目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

ジャンパー ★★★

2008-04-06 12:26:39 | ★★★
瞬間移動の特殊能力で映画を作ったら、やっぱりこうなるんだよね。至極当然の展開なれど、やっぱり不道徳ですよね。。。ま、ドラマなんでそれはそれでいいのかもしれないけど。

究極的に利己的な主人公、排他的な敵、このジャンパーとパラディンとの戦闘シーンは意外と見ごたえあって面白い。たいした人間ドラマは展開しないけど、新感覚のVFXが楽しめたので個人的には楽しかったです。

バンテージポイント ★★★★

2008-04-06 12:25:34 | ★★★★
とてもよくできた映画です。伏線を張って張って、どんどん回収しながらも伏線を張り続けて最後まで持っていくこの映画、かなり面白いと感じました。後半のカーチェイスシーンはかなり良い出来だと思います。とにもかくにも、この強烈な引っ張り具合は劇場もしくはDVDでしっかり確認してほしいものです。どういう展開になるのかわかっていても何回かドキっとさせられます。

クローバーフィールド ★★★★

2008-04-06 12:04:26 | ★★★★
この映画を観る上で、注意すべき点は3D酔いや乗り物酔いしやすい人は
この80分強に耐えられないかもしれないということ。
ホームビデオで撮影された映像を延々と最初から最後まで
観ることになるので、はっきり言えば手ぶれが激しく、
観ていてたまに目が痛くなるくらい。


パニックムービーとしての出来は珠玉。
伏線らしい伏線もあるといえばあるのかもしれないけど
基本的に恐怖を煽るパニックムービー。

以下、ネタバレしますので注意!




まあ、言ってみれば監督がゴジラを見て着想を得た、という話からもわかるとおり、大怪獣パニックムービーではあるんだけど、日本のゴジラや、興行的に大きな失敗をしたハリウッド版ゴジラや同じように一般市民が逃げ惑うSFパニックムービー「宇宙戦争」などと何が違うのかと言えば、登場人物の普遍性と徹底した視点の固定、に尽きるだろう。

前述の通り、視点は常にホームビデオ視点であるため、
その場にいるかのような臨場感と緊張感を常に
味わい続けることになるので、息つく暇などない。
時折、テレビの映像などをホームビデオが
映すことでうまく、状況説明もするが、基本的には
一般の人間の視点で話が展開するため、圧倒的に
情報量が限られており、そのある種の閉鎖性が
物語の恐怖感を高めている。
人間、「何が起こっているのかわからない」のが
一番恐怖である、というある意味、日本的な恐怖感をうまく映像に落とし込んでいる。
俯瞰の視点などで正体不明の巨大生物を大写しに
ほとんどしないことで恐怖感はさらに高まる。
日本映画のゴジラでは正体不明の怪物ではなく、
あくまでゴジラはゴジラという名前のついた
怪物で巨大生物の視点で物語が進行するため、
映画にその種の恐怖感はない。この差はわずかであるが
大きな差となっているように思う。

また、登場する俳優がトム・クルーズのような
超有名俳優でないあたりが、一般市民の視点という
恐怖感を否が応にも高める。観客はトムの映画を観るとき、最後までトム・クルーズが死ぬことはないことを
あらかじめ知っている。それは、映画と観客の中での
無言の約束であり、不文律である。
だが、この種の映画の場合、有名俳優を起用しない、
ということはその不文律をいつでも監督が自由に
破ることが出来る。そのために、主要な登場人物を
恐怖感を高めるためにあっさり殺すことが出来るし、
その殺害方法についても残虐性をいくらでも
高めることができる。

この映画は徹底した、第3者、観客の
視点を排除することによって、観客に映画の
リアリティを与え、臨場感を高めている。
また、一度コンテとなる映像を
CGで構成したものを作成した後に
その視点でもう一度ハンディカメラなどで撮影しなおす
という技法をとっており、綿密な計算に基づいて
この映画が撮影されたあたりは他の同種の
映画との大きな差かもしれない。

また、全編に渡って所謂劇音楽の類は流れずに効果音などで驚かそう、ということもまるでない。そこにはその映画の中で流れている劇中音楽と爆音や怪獣のおたけびが流れ続けるだけだ。これは実際、大変なストレスだ。音楽による救いや情景説明がなされない、ということがこれほどまでに、緊迫感と恐怖感を煽るとは。

肝心の怪獣は大変に気持ち悪い。これはハリウッドで製作されたためにこうなる、というのもわかるが、それに加えて残虐性を高めるためにこういった形にしたと
思われる。はっきり言えばこの怪獣に対しては何の情報もないまま映画が終わるため、観客にはある種のストレスが大きく残ったままに映画はクライマックスを迎える。

そのため、「この後に何かがあるのでは」と期待した
観客がエンドロールになっても席を離れない、離れられない、といった現象が起こっていた。そりゃ、そうだ。
こんな消化不良、どこにぶつけてよいのやらわかるまい。結局答えなどないのだから。推測することすら許さない、そんな雰囲気が映画からは伝わってくる。

ただ、そういった臨場感の高さから、最初の30分で映画に引き込まれ、自由の女神像の顔が吹っ飛んでくる最初のフックから観客を吊り上げたまま、最後まで謎を引っ張りながら映画は加速度的に謎を振りまきながら終焉を迎える。そこに救いなどはほとんどなく、最後のテープの切れ目は更に悲劇性を高め、痛烈なアイロニーとなっている。爽快感などとは無縁の世界だ。これはすさまじいことだ。はっきり言って不快な気分になるのだが、それでいて、強烈な引きがあるために途中で席を立つ気にはなれないし、人にはなかなか勧めにくいのだが、それでも観る価値はあると思う。

こういった衝撃的なアメリカ自虐映画が大ヒットしたのだから、今のアメリカがどういう情勢、社会なのかは推して知るべしといったところだろうか。