目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

ALWAYS 続・三丁目の夕日 ★★★

2007-11-26 00:51:26 | ★★★
この映画って最新VFXがいかんなく発揮されてる
映画なんですよね。前作でもその点は大きく
評価しましたが、
http://blog.goo.ne.jp/kikidiary/e/184a9b0937890a947c4cff444c2e51cf

今作でも良い点はさらに飛躍していました。

いや、もうなんというか、
オープニングは笑う。
笑うしかないですよね。
山崎監督の鬱憤、欲求が爆発した!
みたいな 映像w
「俺は本当はこういうのが
やりたかったんだけど
ALWAYSが大ヒットしちゃったから当分は
こういう仕事できないだろうなー、
ならこの作品で
やれることやってしまえ!」みたいな
想いが爆発した感じ。

まあ、そのほかのシーンは基本的には
前作のように短編をつなぎあわしながら
物語が構成されていく形。

時代性を大きく感じさせたり、
今の時代を 暗示させながらも
今と昭和30年代の
時間感覚や未来への希望溢れる想いなど、
CGによる表現よりもそのあたりの質感の
表現の方が力が入っています。

本作で吉岡秀隆演じる茶川の言う
「お金よりも大事なもの」が何なのかは
映画を最後まで観ればわかりますが、
それ以上に私はもう少し茶川というキャラと
それにまつわるエピソードについては
幸せの華を持たせてやってほしかったなあ、と
思いました。

それもうまくいかないからこそ、
昭和30年らしいといえばらしいけど。

当時は携帯もなければ、メールもない、
そういった時代背景の方が
ストーリーテリングは容易。

昭和の文化史や産業の発展の流れを
勉強するにはとてもいい映画だと思います。

でもそれ以上に、家族や傍にいてくれる人の
優しさが「身に染みる」ことを
教えてくれます。



以下、若干ネタバレしますので注意。











苦言を呈すならば。。。

映画としての説得力が後半、多少、少ない。
茶川の扱いについてはとても残念でした。
なんというか映画的なウソももう少しラストに
向けて練りこんでおいてほしかった。
うまくいったようなうまくいってないような。
小日向さん演じる父親役の人がいう言葉も
間違っていないだけに、ラストは
もう少し皆が納得できるようなラストに
持っていってほしかった。

前作に比べるとそのあたりは格段に劣るような気がします。

深呼吸の必要 ★★★★

2007-11-17 02:46:22 | ★★★★
映画が終わったときいつの間にか
涙が頬をつたってました。
沖縄の雄大な海と空とつかの間の心の休息。

この映画、ひたすらにサトウキビを若者が刈る、という
意欲的な作品です。もちろん、ちゃんと
筋があってヤマもあって、それなりに
オチもあるんですが、基本的には常に
サトウキビを刈っている、そんな映画です。

サトウキビを刈っていく間に初対面の若者たちが
お互いのことを知り合って、自分とも
見つめ合っていく間に過去の自分を
乗り越えていく、そういう青春群像劇といった感じ。

あまり饒舌には語らずに、監督が伝えたいことを
上手に登場人物に喋らせていてカット割で
十分に伝わってきました。

音楽と沖縄の情景とそういった監督のさじ加減、
力が入りすぎていない役者の演技に
癒されました。

普段、都会の喧騒に疲れている人に
特にオススメしたい作品です。

長澤まさみが大ブレイク前に出演している
作品でもあり、まだあどけなさが少し残った
姿を見れる作品としてもオススメです。


さて・・・。
私は沖縄に行ったことがありません。
ずーっと行きたいなーと思っていますが、
この映画を観てさらにその気持ちが
強まってきました。

人生にはどうしても何をやってもうまく
いかないとき、立ち止まってゆっくり
考えたいとき、生きていくことに
疲れてしまったとき、があると思うのです。

そんなとき、自分で自分をを普段の忙しい毎日とは
ちょっと違う環境に放り込んでみると
、意外とそれまで悩んでいた悩みが
小さな悩みだったことに気づいたり、
生きていくことの意味、自分が好きなことが
わかったりするのだと思います。

私も大きな失敗をしたとき、大きな不安があるとき、
心のバランスを保ちたくて、もがいたりします。

でも、その場でいくらジタバタしたとしても、
いい結果を生むことはあまりなくて、
思い切った発想の転換が必要だったり、
当たって砕けてしまったり、することが
必要なんだと思います。

