ドラゴンボールZ 神と神
新宿バルト9で鑑賞。
(あらすじ)
全宇宙の運命を賭けた魔人ブウとの壮絶な戦いから4年後。39年の眠りから目覚めた破壊神ビルスは、付き人であるウイスからフリーザを倒したというサイヤ人の話を聞き、界王星で修行していた孫悟空の前に現われる。界王の忠告を聞かずに久々の強敵に挑んだ悟空だったが、ビルスの圧倒的なパワーを前に手も足も出ずに敗北を喫する。さらなる破壊と伝説の戦士「超サイヤ人ゴッド」を求め地球へと向かったビルス。悟空と仲間たちは地球を破壊神の手から守るために立ち上がる。
(ウィキペディアより)
ドラゴンボールといえば、私たち30歳くらいの人間からすればまさに小さな頃からずーっとテレビを付ければやってたアニメなんですよね。毎週月曜はジャンプを読むのが楽しみでした。一緒に大人になった漫画・アニメと言っても過言ではないわけです。今でも単行本をふと読み始めると止まらなくなります。
劇場版も結構観てました。と言うか、記憶にある限り殆どの作品をテレビ、もしくはビデオで観ており、ターレスやクウラやガーリックJr.、ブロリーなどの劇場版だけに登場する敵キャラクターもよく覚えています。
ネタバレします!
ドラゴンボールはその後の少年漫画に大きな影響を与えた作品としても認知されているわけですが、その要素の中でそのさいたるポイントとして、戦闘力のインフレ化という要素があります。初期のアドベンチャーっぽい作風から天下一武道会、ピッコロ大魔王が出てくるあたりからこの傾向に少しずつ拍車がかかっていくわけですが、主人公の孫悟空はどんどん強くなっていき、神を超え、宇宙最強、銀河最強と言われる敵を次々と倒していきます。これまで世に出た全ての少年漫画作品に出てくるキャラクターの中でもここまで戦いを重ねるたびに桁違いに途轍もなく強くなっていったキャラクターもなかなかいないように思いますが、そんな孫悟空が活躍する劇場版では毎回毎回、その時点で最強の敵が登場し、地球が危機に陥り、仲間たちと協力して倒そうとするものの、仲間たちは次々と倒れ、最終的に孫悟空がその敵を打ち倒して終わるんですよね。この構成は殆どの劇場版作品で変わらずその印象からも「結局はいつも通り、孫悟空が勝つんでしょ~」という気持ちで劇場に向かいました。
(その他にも劇場版では
・序盤ではクリリンたちがはしゃいで遊びまわってたり、
・ピンチになると必ずピッコロが助けに来たり、
・ラスボスにクリリンが必ずぶちのめされ、「なんで、俺だけ…」と言ったりと
お決まりの要素と言うのが色々とありました)
そんな気持ちで観にいった本作品ですが、思いの外、意外な展開と相成りました。
結論から言うと今回出てくる破壊神ビルスに孫悟空は勝てません。これはとても意外な展開でした。そもそも、この破壊神ビルスは設定上、邪悪な存在ではなく、定期的に宇宙の星を破壊して回る存在、として描かれており、界王の小さな星も実はビルスに壊されてあのサイズになった、と言った新事実も語られてたりします。(というか、ベジータの弟ターブルについての言及があったり、と全ての文字通りドラゴンボール関連アニメ作品を全て見ていないとピンとこない部分も幾つかあります。)
で、この孫悟空が勝てなくて、「まいった、降参だ」と言うのは完全体セルの時にもあったりします。
・兄のラディッツとの戦いでは勝てずに死んでしまったり、
・ベジータとの戦いでも命からがらなんとか勝てたり、
・心臓病のせいで人造人間20号にも負けてしまったり、
・かなり遡ると桃白白との戦いでもそもそも初戦では敗れてたりするし、
・天津飯にも天下一武道会では負けていたり、
