目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

イーオン・フラックス ★★

2006-03-29 15:13:53 | ★★
見てきましたよ、イーオン・フラックス。

うーん、まあそこそこ楽しめました。

私は近未来社会を描く作品はかなりえこ贔屓して鑑賞してしまうのですがあまり感銘を受けなかったのは低予算が目に見えてわかってしまい努力の痕跡が見えなかったからでしょうか?


同じようにガタカも割と低予算映画のように見受けられましたがこちらの方が近未来の感じがうまく演出出来ていたように思います。

バックグラウンドに関してろくに説明がないままに物語が二転三転するのでついていくのが大変かもしれません。

敢えて1800円を払って劇場に見に行くような映画ではなかったように思います。

脳内で指令を受けるシーンなんかは割と面白い設定。

あとセキュリティシステムが無駄に強固なのも面白かったかなあ。

足を手にしちゃったアサシンなんかもなかなか見所あるキャラではあったのですがいかんせん演出がいまいち過ぎて楽しませるものにまで発展出来ていなかったのが残念。

アクションもかなり食傷気味。


正直新しいものを感じませんでした。

責めてガン・カタ並のインパクトがないとこのテの映画でマトリックスを越えるような面白さを生み出すのは難しいかと。

機動戦士ZガンダムⅢ 星の鼓動は愛 ★★★

2006-03-08 00:40:13 | ★★★
見てきました。
ちゃんと1と2を予習してから。
変更点は多々あるわけですが・・・。

まずはファンとしての感想。

富野監督自らが喧伝していた「ラストの変更」は
ファンなら温かく迎えられるラストになっていたように思います。

この時代にZを真正面から方法はあまりに不器用ながらも
リメイクしようとした姿勢は評価してあげたい。
エンディングのヘヴィロック気味の曲は減点対象。
サエグサのセリフもアウト。
ただ、テレビ版にはなかったラストシーン追加は
歓迎してあげたい。
2ではあまりにひどかったストーリーのブツ切れは3では割とマシになっていました。

やっぱり一ついえることは旧カットと新カットの
融合なんてのは不可能なんだから新カットで全部やったらよかったのに・・ってこと。
ほんと富野監督は不器用です。
でも 作り直してくれてファンは感涙、だと思う。
シャアの演説シーンがなかったのはとても残念。
なんとか入れられなかったのかなあ。
富野監督としてはファースト3部作、Z3部作、
逆シャアで全7部作として完成した、と言ってました。
ZZは封印、ってことなんでしょうねえ。
逆シャアにキレイに繋げるように努力したそうで。
ちょっと残念。
できればお元気なうちにZZも映画化してリメイクして欲しいです。
一番リメイクやりがいがあるんじゃないでしょうか、ZZ。

さて、映画としては正直評価に値しません。
テレビシリーズをちゃんと見ている人間にとっての
ファンムービーでしかないからです。
映画はそれ単体でも理解できなければお金を払って
劇場にきた全てのお客さん(テレビシリーズ未見の人とか)に対して
失礼になりますからね。
ストーリーを映画版だけで把握するのは不可能ですし。
エゥーゴ、ティターンズ、アクシズ、シロッコの3つ巴から
4つ巴の展開は初回視聴者が単純に把握するには難しいし、説明不足。
キャラクターも登場人物の数が多すぎて、感情移入を妨げます。
ラスト付近、エマのシーンでちょっと泣きそうになったくらいです。
まあ、ファン以外は見ないでしょうから、これはこれでいいのかもしれませんが・・。

ファンタスティック・フォー ★★★

2006-03-08 00:38:21 | ★★★
アメコミの始祖らしい、この映画。

Mr.インクレディブルと能力が被るなあ、と思ったらこっちが原点だそうで。

もう、こういう映画が普通に作られてるわけで
一昔前なら話題になったCGなんかも全く違和感なく
画面に挿入されていて観客の驚きも少ない。
ちょっと食傷気味なんでしょうかね。
キャストがちょっと弱いかなあ。
ただ、映画としては結構面白い。
能力に目覚めてからの展開はありきたりでもそれなりに楽しめる。
序盤の展開はちょっと退屈。
結構あっけない幕切れではあっても、映画としては
そこそこ及第点。