古きよき時代の地域社会が崩壊した現代だからこそ、
古きよき時代の家族的な暖かさに
癒されたりもするのだと思います。

農作業は本当に単純作業の繰り返しで、
実際、天気との戦いがあったり
冷害や水害、風や鳥獣害があったり、と
必ずしも平坦な仕事ではありません。
頑張ったから平均して報酬が得られる、という
そういう世界の仕事ではありません。
頑張ったとしても、不作であれば収入はないし、
豊作であれば収入になる、そういう世界です。

この映画ではそういった厳しさも
匂わしつつも、若者たちには単純作業・共同生活を
通して得られる達成感であるとか、連帯意識を
積極的に描いています。だから、現実には
あんなにやさしい農家の老夫婦はあんまり
いないと思いますし、実際はもっと
殺伐とした現場だと思います。

だから、この映画を観たからと言って実際に
沖縄のサトウキビ農家で
同じような体験ができるか、というと
決してそういうことではないでしょうし、やはり
映画の世界は映画の世界のフィクションがあり
そこが映画の持ついいところ・魅力なのだと思います。

それでも沖縄に行きたくなってしまった私は
少し毎日の生活に疲れているのかもしれませんね。

ボーン・アルティメイタム ★★★★

2007-11-12 00:09:37 | ★★★★
ある程度前評判は聞いていたので

即観てきました。うん、やっぱり面白い。

上映時間あっという間に終わった感じで
映画の長さを感じさせないほどの展開と
密度の濃さ。

マット・デイモン演じるCIAの作り上げた
最強の暗殺者ジェイソン・ボーンが
失った記憶を取り戻すために奔走し、
CIAへ迫るお話。追ったり追われたり、
非常にめまぐるしいお話ではあるが
これが今シリーズの見所。

とにかく、CGをほとんど使わずに
派手なアクションをスピーディー且つ
骨太にこなす主人公が最大の見所。
セリフも少ないしね。

周囲のキャラクターが喋ったり回想を
効果的にはさむことで、物語は進行。
結構あっけなく、それでいて間のアクションは
激しく展開します。

暗殺者との戦いやカーチェイスには
一見の価値あり。とにかく、速過ぎて
格闘シーンは何が起こったか一瞬には
理解できないほど。

カーチェイスも、描写が一瞬のところは
いくらでもあるのであくびでもしようものなら
見逃すこと必至。

ストーリーは前2作の完全な続編なので
前2作の鑑賞は必須ですが、前2作をしっかり
観てから劇場に行けば必ず楽しめることでしょう。

秋~年末にかけてのアクション大作の中でも
ぜひとも観てほしい一本です。

正式なお知らせ

2007-11-12 00:08:35 | 映画とワタシ
一時期、移転するとかそういうエントリで

別URLを案内していましたが再びこちらで

映画Blogを正式に再開します。

もうごらんになっている方は少ないかもしれませんが

再びじわじわとエントリをアップしていきますので

ごらんになっている方は今後ともよろしくお願いします。

映画「好きだ、」と大人になること。

2007-11-12 00:00:38 | ★★★★★
もう10年以上前の話なんですが、

私は当時、人を好きになるっていう気持ちがどういうものか
知らなくて、どうやって人にそういう気持ちを伝えたらいいのか
知らなかったのです。誰でも最初はそうだと思いますけど。
今でもとてもそういう部分は
不器用で褒められたものではありませんが。

学生時代、座席が近くていつも近くに居た子のことが
なぜかいつも心にひっかかっていました。

私、あの人のことが好きだ、と自分の感情に気づいた翌日のこと。

既に相手には好きな人がいて、付き合い始めたんだよ、って
別の友達に聞かされたときのことは今でも
なぜかすごく鮮明によく覚えています。

その日の夜、湯船に漬かりながら
初めてやり場のない感情に地団駄を踏んだことも。

それから数年、その行き場をなくした気持ちは宙を空回りしました。

時間が経つにつれてそういった、熱だけを失った気持ちは
熱を失ったまま形だけ残りました。

きっと、私は同窓会でその人に会っても声をかけることも
出来ないんだろうな。

別に今でも好き、とかそういうわけではなくて。

私の好きだ、という気持ちは

永遠にその人に伝わることはないんだろうな。



この映画に出てくる主人公は
毎日、河川敷らしき場所で帰り際、ギターを弾くヨースケ(瑛太)と
それを見つめるユウ(宮崎あおい)という構図で描かれています。

毎日、少しずつ距離が縮まったり
遠くなったり、少しずつ、少しずつ。
その絵はある意味、ほかのパワフルな
楽器やったり学生運動したり
っていう、世間の青春映画と比べると
おとなしすぎて、躍動感には著しく
欠けるんだけど、そこはかとなく
それはリアルな現実を描いているようにも
感じさせてくれます。

