目指せ!映画批評家

時たまネタバレしながら、メジャーな作品からマイナーな作品まで色んな映画を色んな視点で楽しむ力を育みます★

インセプション ★★★★

2010-07-26 00:23:45 | ★★★★
週末の滞在先の大阪梅田ブルク7で鑑賞しました。インセプション。

ダークナイトが世界中で大ヒットしたクリストファー・ノーラン最新作で、ラスト・サムライやバットマンビギンズに続き渡辺謙が日本人俳優としてはかなり露出の多い作品となっており、日本人からするとすごく喜ばしいことだと思います。バットマンビギンズのときなんかはかなりひどい役だったしなあ。渡辺謙演じるサイトーは権力がある企業経営者であり、なおかつ非常に行動力があり信念のある男として描かれます。立場としては中立に近い立場にあるキャラクターですが、かなり好意的に描かれていると感じました。
またハリウッド映画で非常に虚構っぽい日本が出てきて辟易することが多いのですが、本作では新幹線が出てきたりしてなかなか面白い。渡辺謙が誘い込まれる場所がかなりキルビルなのはご愛敬というところでしょうか(笑)
巷では「難解だ」とか言われてるこの映画ですが、私はこの映画、渡辺謙のことを抜きにしても好きです。

この映画の主題は荘子の胡蝶の夢だと私は思いました。序盤がフックになっていて、海辺に打ち上げられるディカプリオが運び込まれるところから物語は展開されるわけですが、非常に面白い。
興味と緊張感の持続という意味ではやや難解でありながらきちんと映画終盤まで引っ張ってくれる。

荘子の話を引き合いに出さなくても、誰にでも経験のある話でしょう。夢というのは意外にも、語られる機会が少ないですが毎日自分たちの身近にある話ではあるのです。

この映画では夢を重層的に構築し、ターゲットを誘い込み、夢の中でターゲットのアイディアを盗むという仕事をしているディカプリオたちが渡辺謙演じるサイトーにある仕事を頼まれ…という話に加えてディカプリオの過去の話が折り重なっていきます。

また、ターゲットを誘い込み、目的を達成させるために重層的な構造の夢の世界を構築します。

この三重構造(四重)の夢の中での展開が後半の白眉ですが、この奇妙で複雑ででも魅力的な話を作り上げた脚本家は非常に優秀だと感じました。
夢の中は時間の流れの早さが半分に遅くなるから、現実の1分があれば夢の中では60分になる、というのが面白いアイディア。このアイディアがあるから、脚本上、無理なく現実世界でターゲットを夢の中に誘い込んだ後にも十分に時間をかけて、ターゲットからアイディアを盗んだり、出来るわけです。つまり、夢の中の夢の中の夢に入れば更に長い時間をかけられる。だから、多層構造の夢を構築する必然がある。

夢から引き戻すための「キック」や夢から戻れなくなる「虚無」など、非常に魅力的な世界観の構築に成功しています。またその説明にもかなりの時間を割いており、夢を設計する設計士の女の子に説明するという物語的必然によって無理なく説明がなされます。

良くできたSFというのはこの難解な部分の説明に手を抜かないし、物語的にも必然のある展開で説明します。インセプションはそういった意味では難解という評価を受けなければならないほど、難解な映画ではないし非常に丁寧な映画になっています。 夢の世界の描かれ方も非常に高度なCGが活用されていて独特な動き。街並みを動かしていく描写や、無重力描写はとても興味深い。

ただ、目的を達成させるために夢の中の夢に入っていく展開と夢から起きるために必要な引き金があって、これが展開をスリリングにしつつも観客を混乱させるのだと思う。

また、私は鑑賞後に特殊な印象を受けた。まるで、自分がまだ映画の中の夢の世界から帰って来られないかのような…。非常に言い様のない感覚。

どこからどこまでが夢でどこからどこまでが現実かかなんて自信を持って言える人なんてなかなかいないものだ。
誰もが不安な気持ちを抱えやすい部分にすごく訴えかけてくるのだと思う。ディカプリオ演じるコブの妻モルが語りかけるシーンは非常に印象的だ。

「この現実が現実だなんてどうして断言出来るのか、この現実は夢じゃないとどうして言い切れるのか」

ラストシーンはいたずらめいたクリストファー・ノーランなりの茶目っ気だとは思うが、エンドクレジットに入ったとたんに、観客はみんな、ざわめいた。2人で来ている客は隣の連れ合いに話しかけていた。

