目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

仮面ライダーBlack Sun

2022-11-20 20:33:09 | ★★★
仮面ライダーBlack SUN
褒める人もいれば貶す人もいる。Amazonプライムで視聴。全10話完走。
簡単に感想を書きたい。ネタバレします。


今風にハードな思想を載せるとこうなる、ということなのだろうか。テロリズム、左翼、戦時中の実験部隊やら革命に身を捧げた人のさだったりとモチーフを現実に求めているのでどうにもこうにも。首相の造形など悪意があるとしか思えない台詞回しとキャラ造形ではある。今のご時世に。それでもこういうキャラ造形のお話を全力で作るところがなんともはや。
ヘイトを繰り返す人たちとデモに参加する人たちの衝突。これもまた現実的な世相の反映。
学生運動礼賛の世界観はちょっと微妙。
時間軸を1972と2022を行ったり来たりにして若干のミステリー仕立て。とはいえ。あんまりカタルシスは無いかな…。
どうにも人体実験をされた後の南光太郎と秋月信彦が1972までどうやって生きて来たのか?という感じが拭えず。どう生計を立ててたのかな?とか怪人って差別用語だよなあとか細かいところが大変に気になった。怪人は再生産されるとすれば、そこは分かるけど、怪人はどうやって見分けるのか?どうもにおいが特有っぽいが…。ぱっと見普通の人間なので、いきなり街中やバスの中で「怪人だ!このバスは怪人を乗せるんですか?」ってなるのが、なぜ?と。
割と、これまでの作品では人間に化けられるので見分けがつかないという作品が多かった。単純に演出不足に感じる。スズメ男であれば羽が出てしまうとか、ビジュアル面で隠しきれない何かがあるとかじゃないと納得感は薄い。

暗い音楽がモチーフとしてなんども使われる。ドラマチックだが、同じモチーフが何度も使われると流石に飽きてくる。
最終話で突如、倉田てつをのあの曲が流れると、案外とこれはこれでアリだった。もうちょいやって欲しかったなあ。

とにかく監督か脚本家が学生運動が好きだったんだろうなあと。内ゲバ感も満載。1972パートも2022パートもどちらも内ゲバの話。思想や信条の違いで身内で殺し合う。
本家のライダーでもこういうこじんまりとした小競り合い感みたいなのはあるよね…。出すキャラ少なめでどうやってスケール感を出すか?というのは結構演出でさ重要なテーマなのよね。解決策は悪の組織全体を敢えて描かないことなんだけど幹部とかずーっと出てるからな…。

ゴルゴム本部が簡単に突入できたり、SATが突然配置されたりされなかったり。首相の守りが薄かったり。(いや、現実を反映してると言えなくもないのが笑えないのだけど)
街中にビルがあったり、創世王の守りが緩すぎたり、ブラックサンの復活のための汁は何?とか、創世王の最後のくだりはどうして光太郎勝てなかったのか、とか、色々とツッコミどころは満載。そこは創世王を抑え込まなきゃ嘘だろ。光太郎に託して死んだ信彦が浮かばれないじゃないか。
あと、光太郎というキャラクターの自主性の無さが気になった。無口なハードボイルドキャラクターが多い西島秀俊さんにお願いするとこうなるよねという気もするが。
本家ばりに明るいキャラだと作品が成り立たないのかもしれないが…1972-2022で50年もあったのだから色々割り切れたんじゃないか?とも思う。仮面ライダーオーズのエイジあたりの垢抜けた感じとかで演じても面白かったんじゃないかな。
1938-1972まで創世王はどう管理されてたのか?誰がゴルゴムを切り盛りしていたのか?その辺りもよくわからなかった。映画みたいなものだとすれば、描写されてないところは想像してってことなのだとは思うが。改造のキーアイテムであるストーンはどこからきたのかとかね。

あと、葵というキャラのスケール感が結果的に小さくなりテロ組織を結成してるってのが残念な帰結ではある。
政治に迎合せずにそれでいて国際的にメッセージを出し続けられるキャラであり続けた方が良かったのでは…と思う。国連でスピーチできるってのはすごいバランス感が必要なわけで。怪人になったことでそのバランスを失ってしまったということなのかもしれないが、それでもねえ。


















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