目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け ★★★★

2023-07-21 08:31:26 | ★★★★
SHE SAID/シー・セッド その名を暴け

サンフランシスコ行きの飛行機機内で鑑賞。

ハリウッドの大物プロデューサーによる長年にわたる性暴力を告発した女性記者たちの厳しい闘いを実話に基づいて描いた映画作品。ブラッド・ピットなども制作に関わっています。
ニューヨークタイムズに勤める調査報道記者たちがワインシュタイン氏の映画会社における数々のセクハラやレイプなどを克明に記事にしていくまでを描き出します。

結末は分かっている類の映画ですが、冒頭から気になる引きで記者や編集者たちが颯爽と取材を繰り広げていきます。

それにしても、この手の作品を観て常々思うのは司法制度についてです。
米国ではよく様々なハラスメントに対する訴訟が起こります。(パワハラやレイシャル、エイジなど多様)
企業の不当な労働者への取り扱いは直ちに訴訟になる恐れがあり、管理職や経営者はその発言のまさに「節々に」気を付ける必要があります。
証拠が揃っている場合、訴訟では法人サイドは極めて不利な状況になります。
きわめて気軽に弁護士に相談でき、集団訴訟(クラスアクション)も起こしやすく、なんなら米国に住んでるといきなりそうした集団訴訟の原告側になったりもします。
訴訟大国と呼ばれる所以の一つとも言えます。

一方で、ワインシュタインのケースはミラマックスの経営陣であったことや経営陣や弁護士含めて問題を揉み消すべくNDAなどをふんだんに活用しながら動き続けていたこと、ワインシュタイン自身が映画業界全体に非常に強い影響力を行使できていたことなどから、業界である程度問題が認知/認識されながらも、いわば、「言ってはいけないあの人」的な公然の秘密と化していたわけです。

示談に持ち込む際のNDAに関する項目などは劇中に出てくるものの中には後々争えば法的に無効となりうるものもあるようにも思いますが、お金を受け取っている場合には私人間の契約としては有効と見なされるものとも思います。
百戦錬磨の企業弁護士相手に何か事を起こすのは若い女性であれば尚のこと難しいように思います。
まさに法律を知っているかどうかでその後の対応が180度変わるような世界です。

近年日本でも一部の映画監督が似たような事件を起こしていて告発されていましたが、このようなことはあってはならないことであり、被害に遭われた方々の心中は想像を絶するものだと思わされます。
映画業界に限りませんがこうした問題が起こらないようにしていく必要があるのでしょう。

AIR ★★★

2023-07-21 08:30:21 | ★★★
AIR
この映画、よく出来ていました。Amazonプライムで鑑賞。

マット・デイモン主演。ベン・アフレック監督・出演。

2018年にNIKEの創業者であるフィル・ナイトが作者の「Shoe Dog」という本が発売されて日本でも大いに話題になりました。
この本、私は未読なんですが、NIKEの創業当時の苦労話から1980年頃までを描いています。
そして、この本で描かれたNIKEの成功から、数年経った1984年がこの映画の舞台となります。
NIKEはシューズメーカーとしては後発のシューズメーカーですが、市場の先行者であるconverseや adidasと真っ向勝負してランニングシューズではシェアを取ることに成功。しかし、バスケではまったくシューズのシェアを取れていなかった、というところから話が始まります。

私は今40歳のため、世代的に、バスケットボールのシューズと言えばNIKEのエアマックスやエアジョーダンなんですが、そんな私からすると、バスケシューズと言えば、コンバースのオールスターだった時代があるというのが信じられないわけです。(世代ごとに感覚が異なるんでしょうけども)

そんなNIKEが今年も負け戦よろしく、バスケのわからないマーケティング担当者たちが印象だけでコラボ契約する人を選んでいるシーンから話は始まります。
他社よりも少ないだろう予算を数人に振り分けるから、そこそこの選手数名と契約しようという会話。ドラフト5位より下の平均的な選手に予算をバラけさせようとするわけですが、これに主人公は反対し、自分が信じる選手1人に予算を振り向けようと提案します。
それがマイケル・ジョーダンで…
という流れで話は進展していきます。