ラストの解釈はどうとでも解釈出来るから、そしてその「どうとでも解釈出来る」ことが怖くて、みんな一斉に口を開いて連れ合いに話しかけたのではないだろうか。
映画を真面目に観ていたらラストの真意は十分はっきりしているのだけど。それまで描かれなかったある2人の顔がしっかり映ってる。

どこからどこまでが夢でどこからどこまでが現実かあなたには判別出来るだろうか。

この夏、踊る3よりもアリエッティよりもオススメなのはトイ・ストーリー3とインセプションだと思う。

トイ・ストーリーの他に観る映画に迷ったらインセプションがオススメです!

観賞後未レビュー作品

2010-07-24 10:52:02 | 映画とワタシ
とりあえず2009年分だけピックアップ。
徐々にアップします。

ヘルボーイ/ゴールデン・アーミー  ★★★★
感染列島 ★★★
007 慰めの報酬 ★★★★
少年メリケンサック  ★★
DRAGONBALL EVOLUTION ★
イエスマン “YES”は人生のパスワード ★
レッドクリフ Part II  ★★★
名探偵コナン 漆黒の追跡者 ★★
グラン・トリノ ★★★★★
GOEMON  ★★

スター・トレック  ★★★
精神  ★★★★★
ターミネーター4 ★★★
トランスフォーマー: リベンジ ★★★
ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破  ★★★★
MW -ムウ-  ★
アマルフィ 女神の報酬 ★
サマーウォーズ  ★★★★
G.I.ジョー ★★
劇場版 仮面ライダーディケイド オールライダー対大ショッカー
侍戦隊シンケンジャー 銀幕版 天下分け目の戦  ★★★

無防備  ★★
おっぱいバレー ★★
ノウイング ★★★
ハゲタカ ★★★
カイジ 人生逆転ゲーム ★★★
仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイドMOVIE大戦2010 ★★★
サイドウェイズ ★★★
2012 ★★★
マイケル・ジャクソン THIS IS IT ★★★★★

スラムドッグ$ミリオネア ★★★★

2010-07-06 20:53:10 | ★★★★
DVDで遅ればせながら鑑賞しました。これは面白い。
アカデミー賞受賞したのも頷ける。何しろこれからはインドの時代。その来るべき時代の躍動感を如実に伝える良作に仕上がってます。

クイズミリオネアを題材にしていて、物語の本筋自体はありがちな話ではあるのだけど、そのありがちな物語を観客に新鮮な驚きとともに見せることが出来るのも舞台がインドだからだと思う。インドという舞台と時代背景、これから急成長していく希望と退廃が溢れる街だからこそ成り立つ話だと思いました。同じ話をアメリカを舞台にして展開しても何も面白くないと感じるでしょう。舞台設定の妙ですね。

エンディングのダンスシーンはご愛嬌ですが、インド映画は本来はこのエンディングのダンスシーンみたいなところを中心に構成されていて、3時間超える映画はざら。それに比べればこの映画は構成自体はしっかりハリウッド映画でした。

ダニー・ボイルは28日後。。。や28週後。。。など大好きなゾンビ映画を製作した監督ですが、ここへきてこんな大きな栄誉を手にしてしまうような監督でもないような・・・。これに懲りずに(?)B級傑作映画をどんどん作り続けて欲しいです。

踊る大捜査線3 ヤツラを解放せよ! ★★

2010-07-06 20:41:24 | ★★
上大岡で日曜日朝8時からの回を見てきました。映画好きの間ではdisられることしかない本シリーズ。でもでも、日本実写映画の中では二作目は歴代興行収入一位の記録を誇り破られる気配はありません。映画ファンは この事実が気に入らないんでしょう。
踊るシリーズはフジテレビが98年にドラマシリーズが放映されて以降、度々スペシャルドラマや映画、スピンオフ作品が作られてきました。何せ私が高校生だったときに始まった作品でドラマシリーズは全て見て、スペシャルも全て見て、映画も全て見てきたので正直、また作品がみられることだけでも個人的には割合嬉しかったりします。同窓会に来た、みたいな。