静かな、曇り空の下で風に吹かれながらも歩いて帰る2人、
縮まらない距離、言い出せなかった気持ち、そういうものが
とてもはがゆくて、そして切ない、淡い感情を観る者に
拙いギターの音がしみこませていきます。

「言えなかった言葉、伝えたかった思い」そういったものが
心の中でどこかひっかかったまま、二人は別々の道を進んで。
前半ラストの宮崎あおいの感情の発露はとても切なくて
とっても静かな映像の中で輝くものを残していきます。

自分の大切な思いを伝えられなかった、
という経験はは誰にでもあると思います。

同窓会なんかで

「昔、実は俺、君のこと好きだったんだぜー」

「え、実は私もー」

なんてお互い別の人と結婚してからカミングアウトする、

なんていうことも世の中にはよくあることなのかもしれません。

昔、ある人に伝えられなかった大事な気持ち。
この映画の前半、私の胸にはある人への想いが去来した。
そういえば、言えなかったな、あの言葉、
伝えられなかったな、あの気持ち。


一般論ですが、
たいていはそういうものは、結局は時間とともに風化していきます。
私とてそうだし、10年も15年も
いつまでも後生大事にその気持ちを
大事にしている人など世の中には
おそらくいないでしょう。

学生時代のようにゆっくりとは時間は流れてくれなくて、
次第に社会に流されて、
時間をなんとなく過ごして、本当の気持ちとか
伝える言葉はうまくなっていかないのに、
自分を偽ったり気持ちをはぐらかしたり、
することだけうまくなって。
昔大事だったものとか、
好きだったこととか、そういうものが
どんどん希薄化していって…。

でも、この映画は違いました。
映画だからこそ描けるものかもしれないのですが。

時を経てあることをきっかけに再会した
ユウ(永作博美)とコースケ(西島秀俊)は
言葉を交わすうち、当時言えなかった言葉を、
止まっていた時間を見事につむぎだしていくのです。

河川敷で静かに流れていた音楽が二人の
気持ちや時間を呼び起こしていく様は
見ていて感動すら覚えます。
この後半と前半のキャスティングが
違和感がないのが素晴らしいです。
普通、違う人が演じるわけだから
気持ち悪くなったりするものなのですが。
説得力あるキャスティングが更に映画に
リアリティをもたらしています。

後半は前半とは違い都会の喧騒に
飲まれながらもなんとか
お酒の味もわかるくらいに成長した
二人が少しずつあのころの
気持ちを語り始めるわけですが、
ここから先は映画を観ていただきたい。
後半の展開はやや強引なものもありますが、
エンドロールまでしっかりと見てほしいです。
私は少し幸せな気持ちになれました。

映画というのは、観ている人それぞれが
ひとつの感想を持つのではなく、
観ている人それぞれにさまざまな感情を
呼び起こすから観る価値もあるものだと
私は思うのですが、
この映画は正にそういった意味で
観る価値はあるように思います。

伝えられなかった「好きだ、」という気持ち、
あなたにはありますか?


映画「海でのはなし。」と音楽のはなし

2007-11-11 23:57:44 | ★★★
宮崎あおいが結婚してしまったから、というわけではないのですが

映画をこないだ観たのをまだ記事にしていなかったので筆を取ります。
■音楽と映画のはなし。

正夢、楓、スカーレット、水色の街、青い車、遥か、ホタル、ロビンソン、スパイダー

この文字の羅列を見て、一体何のことかわかる人は日本の音楽が好きな人だと思う。

この映画「海でのはなし。」は日本のバンド、スピッツの楽曲から広がるイメージを映画作品として

撮影した実験的意味合いの強い作品になっている。

90年代から00年代と呼ばれる比較的最近の音楽をふんだんに劇中に
使用する、ということがどういうことなのか。

特に20代中盤から30代の人たちにとってスピッツの音楽は
いわば青春の1ページを彩る楽曲だったり失恋したときに聴いていた曲かもしれない。
他のドラマのタイアップだった曲やCMタイアップを思い出す人もいるだろう。

