けろっぴぃの日記

最近、政治のことをはじめとして目を覆いたくなるような現状が多々あります。小さな力ですが、意見を発信しようと思います。

「イスラム国」と「イスラエル」の類似点?

2014-09-15 00:38:18 | 政治
今日は批判を受けそうなコメントを書いてみる。モノには複数の見方があるという例である。

報道によれば、イスラム教スンニ派の過激組織「イスラム国」が、英国人の人道支援活動家の首を斬り殺害したとする映像をインターネットで公開したという。キャメロン首相が「悪魔の仕業だ」と非難するのは当然だし、この様な野蛮な「イスラム国」に対してオバマ大統領がイラクに続きシリア国内での空爆を承認し、「目的は明確だ。包括的・継続的な反テロ戦略を通じて、ISIL(イスラム国)を弱体化させ最終的に破壊する」と強調するのもうなずける。

先日のテレビ朝日の「ここがポイント!!池上彰解説塾」だったと思うが、「イスラム国」をテーマに取り上げ、何故、多くの外国人がイスラム国に集まり、テロの支援をしようとするかなどに解説があった。宗教的な思想による部分以外にも、その財力の大きさが無視できない要素であり、海外から移住してやってくる人々に給料的な経済援助までしているという話だった。驚くべきことは、その様な資金源が何かと言う解説で、私はてっきりアルカイダの様に、サウジアラビアとかどこぞの国の石油王などが資金援助を行っているとか、その様な背景を想像したが、実際にはイスラム国がイラクやシリアの都市の銀行を襲撃し、そこに預金されていたお金を全て奪い、それを財源の一部に充てているということだった。この様なお金で当座をしのげば、行く行くは石油採掘施設を制圧してそこからの上がりも期待できるので、その様な目先の現ナマが重要であったということらしい。この様に見て行けば、最初の野蛮な行為はとても許せないし、支配地域の子供たちに「聖戦」を名目に「殺せ!」と教育しているところなど、突っ込みどころは満載で、オバマ大統領の主張は正しいと多くの人が感じるところだ。

しかし、この様に考えながら一瞬疑問が頭によぎった。世界史は苦手なので詳しいところで認識の誤りがあれば指摘して頂きたいのだが、この「イスラム国」は、何処かイスラエルに似ているところがあるような気がした。

ナチスドイツのホロコーストに限らず、ローマ帝国に国を追われたユダヤ人は、世界に散り散りになりながら所々で迫害を受けていた。それでも「ユダヤ人」との意識を強く持ち、19世紀頃から「ユダヤ人国家」の再興を目指すシオニズムの流れが強まった。悪名高きイギリスの2枚舌、3枚舌外交の中でユダヤ人とパレスチナの人々は翻弄され、ユダヤ人とアラブ系のパレスチナ人の双方に委任統治の約束をし、すなわち建国を認めるかのような行動を取ったので、これが元でユダヤとパレスチナの確執が強まる。その後、第2次世界大戦でのホロコーストを経験し、「やはり、ユダヤ人国家を建国するしかない」という思いが強くなり、ナチスに追われたユダヤ人などを含めてパレスチナへの避難がきっかけで、第2次大戦後にイスラエル建国へと流れて行く。国連での仲裁も色々あったが、イスラエル独立宣言言後のアラブ系諸国によるイスラエルへの攻撃(第1次中東戦争)を撃破し、その後も何度もの戦争に勝ち続け、現在に至っている。つまり、元々の住民が革命・クーデターなどでイスラエルの地を支配し続けているのでもなければ、近隣諸国から現在のイスラエルに侵攻した訳でもない。通常、国と国との戦争によって領有権の変更が行われることは常識的にみられるし、その様なケースであればその国の領土の正当性は国際法的な視点で議論することは可能である。しかし、元々は存在しないバーチャルな「仮想国」としての存在がある日突然、世界地図上に現れた時、その国家の正当性を図る物差しは存在しない。アラブ諸国の多くの国々がイスラエルの存在を否定的的に捉え、地政学的に見れば完璧に四面楚歌状態であるにも関わらず、アメリカを筆頭に財をなしたユダヤ人の主張を受け入れる形で、イスラエルのパートナーとしての支援を行い、国連への国家承認でもアメリカは最初に承認を行っている。アメリカや西欧諸国の指示を得て今現在も国家が存続しつづけているが、元々は国土を持たないバーチャルな国家的存在であったのが、パレスチナの地を奪い、そこに強引に建国したことになる。

これに対しイスラム国も同様で、宗教という概念で強く結びついたイスラム教スンニ派の過激派組織がバーチャルな「イスラム国」を名乗り、別に「ここが俺たちの領土!」という宣言をするというよりも、バーチャルな存在とリアルな存在の接点として至る所で襲撃を行い、実質的な占領地が実効的な国家の「領土」が目に見える形で現れるようになる。別に民族を強く意識する訳でもなく、世界各国から多くの若者がこの地をめざし、そこで兵士となって外国と戦うようになる。宗教的な色彩と民族的な色彩という差異はあるが、「バーチャルな国家」が現実世界に急にリアルに表れた時、その存在を裁く世界的なコンセンサスを得られたルールというのが存在しない以上、アメリカや欧州の一方的な主張で物差しを設定しようとすると、それはイスラエルの建国の再来として、世界がより混沌とする様な気がする。

幸いなことに、イスラム世界の中でもスンニ派と対立するシーア派などの勢力もあるし、その過激さから冷めた目で見ている勢力もあるから、「イスラム国」がアラブ地域を席巻するという様なことにはならないだろう。しかし、イスラム諸国内での対立・勢力均衡による疲弊を期待したいところだろうが、勢力均衡となるには現状はバランスが悪く、少しばかり空爆を行うとともに軍事的スペシャリストをイラクに派遣して指導するなどしないと、その勢力均衡が図れない悩ましい状況でオバマ大統領は空爆を決断することになる。しかし、元々は「イスラム国」の勢力もアメリカから軍事支援を受けていたりした過去もあるから、昔のイギリスの2枚舌外交的なご都合主義は否定しきれない。ウクライナが毒ヘビと毒サソリの争いであるなら、この「イスラム国」を取り巻くゴタゴタも、綺麗事で済むような単純な話ではなく、色々と泥臭い所もあるのだろう。

私的には、オバマ大統領は、この様に「アメリカ(+欧州)」対「イスラム」の構図を明確にするような戦略を取るのではなく、対立は継続しながらも水面下での行動を中心に行い、アメリカだけが突出する構図を最大限抑え、中国の新疆ウイグルのイスラム系の人々への弾圧をきっかけに「中国」対「イスラム」の構図も最大限利用し、「イスラム国」がアメリカや欧州、ロシアや中国に加え、イスラム教シーア派やその他のイスラム勢力とも等距離で対立し、世界レベルでの勢力均衡による疲弊を狙うべきだと思う。

素人なので明確な答えは分からないが、あまり「アメリカ的正義」を前面に出し過ぎるのは得策ではないと思う。イスラエルの歴史がそれを物語っている様な気がする。

←人気ブログランキング応援クリックよろしくお願いいます