目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

2022年公開作品評価

2022-12-31 12:40:20 | 2022年公開作品評価
2022年公開映画
今年観た作品は9本。仕事が忙しかった…。昨年の作品で観た作品も追いかけであるのですが…タイムリーに映画を観ることは年々難しくなりますね。子どもたちが大きくなるまでは無理なのかもなあ。

■観た映画 面白かった順

トップガン マーヴェリック ★★★★★
文句無しの1位。この映画を上回る作品は今年は出てこなかったと思う。

THE FIRST SLAM DUNK ★★★★★
これはすごい作品だわ。TOHOシネマズ新宿で鑑賞。アニメでここまでスポーツを描けるものなのかと驚愕しました。バスケットボールのアニメ作品としてこれ以上の作品は出てくるのだろうか。漫画作品としてはいまだにスラムダンクは金字塔だと思うけども。アニメとしてはこの作品を超えるのはなかなか難しいくらいすごい表現の目白押しだったと思う。
あらすじは色んなところでも言われているので触れませんが、個人的には彼をフィーチャーしたのは支持しますね。掘り下げ方も好き。あまり描かれることが無かった彼の内面や生き方が色々と描かれていて好感が持てました。
声優総入れ替えで物議を醸していたけど、それでも全然いけたかな。脳内置き換え余裕でしたが、それは初代アニメの声で何回も漫画読んでたからなんだろうな。漫画スラムダンクは買ったことはないくせに何回も色んなところで読みすぎて相当覚えてたな…。相当頑張ってた初代アニメを美しく超えていきました。
文句ある人は一度観てみたらと思うくらいには素晴らしい作品でした。


すずめの戸締まり ★★★★★
こちらも邦画アニメのオリジナル作品として満足ゆく作品でした。新海誠は3作連続でヒットを飛ばしたことで完全に宮崎駿を継ぐものの地位を実質的に確立したように思う。

スパイダーマン ノーウェイホーム ★★★★
素直に面白かった。

シン・ウルトラマン ★★★★
こちらも楽しい映画でした!

ノイズ ★★★★
佳作

地球外少年少女 ★★★★
Netflixで観ました。劇場公開もされていたようなのでカウント。面白かったですね。

ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス ★★★

バイオハザード ウェルカムトゥラクーンシティ ★★
退屈な作品でした。


■後に鑑賞した映画(2023年12月31日更新)
コンフィデンスマンJP英雄編
相変わらずの面白さでした。

ドラゴンボール超 スーパーヒーロー
ドラゴンボール、オリジナルキャストでいつまで続けられるんでしょうか。

ソー:ラブ&サンダー
こちらもメンツが変わっていくのが確定的でちょっと寂しい展開と思いました。

キングダム2 遥かなる大地へ
ブレットトレイン
沈黙のパレード
ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー
アバター:ウェイ・オブ・ウォーター


■観てないが観る予定の映画
コーダ あいのうた
さがす
前科者
宇宙戦艦ヤマト2205 新たなる旅立ち 後章 -STASHA-
ゴーストバスターズ/アフターライフ
鹿の王 ユナと約束の旅
アンチャーテッド
大怪獣のあとしまつ
ウエスト・サイド・ストーリー
映画ドラえもん のび太の宇宙小戦争 2021
余命10年
THE BATMAN-ザ・バットマン-
SING/シング: ネクストステージ
モービウス
バブル
ハケンアニメ!
機動戦士ガンダム ククルス・ドアンの島
バズ・ライトイヤー
ジュラシック・ワールド/新たなる支配者
ONE PIECE FILM RED
劇場版 ソードアート・オンライン -プログレッシブ- 冥き夕闇のスケルツ
ラーゲリより愛を込めて
Dr.コトー診療所

すずめの戸締まり ★★★★★

2022-12-29 16:14:51 | ★★★★★

これはかなりの傑作になっているのではないでしょうか。新海誠作品の最新作。アマプラで12分ほどの本編映像のティーザーを観てしまったことでどうしても気になり、新宿のTOHOシネマズで観て参りました。土曜朝の回でしたが、かなり混んでましたね。新海誠作品でもついに○○(キャラ名)の△△(何か)といういわゆる「王道タイトル」での作品が出てきたなあと思わされます。