と案外と純粋な一対一の戦績ベースでは孫悟空は負けてたり引き分けだったりすることも多いのですが、10数年ぶりの久しぶりの劇場版アニメでまさかのこの展開は意外でした。
と同時になんとなく、この展開に妙に納得というか頷く自分もいたりするのです。降参した後に孫悟空はビルスから更に上には上がいることを告げられ、気が遠くなりクラッとして気を失ってしまいます。戦いが好きで純粋に自分の力を積み重ねていき、強い相手を前にするたびに「オラ、ワクワクすっぞ」という言葉を吐く孫悟空でさえ、今回は流石に勝てない相手が出てきたわけです。(ちなみに今回、ビルスと初めて会ったシーンであのお決まりの「オッス、オラ悟空」と言おうとして界王にしばかれるシーンがありますが、これには笑ってしまいました。)
銀河系やら何やら含めて最強の中の最強みたいな存在を倒して来た孫悟空が全く敵わない、しかも戦った後にも後腐れなくお互いにリスペクトしてその場を去っていく、ドラゴンボールにはあまりなかった、展開です。(強いて言うなら、一時期の天津飯との関係なんかはこれに近かったですね)
この展開に、一緒に観にいった同期たちはみんな、「面白かった!」と一様に絶賛だったのですが、これには何と無く、私たちの年齢も関係してるのだろうなあ、と、感じるわけです。
社会に出ておおよそ8年くらいが経って、会社でもそろそろ中堅どころを担うようになってきた私たちなのですが、ドラゴンボールを子供の頃から観続けてきて、向かうところ敵なし、に近い孫悟空に幼少期から、憧れと同時に子供の頃の万能感も重ね合わせて観ていたであろう自分たちも、気が付けば家庭があったり、社会に揉まれて生きてるわけです。今作ではブルマは38歳の誕生日を迎えていましたが、そこから考えるに孫悟空やベジータたちもいい年齢でしょう。(おそらく30台後半から40台前半)そんな彼らにだんだん自分たちも実年齢が追い付いてくるにつけ、今回の作品にはなんとも頷いてしまうような展開がちらほらあるわけです。
たとえば、ベジータがビルスに丁重にお帰りいただくために、その身を挺して歌って踊りまで披露するシーンがありますが(堀川りょうさんの声で楽しいビンゴ!ビンゴ!ハイ!ってのはそのギャップからもなかなか耳から離れませんね)、このシーンなんかは自分の家、妻、子どもを強大な力から守るために「父としての、夫としてのベジータ」がかなり強く出るシーンです。その後のブルマが殴られて激昂するシーンを含めて、珍しくドラゴンボールという作品で家庭を強く意識させる要素でした。(そもそも、ベジータも悟空も家庭を殆どかえりみない描写が多かったですしねえ)
孫悟空が超サイヤ人を超えた存在にまでなって戦った上で負けを認める展開はまさに、社会に出ていろんな軋轢を感じたり上には上がいることを実感として感じてきた30台前半の私たちには色々な意味で感じ入る部分があったように思います。たぶん、悟空が最後の最後はビルスをぶっ倒す展開だった場合、ここまでの気持ちにはならなかったのではないのかなあ、と感じるわけです。「おー、あの孫悟空でも勝てないやつはそりゃ、やっぱりいるよねえ」と私は妙な感慨を孫悟空に感じずにはいられませんでした。(ただ、魔人ブウ後の戦いなら孫悟飯が弱すぎるような気はしますが…)
ちなみに今回の戦闘シーンはさすがの出来です。あのいつもの「早過ぎて見えない!」シーンも出てきますし、さすがの描き込みとスピード感あふれる空中でのバトル、岩山に突っ込んで何個も岩山が破壊されるいつものシーンも含めて、まさにドラゴンボールバトル描写の宝庫とも呼べるような数々のバトル描写でした。
久しぶりのドラゴンボール劇場版、私が観にいった日は平日のレイトショーにも関わらず多くの同世代が観にきていました。オトナになっても楽しめる、そんな作品に仕上がっていたと思います。オススメです。