現実にかなり寄せてキャラを描いているため、どのキャラクターも相当現実味を持って描かれます。走るのが嫌いというキャラ設定のソニーを演じるマット・デイモンはなかなかのお腹のでっぷり具合。

どういう結末に至るかはまさに誰もが知っているわけですが、予算潤沢で評判の高い他社が2社もある中で絶対的な不利な状況をどうやってNIKEが覆していくか、というところが楽しく描かれていきます。

詳しくは作品を観てほしいところです。ビジネスモノとして楽しく、あまりシーンもないのでスポーツモノって感じではないですね。

ソニーたちが働くNIKEのオフィス、80年代からアメリカのオフィスってあんまり雰囲気が変わってないんだなあということが感じられました。

この映画を観て思うのは、前例を覆し、新しい歴史を作る時の判断というのは簡単ではないということでしょう。ビジネスの通例上、考えられないことも、前例が無いという理由で選択肢から除外していることも結局はバイアスなんですよね。そして、誰しもがバイアスを持っていてそれをきちんと認識できて、バイアスを取り除くために適切かつ最短距離のアクションを取れる人がブレークスルーを起こすことができる、と。そして、本質にブレずにきちんと提案できれば、相手にちゃんと伝わるということでもある。契約金は安くてもダメだけど、他社と並べば、後は何を見せて、何をお願いし、譲歩するか、ということだけ、なんですね。

NIKEのバスケットシューズはその後、世界を席巻することは誰もが知っているわけですが、その前夜に起きたこと、というのは1人の男の熱意とそれに影響を受けた人たちによるもので、それが何人もの人の人生を大きく変えるわけで、最初は誰もが無理だと思っていることでも、信念を持ち、貫き通すことができれば、達成出来る、ということが感じられました。

あと、ベン・アフレック演じるフィル・ナイトCEOのコミカルさ、はなかなか特筆すべき点かもしれません。終盤のプレゼンシーンの登場などなかなかに笑える展開でした。

騙し絵の牙 ★★★★

2023-07-21 08:29:27 | ★★★★
映画「騙し絵の牙」

面白かったです。
Amazonプライムで鑑賞。

(あらすじ 映画.comより引用)
「罪の声」などで知られる作家の塩田武士が大泉洋をイメージして主人公を「あてがき」した小説を、大泉の主演で映画化。出版業界を舞台に、廃刊の危機に立たされた雑誌編集長が、裏切りや陰謀が渦巻く中、起死回生のために大胆な奇策に打って出る姿を描く。「紙の月」「桐島、部活やめるってよ」の吉田大八監督がメガホンをとり、松岡茉優、佐藤浩市ら実力派キャストが共演する。出版不況の波にもまれる大手出版社「薫風社」では、創業一族の社長が急逝し、次期社長の座をめぐって権力争いが勃発。そんな中、専務の東松が進める大改革によって、売れない雑誌は次々と廃刊のピンチに陥る。カルチャー誌「トリニティ」の変わり者編集長・速水も、無理難題を押し付けられて窮地に立たされるが……。
(以上引用)

大泉洋を当てがきした原作は未読ですが、映画化にあたって脚本は再構成されてるそうでして、なかなかエキサイティングなお話となっていました。
スピーディーな展開で2時間未満の映画とは思えないくらいエピソードてんこ盛りでテンポの良い映画でした。
雑誌も本も新聞も売れなくなりつつある、と言われています。1996年以降、出版市場は2.6兆円から2022年の1.6兆円まで減少。まさに出版不況だと言われて久しいわけですが、日本に戻ってきて思うのは案外と日本ってまだまだ本屋さん多いなあということでした。生活の中にちゃんと本があると感じるシーンが多いです。
勿論、Amazonで本を買うことも多いんですけども。商店街にあるいわゆる「街の本屋」さんというのも少なくなりました。主人公の松岡茉優の家を本屋さんにすることで、こうした問題についてもうまく切り込んでいます。