音楽の記憶というのは実は、感覚的なものが強く
意外と昔よく聞いていた音楽を聴くことで当時のことを
まざまざと思い出させたりする。

さて、この映画はコンセプト通りといえば
コンセプト通りにスピッツの音楽がかなり大きい音で
各場面に流れるので、スピッツの音楽が好きな人は満足するかもしれない。

しかし、映画を撮影するコンセプト抜きに語ると、映画として
破綻しかねないほどの音量でスピッツの音楽が流れる。

そう、これは少し長めのミュージックビデオなのだ、という解釈を
するのが一番しっくりくるような作品に仕上がっている。

宮崎あおいと西島秀俊という「好きだ、」
NHK「純情きらり」でも共演していた今旬な2人、実力もある
2人が出演している割に演技以上に音楽が雄弁すぎるシーンがあったり
脚本がいまいちなシーンがあったり。

世界観もとても素敵だし、2人の存在感もとてもよいし
スピッツの楽曲も素敵なのだが、その3者がいまいちうまく
かみ合ってない印象を受けた。

そういう意味で有名な音楽を劇伴音楽として使うことの難しさを
痛感させられたような気もするし、コンセプトとしては
成功のような気もする。

ただ、これを一本の「映画」として撮影したつもりならば
監督はもう少し、音楽以外の要素も考えながら撮影と編集に臨んで
ほしかったような気がする。


■海でのはなし。のはなし

家族が本当の理解者たりえる時代の終焉とでもいうのだろうか。

この映画では、最終的に主人公2人は家族と、ある意味決別し
お互いがお互いをよき理解者として認める。

家族という存在を考えたときに、
血がどうしようもなく繋がっていてどうしようもなく
家族であることを自覚せざるを得ないときがあります。

そして家族だからこそ、許せないことがあったりもします。

この映画で言うならば、長年娘を騙してきた両親だったり
息子の気持ちをろくに理解しようとしない両親だったりします。

考えてみれば、親という存在は自分が生まれたときから親以外の
何者でもありえないし、親がいなくては自分が存在しえない、という意味でも
生活を保障してくれる存在としても親は親以外にはなれません。

一緒に生活し、親は子のことを考え、養い育てます。

子にとっても親の存在というものは大きなものです。

ただ、子にとって親は絶対の存在ではありえないのかもしれません。

親はいずれ、たいていにおいて先にこの世を去るし
子が成長すれば親の価値観だけが世の中を支配しているわけでは
ないということを理解し、自分の価値観というものを構築し、
自分がよりどころとする場所を見つけていくものです。

親を捨てる、ということではないにせよ親から離れることでしか
子は自分の家庭や生活というものは得ることが出来ないと思います。

そういう意味で、自分にとっての親以外の大切にしたいと思える存在が
現れる、ということは親からの自立に他ならないのかな、とも
思います。この映画では親との問題から2人の距離は縮まっていくような
描写が見られますが、そういうものなのかな、などと
映画を観ていて感じた次第であります。


映画「ホリデイ」と幸せの形

2007-11-11 23:55:56 | ★★★
幸せの尺度は人によって違う。

価値観というのは感じる人の相対的なものであって、

他人や以前の自分などとの対比などによって変動していくものだ。

幸せもそういった価値観の一つであり、

人によって幸せを感じる瞬間やタイミング、

「幸せ」という状態の定義さえ違う。

つまり、Aさんにとってはたまらない幸福ではなくて、
単なる日常もしくはそれ以下のものであっても、
Bさんにとっては素晴らしい幸福であったりするわけだ。


しかし、誰にでも訪れる「大切な人との別れ」という
ファクターに対しては人はたいてい悲しみにうちひしがれる。


この悲しみを感じるときの心的ストレスは
一種の絶望感となり幸せとは縁遠い場所に
自分が来てしまったかのような感覚となる。


悲しみを癒す方法は人それぞれではあるが、
この映画「ホリデイ」では全く違う場所に住み、
社会階層も価値観も違う、女性二人が、
同じタイミングで別れを経験する。

どのような形であれ、別れは悲しみを呼び起こすし、
ふと一人になりたくなったりもするものだ。


というわけで二人はネット上で偶然知り合い、
お互いの家を交換することを持ち掛けあう。
欧米ではホームエクスチェンジという
名前で呼ばれているらしい。
家の売り買いを割と頻繁に行う欧米らしい文化であり、
一カ所に定住もしくは「実家=ふるさと」を持つ
日本人には理解しがたい文化かもしれない。

