目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

AIR ★★★

2023-07-21 08:30:21 | ★★★
AIR
この映画、よく出来ていました。Amazonプライムで鑑賞。

マット・デイモン主演。ベン・アフレック監督・出演。

2018年にNIKEの創業者であるフィル・ナイトが作者の「Shoe Dog」という本が発売されて日本でも大いに話題になりました。
この本、私は未読なんですが、NIKEの創業当時の苦労話から1980年頃までを描いています。
そして、この本で描かれたNIKEの成功から、数年経った1984年がこの映画の舞台となります。
NIKEはシューズメーカーとしては後発のシューズメーカーですが、市場の先行者であるconverseや adidasと真っ向勝負してランニングシューズではシェアを取ることに成功。しかし、バスケではまったくシューズのシェアを取れていなかった、というところから話が始まります。

私は今40歳のため、世代的に、バスケットボールのシューズと言えばNIKEのエアマックスやエアジョーダンなんですが、そんな私からすると、バスケシューズと言えば、コンバースのオールスターだった時代があるというのが信じられないわけです。(世代ごとに感覚が異なるんでしょうけども)

そんなNIKEが今年も負け戦よろしく、バスケのわからないマーケティング担当者たちが印象だけでコラボ契約する人を選んでいるシーンから話は始まります。
他社よりも少ないだろう予算を数人に振り分けるから、そこそこの選手数名と契約しようという会話。ドラフト5位より下の平均的な選手に予算をバラけさせようとするわけですが、これに主人公は反対し、自分が信じる選手1人に予算を振り向けようと提案します。
それがマイケル・ジョーダンで…
という流れで話は進展していきます。

現実にかなり寄せてキャラを描いているため、どのキャラクターも相当現実味を持って描かれます。走るのが嫌いというキャラ設定のソニーを演じるマット・デイモンはなかなかのお腹のでっぷり具合。

どういう結末に至るかはまさに誰もが知っているわけですが、予算潤沢で評判の高い他社が2社もある中で絶対的な不利な状況をどうやってNIKEが覆していくか、というところが楽しく描かれていきます。

詳しくは作品を観てほしいところです。ビジネスモノとして楽しく、あまりシーンもないのでスポーツモノって感じではないですね。

ソニーたちが働くNIKEのオフィス、80年代からアメリカのオフィスってあんまり雰囲気が変わってないんだなあということが感じられました。

この映画を観て思うのは、前例を覆し、新しい歴史を作る時の判断というのは簡単ではないということでしょう。ビジネスの通例上、考えられないことも、前例が無いという理由で選択肢から除外していることも結局はバイアスなんですよね。そして、誰しもがバイアスを持っていてそれをきちんと認識できて、バイアスを取り除くために適切かつ最短距離のアクションを取れる人がブレークスルーを起こすことができる、と。そして、本質にブレずにきちんと提案できれば、相手にちゃんと伝わるということでもある。契約金は安くてもダメだけど、他社と並べば、後は何を見せて、何をお願いし、譲歩するか、ということだけ、なんですね。

NIKEのバスケットシューズはその後、世界を席巻することは誰もが知っているわけですが、その前夜に起きたこと、というのは1人の男の熱意とそれに影響を受けた人たちによるもので、それが何人もの人の人生を大きく変えるわけで、最初は誰もが無理だと思っていることでも、信念を持ち、貫き通すことができれば、達成出来る、ということが感じられました。

あと、ベン・アフレック演じるフィル・ナイトCEOのコミカルさ、はなかなか特筆すべき点かもしれません。終盤のプレゼンシーンの登場などなかなかに笑える展開でした。


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