目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

Ray(レイ) ★★★★★

2005-01-31 00:52:25 | ★★★★★
 ここのところ、更新を怠っていたことをまずお詫び申し上げます。試験期間中だったものでこちらまで手が回りませんでした。と、言い訳は抜きにして・・・。新作映画を観てきたので記事を書かせていただきます。

 
 誰が何と言おうと私はこの映画に満点を付けたいと思うのです。なので、まずはそこを了承していただいてからこの記事はお読みください。この映画はレイ・チャールズの自伝的作品として公開されています。レイ・チャールズって誰?という方はたくさんいらっしゃると思いますが、すごいシンガー&ピアニストという認識で見に行って問題ないと思います。実際私も彼のファンかと言えばそうでもなく、サザンの「いとしのエリー」を彼がカバーしたことと、昨年お亡くなりになったことくらいしか具体的なニュースでは知りません。後は自然と彼の歌をどこかのバーかCMで聞いたかもしれませんが、多分そう熱心に聞いたわけでもなく、加えてファンというわけでもありません。(音楽に対しては趣味以上の情熱を傾けてはいますが)

 そんなシンガーのレイ・チャールズは盲目なのです。有名な音楽家の中には難聴であったり、盲目であったりと多少のハンディキャップを持った方がいらっしゃいますが、彼も7歳の頃にはおそらく先天的な障害で失明します。そんな彼がいかにしてピアノと出会い、盲目のハンデを乗り越え音楽家として大成していくか、ということを2時間たっぷりかけて描く映画か、というとそうでもなく、この映画では既に処世術を身に付けたレイ・チャールズが物語の軸です。音楽でビッグになるために夢を持って上京し、彼が出会うのは絶え間ない音楽と女とドラッグの日々。この作品が子どもには観れないようになっているのはこのドラッグ描写のせいでしょう。(まあ、別にいまどきこんな規制をかける意味が私にはわかりかねますが・・・・)

 もうこの映画のほぼ全編はこのドラッグと女と音楽(ステージ&レコーディング)に傾けられているので「愛と感動の作品!」というわけではもちろんないです。その辺りを勘違いしていくと肩透かしどころの騒ぎではありません。彼の伝記映画としてこの映画は素晴らしいのです。では、どこが見所かというと、盲目のレイ・チャールズを演じるジェイミー・フォックスの演技です。素晴らしい。盲目の役を演じた役者の中でも過去最高にいい演技をしていると思います。(話によると一日のほとんどを目隠しして役作りに挑んだとか)また、ピアノも本人が演奏するシーンがありこちらも凄い腕前(しかも、レイ・チャールズお墨付きだとか)。本当に本人に見えてきます。(というか、若いレイ・チャールズを知らなければ、ジェイミーが彼だと錯覚してしまうでしょう)ほんとうに映画の世界にどっぷりと漬かれるという感じを味わいました。

 繰り返し随所に表れるドラッグによる恐怖やそれとの戦いはある意味、ドラッグの習慣性や恐怖を知るには適しているかもしれません。脇を固める役者もみんな真に迫ったいい演技。(演技というか、観客は結構のめりこめると思う)

 上映時間は長く、好き嫌いが分かれそうな映画ではあります。興味ない人にはとことん退屈かもしれません。ただ、彼の人生を駆け足で展開していくのでそんなにダラダラした話でもありません。一本通して観ると大体、「レイ・チャールズってこんな人」というのは分かります。

 この映画、私は観ている間も退屈しなかったし見終わったあとも不思議な感覚に包まれていました。よくよく考えてみると彼の音楽を楽しんで聴いていたし、どんなカタチで終わるのかも予想がつかなかったので退屈しなかったのかもしれません(事前にあまり情報を入れませんでしたし)とにかく、彼の人生の一端を深く感じられる映画です。(ここまでドラッグについて書いていても本人公認の映画だということにもビックリですが・・・・・日本ではありえないでしょうね)観ても絶対損はしません。素晴らしい映画だと思います。

