目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

BRAVE HEARTS 海猿 ★★★★

2012-07-23 17:19:46 | ★★★★
BRAVE HEARTS 海猿
上大岡TOHOシネマズで鑑賞。
いやー、やっと観れました。この夏いっぱいはやってそうですけど。

今回はネタバレしません!

比較的高評価だったし、地上波で2とか3をちゃんと事前にやってくれたおかげで予習もばっちりでした。ドラマの再放送もやってたのですが、流石にそこまでは観られませんでしたけど。最近は続編ものに優しい環境をテレビ局が必ず用意しますね。ハリウッド大作でも。私はこの傾向は悪いことではないと思います。映画館にみんなが行ってくれるなら。そして、願わくば邦画ならば、この映画くらいのクオリティは担保した上で‥。映画ファンの中にはテレビ局主導映画だからという理由だけで貶める人もいますが、海猿はどっちかというと私は好意的に観ています。
2と3はテーマとかやってることがあまりにも似通っててジャンボフェリーが天然ガスプラントになっただけで、そこからの救出という点ではあまり、大きな違いは無かったのですが。(3の場合は国家プロジェクトと人命を天秤にかける描写がありましたけどね。そもそも、そんなもの天秤にかけるほうがどうかしてる。だから、「言ってることの意味がわかりません」は全くもって正しい返答だったし、あの部分の脚本には私は二重丸をあげたい)

海猿1は私は一番シリーズで好きだったのですが、4作目はようやく一作目の志に近付いてきたように思います。1はもろに和製トップガンを海上保安庁をテーマに差し替えてやってしまった快作だと私は思ってるんですけど、4はあんまりこれまで映画が題材にしてこなかった旅客機の水上着陸からの水難救助。ハドソン川で実際にそういう事故が起こり、海猿の漫画原作を超えることが実際に起こりうるという点では非常に興味深いわけですが。(漫画の方が先に書かれてる)映像化しようと思うと恐ろしく金がかかりそうなテーマだし、他にもハードルが高そうなだけに映画にはならないのかなあ、と思ってました。
なんせ、日本には大きな航空会社が2社あり、羽田空港の協力なしにはこの手の映画の製作は難しそうだし、描かれる事故は航空会社や航空機メーカーが嫌うであろう飛行機墜落事故だし、墜落までの描写はかなりリアルに描かないと説得力ないし。(そのせいか、事故が起こる発端はあまり克明に描かれませんね、あくまで特急隊による救出が主題なのでそれで良いのですが)ここまでCGがお金がかからずにそれなりにリアルな映像を提供出来るようになった時代だからこその映画化、とも言えるかもしれません。

今作では仙崎が日本で36人しかいないという特殊救難隊に永年バディを共に務めた吉岡と配属されるところから始まります。
1作目で訓練生だったことを考えると彼らの成長が続いてることもまた、長いシリーズならではの面白さになってると感じます。仙崎と吉岡のはしゃぐ姿がこのシリーズの一つの魅力にはなってるのかなあ、と。実際、警察官の従兄弟なんかを見てると、こういう官公庁の訓練が伴う職場では同僚同士の親交というのは深まりやすいのだなあ、と感じますし、このはしゃぐ姿と災害発生時の死と隣り合わせの緊迫感あふれる状況の対比はいつもながら、楽しめます。

今回はこのはしゃぐ姿からの、上司からの叱りつける内容が仙崎側のテーマとなっており、特急隊という常に危険と死が近くにある仕事において、最も優先すべきは何なのかというのが一つの縦線になっています。レスキューに必要なのは「スキル」と「冷静な判断力」、そして…。
仙崎がこれまで2や3で成し遂げてきた奇跡のレスキューを大したものだと認めつつも、「結局、お前自身、最後は仲間に助けられてる」と否定してしまうところがこの4作目のいいところかなあ、と。単なる根性論じゃダメなんだよ、レスキューは!と。では、なにが必要なのか、と言うのが見所の一つかな、と。
緊迫感溢れる中での仙崎と機長村松との無線交信シーンなどはかなりグッとくるシーン。あの着水までのシークエンスでの機長の奮闘の描かれ方はちゃんと、漫画原作を引き継いで描かれており非常に良かったです。

そして、もう一つのこのお話のテーマであるバディ吉岡の恋。CAに仲里依紗が起用されてるわけですが、仲里依紗も段々面白い役どころに配されるようになってきましたね。時をかける少女の頃から考えるとかなり、「一筋縄ではいかない女子」を演じることが多くなってきたように思います。吉岡の恋人が乗る飛行機がたまたま事故に遭うことにより、この二人はどうなってしまうのか?というのが見所になってきます。

また、この手の映画では手を抜かれがちな周辺のディテールもそれなりに作り込んであり、実写シーンのエキストラの多さ、船やら設備やらにもお金をかけてるだけあって、迫力はそれなりに担保された映画になってると思います。飛行機機内もホンモノとほぼ同じモノが使われてる都合、飛行機に乗ったことある人からすると、手に汗を握ってしまいますよね、どうしても。

この夏の実写邦画では最大の話題作であり、デートムービーにもちょうどよいと思います。それでいて、うるさ型の映画ファンでもきちんと楽しめる映画になってたと私は感じます。是非とも映画館でお楽しみください。

ちなみにこの記事は移動中の飛行機機内で執筆しています。やはりあの手の映画の後に飛行機に乗るのはちょっぴり怖いですね。