さて、肝心の映画の内容ですが…

個人的には楽しかったです。ただ、映画としてどうなの、というと、もうドラマでいいんちゃうの、と思うわけで。

映画である必然性はあまりないように思いました。確かに映画は儲かります。ドラマで視聴率が1%だと100万人が見ているわけで、ドラマで20%の視聴率が期待出来るコンテンツは2000万人が映画を見てくれる可能性が出てくるわけです。半分の半分が映画に来てくれたとしても500万×1800円だと仮定して90億円の興行収入。
ドラマの映画化というのは非常にスポンサーも安心して出資出来るローリスクハイリターンの優秀なコンテンツなわけです。
ただし、地上波ドラマクオリティの内容が映画での上映に適しているのか、という問題は出てきます。中にはドラマのままでも良かったのでは、という作品が出てきます。結果として踊るシリーズに味をしめたテレビ局は映画化に躍起になり、映画館でわざわざ見るようなクオリティではない映画作品が量産されることになりました。制作チームはほとんどドラマと変わりませんからね…。
そういう意味ではこの10年の日本映画界の方向性をいろんな意味で決めてしまったシリーズなわけで映画ファンはそれが気に入らないのでしょう。
確かに映画単体として見ると作品の構成自体は破綻していたり、つめが甘かったり映画としては不十分な点は多数散見されます。

湾岸署の引っ越しを核とした物語の構成は確かに通常の刑事モノにはない展開ではありますが、やや地味かな、と。ただ、引っ越しすることでいかりや長介の不在という問題を乗り越えられるわけでこれからまたシリーズを再度続けやすくなったのは間違いないわけで。個人的には続きを地上波のドラマシリーズで見たい。新キャラの鳥飼なんかはかなりいい味が出ているし刑事課の面々もかなりいい組み合わせ。彼らが大騒ぎするのをテレビで見たい。

ここからややネタバレします。









終盤あるシーンで爆弾が仕掛けられている。そのことを知っているのは犯人と青島だけなのに、小栗旬演じる鳥飼は青島に逃げるように言うわけです。犯人は狙撃される予定だから逃げろ、と言っているのだとしても何かこのシーン、変じゃないですか?鳥飼は湾岸署の外から見てるだけ。まるで爆弾があることを知っているかのような振る舞い。そうかと思えば爆発には巻き込まれて吹っ飛ばされてるし…何、どういうこと?

あと、真下が交渉課の課長に「目には目を、歯には歯を」というのもそのあとの伏線かと思いきや何も起こらず…犯人逮捕に役立ったのは新人がHPで犯人を挑発してIPがばれたから。真下のシーンは丸ごといらなくない?




まあ、踊るシリーズがよく叩かれるのはこういう登場人物の行動のきっかけになる出来事や描写を描き忘れていることが大きな原因だと思うのです。意図的にカットしているのかもしれないが、前の作品とのリンクシーンは気前よく入れるのに、肝心なところはザクザクカットしている、もしくは描き忘れていると見受けられる。後は雰囲気でどうにかしようとしてたりする。
観客しか知らないことを平気で他の登場人物が知っていたりする。

こういうところをもう少し丁寧ににやってくれたら踊るシリーズ映画はもうちょいマシなんですがね…。踊るシリーズはエヴァンゲリオンやパトレイバーの影響は色濃いですが、エヴァンゲリオンやパトレイバーはこういうところも丁寧に描いてたぞ。エッセンスだけコピーしても魂が入っていない。