伝統を守ろうとする人たちや変わろうとしない人たち、変わることを求める人たち、伝統を破壊してでも次に進もうとする人たちなど様々な人々の思惑が錯綜します。
人間、それまでやってきたことから変わらなくて済むなら、それはとても楽な道ですが、その先にあるのは衰退、ということがわかりきっている時にどういう道を選ぶか。今話題のリスキリングというやつですが、変わるのか、変わらないのか、そんなことを問いかけてくるお話だったと思います。
小難しい文壇と呼ばれる世界がある一方で、そんなものとは無縁だけどめちゃくちゃ売れる作家もいる、という文学界の不思議もまた面白く楽しめました。

ザ・フラッシュ ★★★★

2023-07-21 08:28:06 | ★★★★
ザフラッシュ
新宿TOHOシネマズで1st.デーで鑑賞。
公開日から2週間がすぎておりIMAXでは観られませんでした。その点だけが悔やまれます。公開から2週間も経つともうIMAXではやらなくなってしまうんですね。世間はもうインディ・ジョーンズですかね。

DC映画はマーベルシネマティックユニバースと違って「ユニバース構築」には苦戦。マンオブスティール、バットマンvs.スーパーマン、ワンダーウーマン、ジャスティスリーグ、ワンダーウーマン1984、アクアマンと続いてきたDCEU(DCエクステンデッドユニバース)は次回作アクアマンの2作目で一旦打ち切りで仕切り直しとのこと。

結構好きな世界観なので、残念なところです。特にザック・スナイダーが監督したジャスティスリーグはスナイダーズカット含めて面白かっただけに…。

サイボーグなどは単発作品も作られず仕舞いとなりました。これも残念。良いキャラだったのにな。
そもそもマーベルシネマティックユニバースが異常なだけで、これが普通なんだろうなとも思いますね…

フラッシュはとても足が速いというキャラクターなわけですが、そのスピードが光速を超えて時空を越えられることが分かり、自分の過去を改変しようとする、というお話。

劇中でも言及されますが、まさにバックトゥザ・フューチャーやバタフライエフェクト的なお話になっています。(どちらかというとマルチバースというよりはバタフライエフェクト的な話かなと)
映画通であれば、エリック・ストルツがバックトゥザ・フューチャーで主演するはずだったというのは知られていることではありますが、そうしたネタで途中、違う世界線であることを説明していたりします。

(そのほかの詳しい映画ネタやネタバレは下記リンクが詳しい。

https://www.cinematoday.jp/page/A0008835 )

また、異なる世界線ということでバットマンも異なるキャラクターが演じています。それがまさかのティム・バートン版でバットマンを演じていたマイケル・キートンということでこれもかなり注目のキャスティングでした。
下馬評通りの活躍で、ベン・アフレック版バットマンとの違いも明確に描かれます。序盤の救出シーンではベン・アフレック版バットマンやガル・ガドット演じるワンダーウーマンもカメオで出てくるわけで。ちなみに残念ながらアクアマンとサイボーグは本編には出てきません。マイケル・キートンは御歳71歳とのことですが、全く年齢を感じさせない威風堂々とした体格でした。

時間改変モノというと、映画バックトゥザ・フューチャーに始まり、ターミネーターやバタフライエフェクトや時をかける少女など枚挙に暇がありません。
なんならマーベルでもアベンジャーズ エンドゲームではまさにチャレンジしたテーマでもあります。日本人ならドラえもんなどでも親しみのあるテーマでしょう。

今回は、主人公が自分の利己的な願いによって時間を改変しようとして複雑な事態に陥ってしまいます。

時間は不可逆である、という科学的な真理を何らかの超常によって曲げるのが時間改変モノの特徴ですが、何らかの代償を伴う、という描写が物語的には付きものでもあります。
人間誰しも何もかもが万能というわけにはいかないわけですね。光速で移動し、時間も越えられたら怖いモノ無しですけどね…

