目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

GANTZ ★★★

2011-01-30 21:55:28 | ★★★
川崎TOHOのレイトショーで鑑賞。今年最初の邦画ですね、映画館で観るのは。

原作は既読です。原作がそもそも週間連載漫画作品として非常に優れてるので比較するのが辛いですね…。やはりここで切るか、という所でパート2へ続く、と言う感じでした。原作の雰囲気は頑張って再現してましたね。

二宮君を社会人にしたのは彼自身の年齢の関係かな。高校生の方が不良を圧倒するシーンとかそれっぽい描写をもっと簡単に入れられたんだけどな。スーツで面接の練習してるのを見てフリーター、家を買うを思い出した。ってかキャラ同じだよ…orz何度も面接のセリフを言うシーンがあるのだけど、どうにもそこがあまり良くなかった。語調というか。ここは映画オリジナルな部分だと思うのだけどそこがうまく機能していなかったように思う。逆に原作に忠実にやっている部分はそこそこに成功しているとも思ったので、原作者の力は偉大だなと感じたわけですが。。。

原作なぞるだけというのは原作読んでるとそう感じるのですが、原作を未読だと漫画を初めて読んだ時の衝撃の少しは伝わる、かもしれません…。ねぎとか田中星人とかさすがにビジュアルが強烈すぎて・・・。特に田中星人は漫画どおりでしたが、本当に漫画どおりにやるとシーン自体もめちゃくちゃにシュールでした。撮影とかどうやってやったのかな。スーツアクターがいたみたいですが・・・。

アクションはせっかくのGANTZなのだから、もっと頑張って欲しかったんですが邦画だしこれが限界ですかね・・。北村龍平のVERSUSくらい頑張って欲しかった。GANTZに限らず日本ではマス映画専門俳優がいないので映画のために役作りする俳優が極端に少ない。精々髪切ったりメイクするくらい。肉体改造したりアクションにノンスタントで挑戦する人がいない。日本で人気のアクション漫画は多いのにこれを映画化すると必ずこの問題にぶち当たる。GANTZの場合、マッスルスーツを着て普通の人が戦うので役者がそこまでマッチョになる必要はないのですが、ワイヤーアクションとかはもっと頑張って欲しかったですね。かなりCGで誤魔化されたような気がします。そりゃ、ジャニーズタレントが怪我するわけにはいかないのはわかるんですけどね。レギュラーのドラマもありますし、歌番組やコンサートやニュース番組とかもありますし・・・。パルクールや実際に格闘したりとか、やれるはずなんですが役者による集客を優先するのでそういうのが撮れないんですよね…多分。「SP」くらいは頑張って欲しいと思いますけどね。。。仏像とか大仏とか千手観音とかいいキャラいっぱいいるのだから相対する役者陣もしっかりとクンフーを積んで戦って欲しいですよね。そこはジャパンアクションクラブとかの力を借りるなり、時代劇俳優の力を借りるなり、色々とやれるところはあったように思います。

気になる人は劇場で観てもいいと思います。本当に気になる人はもう観てると思いますが。二時間超えなので中々疲れましたが、あんまり食い足りなさは無かったですね。程々には楽しめます。あと、胴体真っ二つはやるべきでしたね。残酷描写はGANTZの売りだと思います。削ってはダメ。あと、極限状態に置かれた人々がどういう反応をするか、という意味ではもう少しヒネった登場人物配置にして欲しかったです。もっと描けるでしょう~。例えば映画「CUBE」みたいな人物配置とかにすればもっと良かったのでは。印象に残るのはヤクザとかオタクとか以外でただ逃げ惑うだけの無駄な人員が少なくとも3~4人はいた。すぐ殺されるだけ、ってキャラ。あのおばあちゃんと孫とか残酷描写として入れたかったのかもしれないけど、肝心なところ映さないんじゃ、出した意味ないから!もう少しエグイ見せ方をするか、出さないか、他のキャラをもっとしっかり描くかのどれかじゃないですか??警察官とか極悪人とか政治家とか極端な人を出しても面白かったかもしれません。坊さんが千手観音に・・・のくだりは絵的に面白いですがもっと見せて欲しかった。あと、せっかくのかっこよさげな銃を持っているのだからもっと使って欲しかったですね。ま、一撃必殺な銃なのでそんなにガンガン撃てないし、弾が出るわけでもないのでガンアクション的楽しさはないわけなんですが・・・。

二宮君と松山ケンイチを描きこもうとすると時間が足りなくなるのもわかりますが…。もっと出てくるキャラを削っていけばそれぞれのキャラを魅力ある見せ方、できたように思います。原作を多少削ってでも一つの映画として成り立たせる方法があったと思うのです。

西を演じた本郷奏多はHINOKIOとかリターナーに出てた子なんですね!大きくなったんだねえ。ハタチですって。本人wikiによるとガンダムとか好きらしい。本人が既に西の雰囲気を持ってそうですね。何と言うか一番いいキャラでした。原作再現度が半端ない。後編でも出て来て欲しいなあ。無理だろうけど・・・。
続編はまたデスノートみたいな短縮編なんでしょうね…。あまり期待せずに待ちたいと思います・・・。

ソーシャルネットワーク ★★★★

2011-01-18 00:43:00 | ★★★★
ソーシャルネットワークを観終わりました。川崎TOHOは結構混んでました。
レイトショーであれだけ入るって驚きです。ヒットしそうな予感があります。
Facebookはそんなに流行ってるのでしょうか?日本で。