あと、お笑いシーンというかそういうのも面白いと思ってやってるんだろうけどオープニングの会議シーンとか展開が読め過ぎて…むしろ真面目に捜査会議を指揮しているほうが新鮮な驚きを提供してくれたかもしれません。いや、このシーン、面白かった?周りの観客はだれひとり笑わなかったんですが…。二作目で署長の不倫がばれたときもなんだかうすらさむかった。いやあ、何て言うか真面目なシーンにおちゃらけを入れたい気持ちはよくわかるし、それが「踊る」クオリティだと作り手は理解しているようだが、特におもしろくないから!
踊る大捜査線の面白さというのは案外適当なサラリーマン刑事たちがたまに見せるマジなところや時に挫折しながらも理想を追い求めていく様が楽しくて面白いのであって、映画化でやたら肥大化した予算や放映時間のせいで余計な枝葉末節ばかりが大きくなってしまって肝心な部分のウェイトが小さくなってしまっている。
ある事実をある人物が知らされない、という描写があるがこのあたりも非常早い段階で間違いだったことが観客にはわかる。どうせならもっと引っ張れば良かったのだ。多分、知らないのにマジになっている様を面白おかしく描きたかったんだろうけどこれもまたあんまり笑えなかった。だって、タチの悪い冗談過ぎて。まあ、この映画自体がそうだと言う人もいるだろうけど。
起こる事件自体も何がしたかったのかよくわからない事件が中心。死ぬことで殉教者みたいになりたかったんだろうなあ、と思うんだけどそれならそんな回りくどい方法で死ななくてもよくない?みたいな…。あと、犯人に過去作品キャラクターを持ってくるのもいいんだけど、あまりにキャラクターが飛び道具過ぎませんか?最大の強敵ってあんなんでいいの?個人的にはドラマの最終話で出てくるようなやつとか映画スピードに出てくる爆弾魔とかああいうところがいい落としどころだと思うんだけど…。毎回、秋葉原とかオタクとかネトゲやってるやつらは、たちが悪い、みたいなネタ見るのももう飽き飽きなんだけどなあ。少年課でもないのにこんなに若いやつとかオタク、コンピューターマニアばっかり犯人にしなくても…。第一話とか犯人が意外過ぎるから面白かったわけで第二話の爆弾魔の話は刑事は恨まれるという至極全うながらなかなか刑事モノでは描かれない問題を描いているから楽しかったわけで。そういう意味では劇場版は三作とも犯人のキャラクター描写が甘い。敢えて甘くしてたりするのかもしれないけど、そこがあやふやでなんだか少年たちが思いつきでやりました、
だとか組織にとらわれないリストラされたおじさんたちだとか…なんでこのあたりをもっと掘り下げないのかなあ。魅力的なキャラクターはいくらでも揃ってるし、悪役だって見事に描ききれる力量だってあるのに。なんだか怖そうな、不気味な感じ、というのは劇中で何度も描かれるんだが…
この部分が弱いから毎回毎回青島は右往左往してるだけで話が展開する羽目になるわけで。肉弾戦や銃撃戦はそんなに必須ではなくて踊るには無くてもいいんだけど全然燃えないんだよなあ。もっとどうしようもない葛藤を見たいわけで…。そういう意味では劇場版一作目に繋がるドラマスペシャルのほうが面白かった。

ダークナイトを意識したらしい、みたいなツイートもたくさん見たけどダークナイトには全く及んでませんし別にダークナイトっぽくもないけどなあ。ダークナイトっぽくしたいなら犯人の描き込みが全く足りません。そもそも踊るは群像劇だしね…。


劇場版二作目のボツ企画、潜水艦事件とか映画化すれば良かったのにな。ゲーム化されるそうですが…


音楽は菅野さん、さすがの仕事っぷりでした。新しいイメージをシリーズに吹き込んでいました。


個人的には続きが見られて嬉しかったわけですが引っ越しネタはテレビでよくない?というか、もう劇場じゃなくてテレビシリーズでやってほしいなあ。相棒みたいにロングセラーにできるコンテンツだと思うけどなあ。

一本の映画としてはあまり出来がいいとは思いません。でも多分ヒットするんでしょうね。 それはそれで続きがみられるから嬉しいけど…。

もっとガチッとしたものが見てみたい。真面目にクライムサスペンス作ってくれないかなあ。このスタッフなら手堅い作品も余裕で作れそうなんだけどなあ。

告白 ★★★★

2010-07-04 16:08:23 | ★★★★
話題の邦画をやっと見ることができました。
告白。同名小説の映画化。湊かなえという作家の作品で
私は原作は未読ですが、一部読んだことがあります。

各登場人物の独白を一人称形式で描いていく形式で
様々な人物の視点からある学校で起こった事件の真相と
その顛末が描かれます。

小説は大ヒットし、映画も大ヒットのようです。
4週連続興行収入1位というのはなかなか。

作品を観てみるとなるほど確かに若年層にウケがいいというのがわかります。
学生に人気があるみたいだけど、それも頷ける。表現が垢抜けています。
「下妻物語」「嫌われ松子の一生」「パコと魔法の絵本」で
培ってきた監督の映画作りのセンスが炸裂しています。
前三作よりも色使いを極端に抑え、ぶっ飛んだ表現を極力抑え
脚本はなるべく原作に忠実にそれこそ息もつかせぬままに
あっという間に106分を描ききっています。これぞCM畑出身の中島監督ならではの手法だと思います。
ちょっと疲れるくらい余計なシーンというものはなく、劇場の
スクリーンに釘付けにされる。
大量のTVCMにさらされてきた今の年代には何の抵抗もなく
受け入れられるものだと思います。