ジャスティスリーグで描かれた別の世界線のフラッシュが警告しに来るディストピアのシーンにも通ずるものがありますね。

今作でフラッシュが支払う代償がどうなるのかは本編を見ていただくとして…

序盤のシーン含めて、フラッシュは比較的終始おどけた陽気なキャラクターですが、影があるところもあり、今回エズラ・ミラーはうまく演じ分けもしていて、この辺り、彼の芸達者感が感じられました。
アクアマン二作目でこのDCEUシリーズはおしまいとのことでそれは残念ですが、エズラ・ミラーはまた観たいなと思わせる役者っぷりでした。

君たちはどう生きるか

2023-07-21 08:27:33 | ★★★★
君たちはどう生きるか

新宿TOHOシネマズで鑑賞。
スタジオジブリ、宮崎駿、久石譲、米津玄師、木村拓哉、菅田将暉、柴咲コウ、etc…

これは…こういう映画だろうなあとは思っていたがやはりと言う感じ。
誰かの批評を読む前に自分の考えをまとめる。とはいえ、自分の感想を書く力の衰えを感じざるを得なかった。自分自身が分かりやすいものばかり、選んで観てきて、説明や解釈が無いと理解ができないくらいには文学的な構造から離れてしまっていたようだ。
その事実自体がキツイが、そこにも向き合おうと思う。

今作「君たちはどう生きるか」は宣伝が一切無いという手法で話題になったわけだが、作品がある程度完成したであろう年末時点で、宣伝をしないでおこうとした理由もよくわかった。しかし、この宣伝手法自体は子供のことを思うと、これでよかったのか?とは思うが。

プロデューサーの鈴木敏夫さんはslam dunk方式と言ったそうだが、極限までCGアニメとして作品の質をバスケットボールの生の試合に近づけるべく、高め続けたslam dunkとは全く状況が異なると言っても良い。

それでも私も公開後、日をおかず、確かめるような視点で作品を観に行ってしまったのだから、今回に関しては制作サイドのプロモーション戦略はある程度成功と言って良いのだろう。だが…

私が宣伝担当なら頭を抱える。何をどう宣伝すべきか?どこをどう切り取っても、たぶん、完成した作品の期待値を上げるようなものとなるだろう。
何も知らないで観に行き、おおよその鑑賞者が首を傾げながら、つまりあれこれ考えながら出てくる、がおそらく鈴木敏夫氏がやりたかったことに違いない。(「本人も宣伝が無かった頃の映画鑑賞というのはそういうものだったし、それを体験してもらいたい」とインタビューで述べている。)



ネタバレします。



宣伝や鑑賞後の批評で作品内容に詳しく触れる意味があるのか無いのか?というのもある。
正直、そんなことをする必要も無いのかもしれない。
直近の作品である「崖の上のポニョ」や「風立ちぬ」で後半生に突入している宮崎駿がどういう境地に立って作品作りをしているかは変な話、鑑賞者は理解出来ていたはずで、それ以上の何かを事前に期待することそのものが誤りだったのかもしれない。
そもそも論、すでにある種の境地に立っている宮崎駿監督におさだまりの通常のエンターテイメントを期待するものでもないし、完成した作品に「何らかのメタファー」をひたすらに読み取ろうとすることもまたあまり意味が無いと私は思う。

ひたすらに作家性によるアニメーションのインプロビゼーションを観続けるという感じだろうか。
勿論それぞれのカットや表現自体は非常に高いレベルなのだが、鑑賞後の感想としては「ん、んんんー」という感じだ。

長い夢を観て目が覚めたらあっさりとその内容を忘れる、あの感じだ。(映画の最終盤の青鷺と眞人の会話にもあるが)

