目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

母なる証明 ★★★★

2010-05-05 22:15:47 | ★★★★
DVDでレンタルが始まっていたので母なる証明を見ました。またまた韓国映画です。相方が映画館で見て絶賛していたのでレンタルショップで即借りてきた。本当はカイジとかウルトラマンの最新作も観たいが…。時間があまりない。テレビ番組がtorneで観られるようになったからなあ。


母なる証明、これはなかなか語るのが難しい映画だ。ポン・ジュノ監督が世界的な名監督だということはもうよくわかったが、彼の映画を語ろうとすると今回ばかりはネタバレにならざるをえない。ネタバレしてしまうと映画のドキドキは恐らく激減してしまう。だから語りにくい。だか、ネタバレしていたとしたらこの映画は面白くなくなるかというとそんなどっきり映画だというわけではなく、すごく高いレベルの映像と場面構成で見る人を最後まで牽引してくれる。

それにしても吠える犬は咬まない、といい殺人の追憶といい、グエムルといい一筋縄ではいかない監督だとつくづく感じる。

ウォン・ビンは兵役からの復帰第一作だそうだが、この役は全然おいしくない、がこういう役に果敢に挑戦する韓国映画俳優の意識の高さを痛切に感じる。日本人でこんなイケメン俳優いたらこんな役、絶対引き受けないよ…、あ、松山ケンイチはウルトラミラクルラブストーリーでこういう役だっけか。

母親役のキム・ヘジャは怪演ですね、序盤からただならぬ雰囲気。息子を大事に思う母親役なんだけど異様な雰囲気が最初の漢方薬屋から息子を見つめる雰囲気から発せられている。

主に、目の演技だと思うのだけどキム・ヘジャの目はかなり異様。渇きを観たときにも母親役の役者の異様なまでの目の演技が中盤以降に展開される。目は口ほどにものを言う、というのは日本のことわざだが、万国共通で目に語らせることができる、ということだろうな。この母親の目が終始、事件を目撃し続けるわけだけど、ラストシーンでは母親のシルエットで終わるあたりには様々な寓意が込められていると感じた。あ、今のはネタバレじゃないよね…。

この、監督の作品は必ず心に残る。あれこれと咀嚼して語りたくなる要素がたくさん散りばめられている。だけど、その語りたくなる要素の全てを裏切り続けてこの監督の作品は安易な着地は絶対しない。そういう意味では今の時代、相当信用できる監督なんではなかろうか。