目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

es ★★★

2005-04-07 21:32:03 | ★★★
 久々です。今回見た映画は「es」という作品です。レンタルで見れます。実際にあった有名な心理学実験をモデルに製作されたそうで実話に沿って多少の脚色はされながらもかなり近しいところまで再現しているようです。
 主人公の男はある大学の研究に参加することに。二週間自由が拘束される代わりに4000マルク(大体60万円だったかな?自信ないです)の大金が手に入るという。その報酬とは別にその実験内容をひそかに記録し、雑誌社にタレ込むという仕事も請け負う。眼鏡に仕込まれたカメラはつぶさにその実験で起こった事実を記録していく。その実験とは人権を度外視した一種の極限状態を作り出すことだった。
はっきり言ってsawやCUBEほど面白い傑作ではありませんが実際にこんな実験があったと考えると充分衝撃的な内容です。具体的には男性のグループを看守グループと囚人グループに分け、衣装や衣食住、人権にもある程度制限を加えその経過をみていく、というもの。なんだそれだけ?と思うかもしれませんがこれがなかなかすごい展開になります。あまりに危険な実験だったために現在では禁止されているらしいですが、このときの話は心理学を大学で履修すると大概の場合、聞くことが出来ます。(心理学の内容、ジャンルにもよりますが)
 人に潜む心理が見所です。作中ではあまり触れられませんが社会的に地位のある方を看守役に、前者と比べると社会的経済的弱者を囚人役に設定することにより起こる状況に着目する実験だったようです。人間は美しい生き物だと考えている人にはショッキングな内容ですね。ラストに向かうにつれ、映画的な演出が増しその分現実味は薄れますが…。派手な演出や有名な役者を使っておらず、あまり予算がかからないにせよ、こういった映画を製作し公開までこぎつけたのはすごい有意義なことだと思います。映画にする意味があった題材だと思います。全編ドイツ語なんでドイツ語のリスニング教材としても、社会心理学の教材としても。
 もし興味がある方は、探せば実際の実験の写真をネット上でも見ることが出来ます。写真の方がショッキングだったりしますが(苦笑)

最新の画像もっと見る

コメントを投稿