうか。大学内のいくつかの施設は運動家によって不法に占拠されたままになって数十年が経ちました。私が大学生になってもその人たちの残党は根強く大学内で活動していました。ビラ配りであったり、大学の至るところにポスターを糊付けしたり、巨大な看板を不法に設置したり。毎年何人かの新入生が怖い目に遭ったりもしたようです。学園祭の時には実行委員とトラブルを起こしたり。こういった人たちを大学内の施設から一掃しないことにはいけない事態になりまして大学在学していたある1年間をそれに充てることになってしまいました。(もちろん私は生徒ですよ?)まあ、成り行きでしたが逃げようもありませんでした。そういった運動家というのは実際、普通の人たちなんですよね。映画の劇中でも刑事が主人公に似たような「ことを言うシーンがありますが、普通っぽい人がそういったことをしているんですよね。私は直接は見ていませんが、映画劇中で観られる一番お下品なシーンの話も、「実際に」あったそうで先輩はそういった被害にあったそうです。(詳しくは割愛)
そして、1年かかってなんとかそういった勢力を大学内からある程度一掃できたんですよね。だから、この映画を観ているとなんだか感慨深いっていうか。
正直、運動家っていうのは周囲が見えてないことが多くて、人の迷惑を省みないことが多いです。劇中でも主人公たちがとる「バリ封」という行為は一般生徒からしたら迷惑極まりない行為だと思う。ペンキなんてなかなかはがれないことを私は実際になんとか消そうとしたことがあるから知っている。
あと作中で出てくる木刀であるとか、赤いヘルメットも実物を数回目にしました。正直怖かったですよ。狂気を感じました。
なんというか、この映画で主人公たちが後半に取る行動に私はとても救われました。そう、闘争も立派かもしれないけど実際には「楽しく過ごす」学生生活が一番いいに決まっていると私は思います。自分が好きなように、誰に押し付けるわけでもなく、でもみんなで楽しめる場所「フェスティバル」を作り上げる、そっちのほうが100倍も200倍も意味があって意義があって、記録には残らないかもしれないけど、若いもんなの脳裏に記憶として鮮烈に残るんじゃないかな、と。闘争とか、ツッパリとか、まあ、そういうのもいいかもしれんけど。人に迷惑かけるのはやっぱりよくないと思うんだよね。
あ、そうそう同じような年代の映画でもっとバンド音楽にベクトルが向いた青春学園ムービー「青春デンデケデケデケ」が個人的には私のオススメです。実はそこの高校、私の母校なんです。

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