期間は二週間。

お互い、住んでいた場所を遠く離れ、
一人になることで最初は淋しさを感じていたが
徐々に悲しみは新しい出会いによって癒されていく。

ここで言う「新しい出会い」というのが
色恋沙汰に限らないのがこの映画の救いだ。

もちろん、色恋沙汰がメインではあるにせよ
近所に住む素敵な老人との出会いのエピソードは
なかなかユーモラスで含蓄に富んでいる。

この映画では「スクール・オブ・ロック」の
ジャック・ブラックがなかなかにいい味を出している。

彼は映画音楽を手掛ける作曲家という
役回りで登場するが、彼の立ち位置は
非常に見ていて心地よい。

最近はなんでもかんでも「感動」や
「イケメンと美女のラブロマンス」に傾きがちだが、
この映画で主人公たちが頭を悩ませることは
ひどく世俗的でどうしようもない。

だが、そういったこじれた人間関係こそが
現実世界では当たり前のように展開されるし、
そういう内容を臆せず描くのは今の時代、
勇気が必要かもしれない。

キャメロン・ディアスの役回りは
なかなかに浮世離れしてはいるが、
(なにしろやたらと金持ちだ)
彼女のような女性でも色恋沙汰では
うまくいかないんだよ、というところは、
なかなか見所がある。
(まあ最後は予想通りの展開なのでやや残念ではあるが)
この映画でも相変わらずのコメディエンヌぶりを
発揮してくれるが彼女以外は割と普通の人が多い。
ケイト・ウィンスレットもジュード・ロウも
ジャック・ブラックも割と普通の人を演じていて
一人一人悩みをプライベートな抱えていて時たま苦悩する。

二人の物語を通じて幸せの価値観が違う様を感じた。

何しろハリウッド映画の番宣作りで財を成したという
設定の「成功者=勝ち組」キャメロンにとっての
華やかな日常は、普通の編集者で男に弄ばれ続けた
「割と負け組」のケイトにとっては非現実的な世界だ。
そんな暮らしだけでなく、そこで出会う人々との
幅広い交流から幸せを見出だしていく。

一方のケイトの質素な生活を味わうことになる
キャメロンが不幸かと言えばそういうわけではなく、
成功者であるキャメロンにとって
唯一欠けていたものが満たされることにより
キャメロンもまた幸せの意味を知ることになる。

私の友人が話していたことから引用する。

「「幸せになりたい」だなんて人々は言うけど
幸せというのは刻一刻と変化していく人の心情の
「状態」の類型であるから「幸せという状態」が
永続することはなく、幸せという言葉は一瞬一瞬の
状態を言い表す言葉でしかない。
だから、結婚したらずっと幸せだとか、
金持ちになったらずっと幸せだとか、
そういう考え方ではキリがないし意味がない。」


ちょっと細部は違うかもしれないが、
こういうことを友人に言われたときに
なるほどと納得した。
私も今ではこの意見には賛成だ。


たしかにこの彼の説は納得出来る。
幸せという地点は人生のゴールにはなりえない。

映画作品やテレビドラマはラストシーンを
迎えたところで作品としての物語世界は終了し、
その後のことは観客の想像に委ねられる。


幸せな状態で物語世界が終わるわけだから、
それが永続するかのような錯覚に陥るが現実には、
幸せな状態でずっといられり、というのは無理がある。
人間、生きていれば病気にもなるし事故にもあうし、
人を傷つけたり傷つけられたりするものだ。

結婚したから、運命の人(?)と結ばれたから、
お金持ちになったから、だから幸せ、ということはなく、
「どういう風に、誰と」人生を生きるかが
幸せという状態に、より巡り会うためには
大切なのかもしれない。

そういったことをこの映画では感じた。


人生でふと幸せの類型を考えられるなら
二週間くらい旅に出たいものだ。

バイオハザードIII ★★

2007-11-11 23:35:17 | ★★
先週、公開日の朝イチから鑑賞。

大人気シリーズの3作目。

2作目がそこそこ成功した作品だったので
3作目にも期待がかかりましたが、
映画としては3作目はイマイチ感が非常に強い。

これまで前2作の成功要因は全世界で大ヒットした
ゲームの要素をふんだんに盛り込みながら
(ここは大きなポイント)映画としても
楽しめるような構成にしたところでした。

たとえば1作目であれば、アリスが目が覚める場所が
ゲーム1作目の洋館に酷似していたり、演出技法も
似ていたり、場所名や舞台名や企業名が同じだったり。
ラストに至る脱出方法もゲーム2作目と同じだったり。
それでいて、ハイブの設定は映画オリジナルとして
斬新な設定が多く映画を観ないゲームファンもゲームをしなかった映画ファンも両方取り込むことに成功したのです。