ALIVE ★★

2005-01-30 22:50:48 | ★★
うーん・・・。
 北村龍平監督の作品です。この映画では死刑宣告を受けた囚人がある選択を持ちかけられたことによってとある実験に巻き込まれていく話なんです。最初は淡々としてて囚人の心理を描く作品なのかなーと観ていたら北村監督がそんなことで終わるわけもなく案の定中盤からは派手なアクションが展開され始める次第です。まあ、北村監督の作品なのである程度はアクションに期待しながら見るのがよいとは思いますが、この作品では終盤のアクションでイマイチになってしまいます。もっとシャープなスタイリッシュなアクションが個人的には見たいだけにこの映画のアクションの撮り方には不満です。あと、出てくる俳優の演技力だとかはあんまり観るべきポイントではありません。結局アクションシーンを見るくらいしかこの映画も楽しめるポイントはありません。ストーリーもどうでもよくなっちゃうような展開だし。「ヴァーサス」ではとても私は高い評価をしていますが、同じことしかしないのではどうにも飽きてきます。マトリックスの二番煎じのどれもがマトリックスを超えなかったのと言わば同じことです。自分の映画を何度も題材は違うけど同じ内容、みたいに作っていては万人には決して受け入れられないでしょう。もっと色々見せてほしいものです。

スパイ・ゾルゲ ★

2005-01-29 22:36:21 | 
退屈な3時間でした。
もうほんとになんだかな、という映画ですね。こんな映画観てしまったらもう邦画は2度と観ない!って怒って帰っても不思議ではありません。とにかく長い、そして退屈です。なにしろ結果は最初にわかってしまうのです。かといって伏線があるわけでもなくなんか日本史の勉強かNHKの特集番組を見ているかのようでした。
出演している役者が悪いわけではありません。が!見せ方はよくない。題名に「スパイ」なんて銘打っておいて派手に劇場で宣伝していたわりになんとも静かにおとなしく展開する物語。いや、そういう映画を求めていた人にとっては十分満足できる作品かもしれませんが・・・・。普通に映画にエンタメ要素を求めている方が見るべき映画ではありません。
ただ評価すべき点はとにかく当時の町並みや小道具をうまく表現できていること。あと、役者はそこそこ頑張っていること。演出や脚本をもっとうまくして見せ場を作って不要な部分をカットしていけばもっと面白くすることが出来る映画だとは思います。

恋愛寫眞/Collage of Our Life ★★

2005-01-28 22:27:10 | ★★
終盤がもう少しよければ佳作になりえたのに・・・・。

広末涼子、松田龍平主演の映画です。主人公である松田龍平と広末は写真を撮ることに情熱を傾けるわけですが・・・。あることがきっかけで別れてしまった二人ですが広末演じる側は海外で死んでしまいます。そして死んだはずの彼女から手紙が・・・というこの映画。二人の大学時代などを通して青春時代とそこからの飛躍を独特の映像で描いていてなかなか前半は良いのですよ。マヨヌードルのエピソードなんかはたまらなく面白いのです。あと、劇中で登場する写真の数々。これらもとても美しく観ていると写真を趣味にしたくなるくらいです。そのあたりは題名に写真と銘打ってるだけあってかなり力が入ってます。ただ、ラストの展開や中盤以降で展開がダレてしまい残念ながらとてもほろ苦い思いをしながら劇場を後にしました。なんだ、これ?みたいな感じです。うーん。と唸ってしまいました。小池栄子、ダメだろー、みたいな。(この辺りは見た人だけ分かってもらえれば結構ですが観てない人も観たらわかります)
とにかく、前半のくだりは見ていてとても楽しいです。広末のファンなら見ておくべき映画です。

スカイハイ 劇場版 ★★★

2005-01-27 22:16:07 | ★★★
まあ、スカイハイとは別物と考えればそこそこ変わった風味のアクションとして楽しめるかと・・・・。

そうなんです、釈由美子主演でテレビ版スカイハイの延長線上にある(時間軸ではテレビより前かな)作品ですが・・・。テレビや漫画では確か一話簡潔で死んだ人がある門の前に来てその情景や死にきれない思いを吐露し最終的に復讐か転生か、はたまた現世でただよい続けるか選択に至る、という構成だったと思うのですが(間違っていたらごめんなさい)それがそもそも「スカイハイ」がウケた理由だったと思うのです。私もそれが結構面白くてたまにテレビ版は観ていました。結構面白かったように思います。恒例の「お逝きなさい」というセリフとか、釈由美子の危うい演技とか(苦笑)
今回は大沢たかおが悪役で登場、他にも映画オリジナルの役柄がたくさん登場しこの作品単独でも楽しめる作りになっています。(この映画をテレビ版を観ないで観る人はいないと思いますが)
監督は北村龍平!「あずみ」「ゴジラ」など物議を醸す作品を作らせたら天下一品なかれですが今作でもやはり期待通り(定番化?)、日本刀によるアクションが随所に登場します。もう「スカイハイ」ってこんなんやっけ?と悩むことがバカバカしくなるくらいにアクションシーンがてんこもりなので後半はまったく別の映画を見ている気分になること請け合いです。では、駄作か、というと最初に言ったように「スカイハイ」強い思い入れさえなければ、もしくは捨ててみれば、それなりに楽しめるアクション映画なんです。(なんか北村監督はそんなんばっかりやな・・・・)釈由美子の相変わらず噛みそうで噛まない危ういセリフも随所で見れます。(まあ、彼女は美人ですからそれで十分なのかもしれません)
なんか日本刀で激しく戦う映画が観たいと思ったらぜひともお勧めです。