それにしてもR-15指定なので見ている若年層は主に
高校生~大学生ということだと思うのですが、あの映画自体は
若年層や学校という存在を相当な皮肉を持って描いていると思うのです。

これを若年層が好んで見に行っているというのは見ている本人たちは
どういう心境なのでしょうか。
大半の人にとって、ああいう学園生活というのが
フィクションであってほしいと思うのですが、昨今の
携帯小説のヒットの内実を語ったある人の言葉にぞっとさせられる。
いわく、「彼らは携帯小説のリアルな描写に、自分たちと、そして
自分の身近な人たちの話を投影して楽しんでいる、自己同一化している、うんぬん。。」
ああいう悲惨な現実がそこらじゅうに溢れているのだとしたら
それはとても悲しいことだと思います。

それにしても、話としてはとても秀逸だし、松たか子は終始抑えた演技で
狂気の教師を演じきっているし、木村佳乃の母親役も出色の出来。
脇役から主役にいたるまで手抜きは一切ない。吐き気がするような
数多くの校内描写(私が言っている吐き気というのはどちらかというと
残虐描写ではなく、いじめ描写である)にはイメージショットが重ねられ
スピーディに見る人の感情の起伏とストーリーの流れを絶妙に構成している。
この言葉にこの映像を重ね合わせると全く違う意味になる、という
映画の基本的なことではあるのだけれど、そういうことを
至極丁寧にそれでいて鮮やかに重ね合わせている。

結構批判的な意見も目にするが、私は「告白」は
今年の映画の中でも結構高い順位に位置づけたい映画。
DVDでもいいからぜひチェックしてほしい作品です。

アイアンマン2 ★★★

2010-07-04 15:58:26 | ★★★
楽しみにしてたアイアンマン二作目を上大岡の新しいTOHOで観てきました。いや~予告編見たときから期待値急上昇で見に行きました。もちろん1人で行きました。
最近全然映画見てなかったしね。映画館、最高~!
さて、そんなテンションMAXな私とは対照的に始まった映画は予想を大きく上回る出来ではなかった。アイアンマン一作目の出来がアメコミの映画化としてはスパイダーマン並に成功していたので期待していたのだが、二作目は割合凡作に落ち着いてしまった。

要因は何だろうか。 アイアンマン一作目にあって二作目になかったもの、それはやはり物語の筋・行動原理だろうか。
一作目のアイアンマンでは主人公と敵役の動機と解決がしっかりしていました。トニー・スタークがあまりに身勝手ではありますがそういうキャラクターだから、という伏線もしっかり張ってありました。というかトニー・スタークがしっかりと描き込まれていました。アイアンマン開発過程と改良過程が非常に面白く、痛快でした。また、軍需企業の二代目御曹司で汚れた人間像をロバート・ダウニーJr.が演じている、というキャスティングはかなり良い。テレンス・ハワードが演じている軍人役もかなりはまり役だと感じた。

二作目ではアベンジャーズ絡みの話もある程度消化しないといけないのはわかるが正直全体的に消化不良に陥っていた。主人公とライバルキャラクターたちの行動の動機付けがどうもうまくいってなかったように感じる。 ウィップラッシュは非常に優れたキャラクター造形と序盤の背景描写だったが物語中での扱いはあまりよくなく噛ませ犬に近い。マーク5をあそこまで追い詰めておきながら、という問題である。あと、終盤があっさりすぎる。動機とモナコのシーンの流れがいまいち繋がらないのも気になった。
ウォーマシーン役にテレンス・ハワードが外れたのは非常に残念。トニー・スタークは今回、ある事情から非常に追い詰められるが解決に向かうまでの過程が前回ほどわくわくしない。やはり自分の力やひらめきで解決出来ないからだろうか…。スーツ着たまま飲んだくれて喧嘩になるシーンはかなり面白かった。特にクラブでノリノリになっているシーンは笑えたが…。あとモナコグランプリにエントリーする流れは彼のイケイケぶりをよく表せていた。モナコでのマーク5装着シーンも良かったね。



非常に面白くなる要素がたくさんあったが詰め込みすぎて残念な結果になってしまっている。
決して面白くないわけではないんだけどスパイダーマンやバットマンビギンズ二作目のようなケミストリーは起きていないように感じた。

順当な二作といったところ。今後のアベンジャーズへの展開に期待。