ネタバレしますのでまだ観てない方はここで読むのをやめてください。




色々と気になる目配せはあります。
特に、日本アニメ映画の大家である宮崎駿に対する目配せは2度3度出てくるわけですよ。
ビジュアル的にモロ・シシ神様的なミミズ、勤労少女描写、ユーミンのあの曲、と。
更に芹澤のオープンカーはOn your markで、と一体どれくらい宮崎駿作品へのオマージュ、ないしはインスパイアがあったろうか。
テルーの歌っぽいエンディングとか、電車に乗る猫という意味では猫の恩返し、宗像はハウルだったりハク(aka.千と千尋)だったりと…盛りだくさん。
元々、少女2人のムービーを考えていたというインタビューからも分かる通り、これはまさに魔女宅的な要素やもののけ姫的な要素が含まれているわけですね。(神をなんとか沈めるという話としては似通ってしまう要素があるのはまさにそうですよね。)
宮崎駿やジブリ映画への目配せがこれだけありつつ、思想的には真っ向から対立?するアプローチなのが面白い。
宮崎駿は戦争的なガジェットや舞台装置を好みつつも、左翼的だったり、反戦だったり、する思想の持ち主で(風立ちぬでしっかり描かれる) 神の捉え方もまた独特なところがあった。(それはもののけ姫と千と千尋で描かれる)
新海誠は割と、右寄り思想なのは以下のふせったーなどでも伺える。(そして、たぶん、左も右も作品のクオリティには関係無いとも思ってそう)

https://fusetter.com/tw/KXi4ajFr#all

https://fusetter.com/tw/livpWjp6


一方で10年ほど経ち、日本では3.11という題材をなんとか取り扱える時代にもなったわけです。なんなら主人公のすずめは震災経験者かつ、被災者で幼い時に母親を震災で亡くしている高校生なわけです。つまり、それくらい現実世界でもアニメ作品世界でも時間が経った、という描写が可能になり、直接的に地震の描写ができる時代になったということでもあります。
震災の記憶は時間でしか癒すことが出来ませんし、被災者の記憶は薄れることはないわけです。その意味ではなかなか東北の人には直視が難しいシーンも出てくるやもしれません。

日本ならではというのが、たびたび全国各地で起こる大きな地震であり、この20年で増えた廃墟であり、今も変わらず続く土着の神さまへの信仰だったり、神社や要石なのでしょう。本作のオリジナル要素でもある閉じ師と廃墟の扉という組み合わせもまた変に新鮮で面白さを感じました。
実際には地震大国であるのは火山国だから、というのが科学的な通説である一方で、こうした神道も絡んだかのような非現代的な描写や設定は「君の名は」「天気の子」でもありましたが、面白いですね。少し不思議的なSF。

何度となく登場する描写である「地 スマホでの緊急地震速報のアラーム」などはその精度や頻度からくる利用度や必要性から考えてもまさに日本独特ですよね。
こうした日本独特の文化や生活感が随所に出てくるのもまた、描き込み上手と言えるのでしょう。(音を変えているとは言え、ドキッとする人も多かったかもしれませんね。)

日本は先進国でしたが、いまや衰退国であり課題先進国と言われています。人口は少子高齢化と都市への集中、晩婚化、GDPの減少などの複合要因で減り続けており、高度経済成長期に作られた様々な建物が廃墟と化しており地方では社会問題となっています。3セクが作ったような箱物も急激な人口減により、かなり無用の長物化しており、次から次へと寂しい場所が生まれていっているわけです。そんな苦しい地方の各都市に、忘れられたような扉があって、そこと、死後の世界的な常世が繋がっているというのも、突飛ながらも面白い設定と言えるのでしょう。絵の美しさで、かなりアニメらしい表現ながらも、美しく描き切っています。(実写だとうまくいかない絵面ですよね。)
神戸と東北、そして東京を同じ地震をテーマにしたビッグバジェットムービーでそれぞれに市井の人々も含めて映し出した作品は空前絶後だったのではないでしょうか。普通は観客の反応が怖くて出来ないですよ、こんな絵。これで東海地方まで描いてたら色んな意味で怖すぎたろうなあ…四国は描いてるので南海地震は想起させるわけですが。
エンターテイメントにどうやって現実の本当に深刻かつ苦しい情景を入れるかは永遠のテーマかもしれません。普通は避けます。が、果敢に挑戦する人もいる。そんなことを感じた一作でした。