新宿バルト9で鑑賞。
(あらすじ)
全宇宙の運命を賭けた魔人ブウとの壮絶な戦いから4年後。39年の眠りから目覚めた破壊神ビルスは、付き人であるウイスからフリーザを倒したというサイヤ人の話を聞き、界王星で修行していた孫悟空の前に現われる。界王の忠告を聞かずに久々の強敵に挑んだ悟空だったが、ビルスの圧倒的なパワーを前に手も足も出ずに敗北を喫する。さらなる破壊と伝説の戦士「超サイヤ人ゴッド」を求め地球へと向かったビルス。悟空と仲間たちは地球を破壊神の手から守るために立ち上がる。
(ウィキペディアより)
ドラゴンボールといえば、私たち30歳くらいの人間からすればまさに小さな頃からずーっとテレビを付ければやってたアニメなんですよね。毎週月曜はジャンプを読むのが楽しみでした。一緒に大人になった漫画・アニメと言っても過言ではないわけです。今でも単行本をふと読み始めると止まらなくなります。
劇場版も結構観てました。と言うか、記憶にある限り殆どの作品をテレビ、もしくはビデオで観ており、ターレスやクウラやガーリックJr.、ブロリーなどの劇場版だけに登場する敵キャラクターもよく覚えています。
ネタバレします!
ドラゴンボールはその後の少年漫画に大きな影響を与えた作品としても認知されているわけですが、その要素の中でそのさいたるポイントとして、戦闘力のインフレ化という要素があります。初期のアドベンチャーっぽい作風から天下一武道会、ピッコロ大魔王が出てくるあたりからこの傾向に少しずつ拍車がかかっていくわけですが、主人公の孫悟空はどんどん強くなっていき、神を超え、宇宙最強、銀河最強と言われる敵を次々と倒していきます。これまで世に出た全ての少年漫画作品に出てくるキャラクターの中でもここまで戦いを重ねるたびに桁違いに途轍もなく強くなっていったキャラクターもなかなかいないように思いますが、そんな孫悟空が活躍する劇場版では毎回毎回、その時点で最強の敵が登場し、地球が危機に陥り、仲間たちと協力して倒そうとするものの、仲間たちは次々と倒れ、最終的に孫悟空がその敵を打ち倒して終わるんですよね。この構成は殆どの劇場版作品で変わらずその印象からも「結局はいつも通り、孫悟空が勝つんでしょ~」という気持ちで劇場に向かいました。
(その他にも劇場版では
・序盤ではクリリンたちがはしゃいで遊びまわってたり、
・ピンチになると必ずピッコロが助けに来たり、
・ラスボスにクリリンが必ずぶちのめされ、「なんで、俺だけ…」と言ったりと
お決まりの要素と言うのが色々とありました)
そんな気持ちで観にいった本作品ですが、思いの外、意外な展開と相成りました。
結論から言うと今回出てくる破壊神ビルスに孫悟空は勝てません。これはとても意外な展開でした。そもそも、この破壊神ビルスは設定上、邪悪な存在ではなく、定期的に宇宙の星を破壊して回る存在、として描かれており、界王の小さな星も実はビルスに壊されてあのサイズになった、と言った新事実も語られてたりします。(というか、ベジータの弟ターブルについての言及があったり、と全ての文字通りドラゴンボール関連アニメ作品を全て見ていないとピンとこない部分も幾つかあります。)
で、この孫悟空が勝てなくて、「まいった、降参だ」と言うのは完全体セルの時にもあったりします。
・兄のラディッツとの戦いでは勝てずに死んでしまったり、
・ベジータとの戦いでも命からがらなんとか勝てたり、
・心臓病のせいで人造人間20号にも負けてしまったり、
・かなり遡ると桃白白との戦いでもそもそも初戦では敗れてたりするし、
・天津飯にも天下一武道会では負けていたり、
と案外と純粋な一対一の戦績ベースでは孫悟空は負けてたり引き分けだったりすることも多いのですが、10数年ぶりの久しぶりの劇場版アニメでまさかのこの展開は意外でした。