ヒロインのアイディアはなかなかよい。

県庁の星 ★★★★

2006-03-02 01:22:55 | ★★★★
意外にも濃い映画でした。
同名小説の映画化。
映画の日だったので梅田3番街シネマのプレミアシートで
1000円で見れました。ファーストデイ万歳。
香川県のデパートがロケで使われています!
高松市の住人は要チェックです。
最近香川県はこういった映画のロケの誘致がとても多いですね。
サマータイムマシーンブルースも
せかちゅうや機関車先生も香川ですもんね。
街おこしの一貫みたいですね。
頑張って誘致していきましょー!

さて、映画の感想ですが・・。
まず序盤の織田裕二の役どころが
とても一時期の先輩にかぶるところがあって、
とても面白くみさせてもらいました。
書類やマニュアル作りのプロである県庁の星、野村が
巨大プロジェクトにとりかかるために民間のノウハウを得るために
スーパーへ出向するところから物語が展開。
そこで教育係として柴咲コウ演じるパートの二宮と出会うことで
少しずつ、野村の内面は変化していき・・・。

展開はまあ、大体予想の範疇のお話でしたが、
それ以上にこの映画はお話の見せ方が上手。
結構上映時間は長いけど、それでも収まりきらないようなお話を
うまく見せることでダラダラ失速しないように工夫がなされています。
この辺りは監督の編集の妙、と言えるでしょう。
例えば、二宮の家庭環境を大体数分のカット回しで
セリフを使うことなく、両親の他界によって弟と二人暮しで
晩御飯はスーパーのお惣菜だったりして決して裕福ではない家庭を
うまく見せています。
また、県の県章バッジを効果的に写していくことで
野村の内面の変化もうまく捉えています。

それにしても、織田裕二はデキル男を演じさせたらすっごいはまりますね。
スーツの着こなしも最高によいです。(まあ、当然特注でしょうけど)
そして、熱く語る男をやらせてもすごくはまります。
そういう意味ではようやく織田裕二も「脱青島」を諦めて、
自分の長所を伸ばしていく役作りをはじめたのかなあ、とも思えます。
大掛かりなCGや演出はないにせよ、県庁やスーパーのシーンは
なかなかお見事な演出がちらほら。
スーパーを後にするシーンであるとか、県庁の豪奢な雰囲気や、
県議会議長のスーツとか(笑)

お話のテーマは改革。
組織論も見え隠れします。
組織に巣食い、暴利を貪る人間と、真っ向から立ち向かうことになる改革派の構図。
これは日本の政治の縮図と見て取れないこともないですね。
まあ、だいぶん事情は違いますが。

たいがい改革なんてそう簡単にできるもんじゃありません。
でも、改革は小さなことからでもはじめられる。
自分から始めないと始まらない。
「目の前の問題が大きすぎるからといって
それから目をそらして生きていく人間は全ての問題から逃げて生きていく。」
というのは劇中何度か使われる言葉です。
なかなかに痛烈な批判であり、自分にも、強く深く響く話でした。
そして、結末付近での「世の中そんなに甘くない」ということを暗示するシーンもまた、
改革とそれに相対する「抵抗勢力」を描いたシーンとして
この映画が単なるお気楽なポリシー映画とは一線を画していることを
現していてとても評価できます。
議長、知事、野村、篠崎、課長、同僚、
スーパーの店長、職場のスタッフ、バイト、アルバイト、
一人一人のキャラを丁寧に描くことでしっかりと
ラストには一つの結末を導いていることからも
この映画が描きたかった世界観とその製作陣の意気込みが
合致するような気がして大変好感が持てました。

いつも変わりたい、と思っているのに変われない自分を変えたい人、

ぜひ見てみてください。