バトルロワイヤルⅡ ★

2005-01-26 22:02:46 | 
「恋人はスナイパー」に続き栄えある最低評価をゲットしました、この映画。
もうなんとも何が言いたいのかてんでわかりませんよ。こんなのが遺作だなんて・・・・泣!!
監督は深作監督(途中でなくなったため、息子が引き継ぎ完成)
主演は藤原竜也。彼自体はそんなに悪くないんですよ?彼自体は同年代の役者の中ではとてもぬきんでた才能というか、演技力があると思うのです・・・が!いかんせん脚本も構成もダメダメなもんだから、口にするセリフも寒すぎる!竹内力もアウト!特にラストシーン!(いや、彼自身は決して悪い俳優ではない、はず・・・)
ストーリーの導入部で既に無理がありすぎます。まあ、1作目もそれは同様ですがそれに拍車がかかってます。っていうか、まだ1作目は楽しめる要素もありました。(制服姿で機関銃やショットガンを撃ちあう映画はあんまり作られないと思うし)ただ、その制服という要素も2作目ではなくなり、ただひたすら軍服姿の子どもたちが殺しあうしょうもない映画になりました。もう1作目ほどの衝撃もないしね。
こういう映画を公然と製作できる神経を疑います。誰か止めようよー。
戦争の無常感すら出ていません。なんともおちゃらけた平和ボケした日本だからこそできた映画といえましょう。
だって、島に立てこもってるならミサイル打ち込めばいい話やん・・・・。

13階段 ★★

2005-01-25 18:54:11 | ★★
 今日は趣向を変えてこの映画を通していろいろ考察してみたいと思います。この映画は冤罪をテーマにした重厚感漂うストーリーなんですが…最後の方で座席から転げ落ちそうになるオチが待っていて興ざめしました。反町隆史主演ですが、演技力はそんなにひどくはない並程度です。結構暗い映画ですね、全体として。演出に派手さはなく本格ミステリーの様相ですが展開を見ているとミステリーの域にはなく別に2時間ドラマでもよかったんじゃないかなあ、と思いました。映画としてはイマイチでした。が、扱っている題材は一見の価値があります。
濡れ衣を着せられて死刑宣告を受けて執行されるまでにその疑いを晴らす、という現行の司法制度ではなかなか難しいことを劇中ではやってのけようとしています。ま、実際冤罪で最高裁まで争って死刑になる、ということは稀にあるみたいです。この辺りは死刑廃止論を展開している学者からすると最大の死刑廃止を求める理由だったりします。世界的に見ると先進国で死刑を実施しているのは日本、アメリカ(州により違いはある)、韓国などくらいでヨーロッパ諸国では死刑を廃止しています。死刑廃止は世界的にみるとある種の「流れ」となっているようです。死刑存置国は即刻死刑という野蛮な刑罰を廃止すべきだ、という論調もいくらかは聞こえてきます。日本では「まだそのときではない」として死刑についてその是非を政治屋(家ではない)はあまり検討していないようです。もちろん学術レベルでは活発な論議がなされていますが。政治屋はなにか大事件でも起きて世論が死刑廃止に傾かない限りは死刑を存続させるでしょう。確かに凶悪犯に対しては殺しても殺したりないのが被害者感情だと思います。それもまたある側面であると言えます。
冤罪による死刑などはあってはならないことですし、厳格な捜査や取り調べ、現場検証、聞き込み、などを司法当局や警察は徹底すべきなんですが人間が絶対ミスをしないとは誰も保障出来ません。
冤罪と死刑というのはある意味、その重要性や危険性をもっと人々が知らなければいけないことかもしれません。もしかしたら明日はあなたがはめられるかもしれないのですから。