と同時になんとなく、この展開に妙に納得というか頷く自分もいたりするのです。降参した後に孫悟空はビルスから更に上には上がいることを告げられ、気が遠くなりクラッとして気を失ってしまいます。戦いが好きで純粋に自分の力を積み重ねていき、強い相手を前にするたびに「オラ、ワクワクすっぞ」という言葉を吐く孫悟空でさえ、今回は流石に勝てない相手が出てきたわけです。(ちなみに今回、ビルスと初めて会ったシーンであのお決まりの「オッス、オラ悟空」と言おうとして界王にしばかれるシーンがありますが、これには笑ってしまいました。)
銀河系やら何やら含めて最強の中の最強みたいな存在を倒して来た孫悟空が全く敵わない、しかも戦った後にも後腐れなくお互いにリスペクトしてその場を去っていく、ドラゴンボールにはあまりなかった、展開です。(強いて言うなら、一時期の天津飯との関係なんかはこれに近かったですね)
この展開に、一緒に観にいった同期たちはみんな、「面白かった!」と一様に絶賛だったのですが、これには何と無く、私たちの年齢も関係してるのだろうなあ、と、感じるわけです。
社会に出ておおよそ8年くらいが経って、会社でもそろそろ中堅どころを担うようになってきた私たちなのですが、ドラゴンボールを子供の頃から観続けてきて、向かうところ敵なし、に近い孫悟空に幼少期から、憧れと同時に子供の頃の万能感も重ね合わせて観ていたであろう自分たちも、気が付けば家庭があったり、社会に揉まれて生きてるわけです。今作ではブルマは38歳の誕生日を迎えていましたが、そこから考えるに孫悟空やベジータたちもいい年齢でしょう。(おそらく30台後半から40台前半)そんな彼らにだんだん自分たちも実年齢が追い付いてくるにつけ、今回の作品にはなんとも頷いてしまうような展開がちらほらあるわけです。
たとえば、ベジータがビルスに丁重にお帰りいただくために、その身を挺して歌って踊りまで披露するシーンがありますが(堀川りょうさんの声で楽しいビンゴ!ビンゴ!ハイ!ってのはそのギャップからもなかなか耳から離れませんね)、このシーンなんかは自分の家、妻、子どもを強大な力から守るために「父としての、夫としてのベジータ」がかなり強く出るシーンです。その後のブルマが殴られて激昂するシーンを含めて、珍しくドラゴンボールという作品で家庭を強く意識させる要素でした。(そもそも、ベジータも悟空も家庭を殆どかえりみない描写が多かったですしねえ)
孫悟空が超サイヤ人を超えた存在にまでなって戦った上で負けを認める展開はまさに、社会に出ていろんな軋轢を感じたり上には上がいることを実感として感じてきた30台前半の私たちには色々な意味で感じ入る部分があったように思います。たぶん、悟空が最後の最後はビルスをぶっ倒す展開だった場合、ここまでの気持ちにはならなかったのではないのかなあ、と感じるわけです。「おー、あの孫悟空でも勝てないやつはそりゃ、やっぱりいるよねえ」と私は妙な感慨を孫悟空に感じずにはいられませんでした。(ただ、魔人ブウ後の戦いなら孫悟飯が弱すぎるような気はしますが…)
ちなみに今回の戦闘シーンはさすがの出来です。あのいつもの「早過ぎて見えない!」シーンも出てきますし、さすがの描き込みとスピード感あふれる空中でのバトル、岩山に突っ込んで何個も岩山が破壊されるいつものシーンも含めて、まさにドラゴンボールバトル描写の宝庫とも呼べるような数々のバトル描写でした。
久しぶりのドラゴンボール劇場版、私が観にいった日は平日のレイトショーにも関わらず多くの同世代が観にきていました。オトナになっても楽しめる、そんな作品に仕上がっていたと思います。オススメです。