2作目であれば、街中を舞台にしているところは
ゲーム2作目に似ており激似キャラクターを
出演させたり。逆にアリス自身を映画オリジナルの
存在として描き出すことによって
作品に再び斬新さを盛り込むことに成功しています。

ただ、3作目にはネタが切れた感は否めず、
荒野をさすらう設定などは映画オリジナルすぎて
もはやゲームの長所を拝借するような設定は
ほぼ残っておらず(カラスとか?クレアとか?タイラントとか?ウェスカーとか?はゲームからの引用ではあるがストーリーや演出にそれほど影響を与えておらず目を引くような
展開にはなっていない)
残念ながらゲームファンも映画からファンに
なった人も両方が「がっかり」するような
話に成り下がってしまったような印象。

もちろん、アクションであったりストーリーで
あったりは多少目を引くところもありますが
もはや超能力まで身につけたアリスの戦いは
ほとんどドラゴンボールの世界。

ハラハラドキドキ感はまるでなく、
白昼堂々と走り回るゾンビには笑わされ、
昼間の砂漠で死んでいく仲間たちには
ほとんど悲壮感がないぞ。

やはりこういう話は閉鎖された空間の中から
脱出することで(脱出する先にはひょっとしたら
絶望しかなかったとしても)希望を掴み取ろうと
する人間の感情や愛憎劇を見るのが楽しいのであって
そういう場所がほとんどなく、
描かないであてどなく旅をしながら
ゾンビと闘うだけでは緊張感もカタルシスも
得られません。世界崩壊してアンブレラは何を
達成したかったのやら・・・。

ま、人気シリーズですがここらで見納めかなあ

サンシャイン2057  ★★★

2007-11-11 23:33:54 | ★★★
DVDで鑑賞しました。

個人的には真田広之の活躍に期待していました。
結構いい役回りではあるのですが、
いかんせん、作品自体が不発に終わってしまいました。

ダニー・ボイル監督は「28日後・・・」という
衝撃的な佳作を監督した人で、この映画でも
意欲的な作品作りをしようとしている姿勢は
垣間見ることができました。

CGのおかげで宇宙船を描くことや宇宙を描くことは
比較的簡単になっているとは思うのですが、
宇宙船内の造形や細かい設定に関しては
かなりこだわって作られており、作品の背景や
太陽に向かうことになった設定も説得力は
結構あります。

太陽が膨張し続けて死滅するまでには60億年かかる、
というのが昔からの科学者たちの仮説と主張ですが
それは別に誰が保証したものでもありません。
よって、この作品のような事態が起こらないとは
限りません。
太陽の描写や、宇宙生活をコツコツと描く前半部分は
宇宙旅行モノとしてもなかなか優秀な部類の
映画だと思います。

ただ、この作品に欠けているのは
そういう科学的な説得力ではなく、
魅力的なプロットではないかと思います。

映画の予告を見た人であれば大体のあらすじは
予想できますし、見た人でなくても
あまりにストレートなあらすじなので
新鮮な驚きはないままにストーリーが進みます。
エイリアン系のストーリーかと思いきや、
割とまともなSF映画でした。

ラストに向かう過程である人物のある行動の
動機がイマイチ弱いですし、
観客に訴えかけるものは少ない。

真田広之が主役みたいなパッケージではありますが
主役ではないし、エイリアン系のストーリーかと
予告編では匂わせておきながら結局、
そうではなかったり、とプロットには問題が
あったように思います。

ただこればかりは監督のせいだけでもなく、
脚本家であったり演出家の努力も欠けているように
思います。映画で描きたかったことがどうしても
曖昧で観ている観客にあまり感情が伝わってこない。

とても優秀なスタッフが製作にあたったと
思われる映画ではありますが、やはり
しっかりとした舵取りができる人がこういった
映画は製作したほうがよいと思います。

ファンタスティック・フォー:銀河の危機 ★★★

2007-11-11 23:32:30 | ★★★
アメコミ原作の映画化第2作。

例によって1作目を見ていないと

すんなり理解できない展開なので

1作目の鑑賞は必須です。

この作品での見所は4人の超能力者の

チームワークと最新VFXによって見事に描かれる

シルバーサーファーでしょう。

前作からの物語のつながりもあるので

ファンにはたまらないでしょう。

シルバーサーファーに関しては

その特徴的なデザインと設定が魅力的です。

割と深く考えないで観れるハリウッド大作なので

そういう作品が好きな方にオススメです。