青の炎 ★★★★

2005-01-24 02:41:29 | ★★★★
主演:二宮和也 松浦亜弥
監督:蜷川幸雄 原作:貴志祐介
音楽:東儀秀樹

 ということで、青の炎、原作は私は未読です。巷での評判では原作には全く及んでいないとのことでしたが、小説が原作の作品の映画化で小説を勝ることは不可能だと個人的には思っている人なのでその辺りを了承していただいた上でのレビューになります。
この作品で誉めるところはまず、主題音楽でしょうか。ピアノから始まる淡々とした旋律は少年の心に深く迫っていく作品の世界観にかなり合致しています。心に重くのしかかるような響き方をするので、きつく感じる人もいるかもしれませんが、この作品の方向性についてうまく表現できている傑作だと思います。こういった主題曲を提供できるとは、東儀秀樹、侮りがたしですね。(あまり映画の音楽やる人というイメージがなかったもので・・・・。)
 原作はどうやら、映画よりも更に深く主人公の心の動きを追っているようですが、未読のため割愛。
主演の二ノ宮君についてはアイドル、ということで見るとビックリするくらいうまく演じていると思います。他のアイドル俳優も彼を見習ってくれ、と言いたくなるような感じです。反対に松浦は微妙。ずーっと普通の演技です。妹役の鈴木杏が良すぎるせいでその差が如実に表れています。この辺り、もっとうまくやればこの映画の評判はもっと上昇したように思います。(まあ、そもそも少年の完全犯罪という重いテーマの映画がヒットするような下地が日本にあるようには思えませんが・・・・。)
と、まあそんなことは置いておいてもこの映画はとても重厚で観終わった後は「ズーン」としたものが心に響きます。なんとも救いのない世界・・・・・。とにもかくにもこういった世界観はステキです。あと、題名どおり色んな「青」を観ることも出来ます。特に海のロケーションは最高です。「ロードレーサー」に乗って学校へ向かう主人公の構図がとてもキレイです。
 ハッピーな気分に浸りたい人にはオススメできませんが・・・・。

黄泉がえり ★★★

2005-01-23 01:35:51 | ★★★
死んだ人ばっかり、竹内結子とSMAPの剛クンの共演作品ということで・・・・・。
やたらと主題歌が大ヒットしたことでみなさんもご存知かと思います。3週間限定公開などと言っておきながらヒットを飛ばし公開延長、なかなか好評だったわけですが・・・・・。
私も結構この映画は個人的には好きです。「死んだ人が期間限定付でよみがえる」などというテーマは昨今では反則的に使われすぎてもはやヒットの法則にすらなりつつありますが・・・。(私は最初、よみがえる秘密に迫るホラー&ラブストーリーみたいなのを想像していたので裏切られました)
低迷気味といわれる邦画の中ではまだまだマシなほうではあります。やはり、竹内結子は人間味溢れる役柄をやらせるといい味出してますね。とてもいい。あと草ナギ剛もアイドルの中では断然マシな演技です。(中にはひどい人も多いですからねー)
ま、とにもかくにもオチを知ってしまったら何のことはない映画ですが終盤では結構涙腺をついてきます。そういった意味ではまだ未見の人で竹内結子が嫌いでなければ観ても良いのではないでしょうか?

T.R.Y<トライ> ★★

2005-01-22 01:25:31 | ★★
20世紀初頭の東アジアを舞台に、織田裕二扮する詐欺師・伊沢修の活躍を描く。原作は井上尚登氏の同名ベストセラー小説。ということで、2003年の邦画から、ですが★二点なんですねー。
大作志向でなかなか面白い作りではあるんです。当時の世界観は忠実に再現できてますし。ただねー、やっぱり「やばくなったらさっさと逃げる」っていうキャッチフレーズ&詐欺師が主人公で見せ方が大味では何がしたいのかさっぱりわからないわけです。主人公を詐欺師でいくなら、舞台を海外に据えるのではなく日本にして日本人の役者同士で観客にもついてこれる濃密な駆け引きを見せたほうが映画としては成り立つはずだし。大作志向で海外ロケで爆薬も使います、って言うならもっとアクション要素を増やして主人公は国際警察の捜査官くらいの設定じゃないと。あまりにも変なところで時代背景や原作に忠実に作ったせいか、???なところが目立ちます。革命派の方々の腑抜け具合もちょっと引きます。織田に頼りすぎだろ、それ、みたいな(苦笑)
織田裕二ファンなら観て損はない作りになっています。が、織田ファンなら「ホワイトアウト」や「踊る~」を観たほうがいいしなあ・・・。中途半端な凡作です。