観ている時は楽しい場面も色々あるし、あれこれ考えながら観る甲斐もあるのだが、見終わると、殆ど何も残らない。

直接的な表現になりがちなアニメで、様々な表現の積み重ねで、この感覚を与えられるのか?という点においては、驚きではある。

冒頭こそ、すわ、風立ちぬ的な世界観か?とも思ったが、それもあまり物語的には単なる背景で深い意味性は無かった。

時代設定と主人公である眞人の生い立ちは宮崎駿という人の前半生には大きく関わる。
戦前に東京で航空系の製造会社を営む裕福な家に生まれるものの、その後宇都宮に疎開し、小学校3年生まで暮らしたとあることから、主人公の眞人のモデルは宮崎駿では?ということはできよう。(その後、劇中と同じく東京に宮崎駿少年は戻る)

ただ、映画のお話的にはそれそのことにはあまり意味は無い。宮崎駿の生い立ちを知っていても知らなくてもあまり関係はない。

物語の構造としては、異界に行きて帰りし物語という意味では「千と千尋の神隠し」に近い。
あとは、監督も違うが、昔の自分の係累に出会うという意味では「思い出のマーニー」だ。

しかし、お話の構造的な自家引用や表現としてのそれが多く見て取れるということは、言葉にしたくはないが、宮崎駿監督作品としては「ここで終わり」なのかもしれない。

そして、それはそれで仕方ないのではないかと思う。
まさに色々な作品を想起するような表現が多かった。ラピュタ、ハウル、千と千尋、もののけ姫、風立ちぬ、他にもまだまだあるだろう。

思うに、宮崎駿監督は半世紀を超えて様々なアニメーション作品を生み出してきた。彼が40代で手がけたラピュタやナウシカ、トトロや魔女の宅急便のことを思えば、82歳にして、こういう作品を手掛けること自体が驚異的だし、もはや、超人の域と言える。宮崎駿も10-15分の小品を作ることはあったとしても、今後、こうした規模の作品を作ることはかなり難しいだろう。スタジオジブリとしても、今後は細々とジブリグッズなどで食い繋いでいくことになるだろう。
それくらいお話としては、ある種の説教くささも無く、何かのメッセージがあるわけでもなく、描きたいものを描きつけた、という印象。
そこに何かの予定調和は無い。ディズニーアニメの金字塔である「不思議の国のアリス」くらいには様々な不可思議なことが起こる。不可思議な存在や出来事にルールがあるのか無いのかもよく分からない。が、それで良いのだと思う。
異界の出来事なのだから。

近年大ヒットしているアニメ作品というのは新海誠作品にせよ、細田守作品にせよ、漫画原作アニメ映画(鬼滅や呪術、コナンにワンピース)にせよ、とにかく分かりやすく、受け入れられやすい。少しでもスケール感が小さかったり、わかりづらかったりすると、ディスられる。
漫画原作アニメ映画に至っては、殆どの人たちは原作既読であり、キャラ設定はアタマに叩き込まれており、「このキャラクターはきっとこういうことを話すだろう、行動するだろう」と言った予定調和を楽しむくらいの世界でもある。
そんな時代劇や歌舞伎みたいなアニメーションがランキングを賑わせる昨今、ジブリ作品はまだ歴代トップ10に何作品も残るものの、確実に世代交代の波が来ているのは如実にわかるわけです。最近ではグローバルでもヒットしているため、グローバル興行収入としての金額的にはジブリの過去作品を遥かに凌駕する作品が続々と出てきています。
現代日本のヒット作品群や過去の大ヒット宮崎作品とも大きく一線を画しています。なんなら、過去作品の千と千尋の神隠しに物語構造は似てるけど、お話の筋や流れとしては全く似てないし、爽快感らしい爽快感もあんまり無い。
なんなら途中、ホラーなんじゃないか?と思うシーンも複数箇所。主にアオサギの描写やおばあちゃんたちの語り。あとは鳥のフンに何度も汚されるわけですがこれもまた何か意味があるのかしらね。思わずメタファーを探してしまうような映画でした。
しかし、何か見つけてもそれも裏切られそうですが。
で、主人公たちはどこに行ってたのか。というところもはっきりとしない。考えることを観るものに委ねてるという意味では大変に真摯と思う。