初見の感想としては、ザッカーバーグは嫌な奴、というイメージは凄い刷り込まれると感じました笑。最初のシーンは観てるの辛かったんですよ、正直。会話のテンポも速すぎて話についていけないかと思いました。
途中のショーン登場あたりから面白かったですね。facebookの成り立ちをすごく緻密に綿密に計算された脚本で作り上げられていて感激でした。
さて、デビット・フィンチャーの監督作品を並べて見るとソーシャルネットワークって異質な作品ですね。他人の評価を見ずにソーシャルネットワークは観たが、やはり事前に前評判聞いて観に行くよりも何も知らないで観た方が楽しいですね。
Facebookやりたいとは思わなかったけど、興味深いと思ったよ。ああいう天才にはまだ会った事がないけれど。SNSといえば私にとっては多分mixiなんだけど、mixiに初めて触れたときのドキドキワクワクを思い出したなあ。ソーシャルネットワーク。何故か今やmixiにはそのワクワクはないわけだけど。特ににセブンの印象は強烈です。凄い監督だと思います。
Facebook創業者は私より年下なんだよなあ。たいして歳も変わらないわけで。彼がFacebookを立ち上げだとき私は大学で遊んでたんだよなあ。そう考えると学生時代に何をやるかって凄い大事ですね。他のやつが女の子と遊んでてもガンガンプログラム書いてた彼は今や億万長者。まあ、プログラムを書けばそれで億万長者になれるわけもなく、アイディアと実行力と技術と運と仲間が必要なわけだけど。そういう意味ではソーシャルネットワークという映画は、もしくは作中のザッカーバーグには多くの日本人は共感しづらいよなあ。ナップスターのショーンがFacebookに関わっているとは知らなかった。そう言えば、大学の頃、携帯サイトでこじんまりとしたコミュニティ用の掲示板やってたなあ。

■あわせて読みたい
http://togetter.com/li/89550
http://synodos.livedoor.biz/archives/1482931.html

アンストッパブル ★★★★

2011-01-18 00:28:56 | ★★★★
トニー・スコット監督、デンゼル・ワシントン主演のアクション映画。
アンストッパブル、中々の快作でした。お話としては発端からして鉄道会社の責任的な話なので、鉄道会社のマッチポンプ的な部分は否めないんだけど、そう感じさせない工夫が随所に配置されている。 アメリカにはああいう不真面目な労働者ってたくさんいそうだしね。ちょっとしたミス、気の緩みが少しずつ不穏な空気を持って大惨事に繋がっていく、という描写は非常に緻密に作られていたと思います。そもそも、タイトルバックが何とも不穏ですよねえ。777というラッキーナンバーが車両番号なのに下から煽るように列車を撮影する事で、無機質な不気味さ、暴力性をこれでもかと表現出来てましたね。
デンゼル・ワシントンはベテラン機関士を演じているのだが、こういう役柄ぴったりですね。また、音楽の緊張感演出がお見事。電車のスピードと重量感演出と撮影の仕方も上手でした。
トニー・スコットのいい仕事を観ました。ニュース映像を随所に挟みながら進むのもテンポ良くてナイス。
機関士と車掌の二人の家庭生活がうまくいってない演出と車掌の仕事への姿勢がトラブルシューティングを経るごとに変わっていく様をデンゼルのセリフ、He is different.と表したのは中々面白かったです。
アンストッパブル、序盤で大惨事が‥のシーンは予告編含めて見事なフック。あのシーンは本当にドキドキしました。見せ方が上手いと思いますね。話の流れから言えばいつでも起こりうる大惨事を描いてるわけでそこは背筋がゾッとする話でもあります。
撮影の都合と思いますが実際にはあの暴走機関車は高速では走ってない事がなんとなく予想されます。当然でしょうけど・・。ゆっくり走ってるように見えてしまうカットもいくつかあったように思います。特にヒキの絵でそれを如実に感じさせました。全体像把握のために仕方ない事とは言え少々テンションが下がる画面でした。

アンストッパブル、英単語だとunstoppable、になるわけですがこのタイトルは秀逸と感じました。途中、車掌のセリフで一度ほつれた糸はどんどん広がって止められない‥というセリフがありますがデンゼルはそこで必ず直せる、と言うわけですがこのやり取り自体が暴走列車の暗喩で面白かったですね。

映画中盤以降に出てくる脱線器のくだりは中々興味深い描写でした。他の映画ではあまり観た事がなかったですね。馬のケージも吹き飛ばし全て粉砕する様は迫力ありましたね。現場vs管理職というのは日本映画では踊る〜などで散々語られてはいますがハリウッドでは中々ああいうお話は少ないかもしれませんね。二人が決意するシーンが燃えました。

また、幾人かのご指摘でこの映画は怪獣映画だ!というお話がありましたが、それは確かに同意です。暴走機関車が怪獣で、車掌と機関士の2人はそれに立ち向かう社会で辛酸を舐める生活をしている2人。途中、地球防衛軍ならぬ鉄道会社があれやこれやと策を講じても一向に事態は好転せず、最終的には2人の活躍で怪獣に町を破壊されずに済む、といった具合でしょうか。鉄道そのものは一本の線で町まで一直線なわけですが、途中には寄り道のような複線があったり、困難に立ち向かわず逃げられる線もある。そういう安易な道を選ばずに自分たちの人生を賭けて守りたい家族のために、自分たちの命を捨てて家族を守るために困難に立ち向かう、うーん、非常に燃えるシチュエーション。

新年最初の映画としてはまさに小粒なれど「アタリ」の映画だったと感じました。